「んふぅ…んふぅ……」
「随分上手くなりましたね。人の臭いも消え、体からメスのいい臭いがしますよ、ユミーザ」
ソファーに腰掛けるギールの股間に裕未は顔を埋めている。
「はい…ありがとうございます…ギール様…」
何かを求めるように裕未は上目遣いで答える。
「またこれが欲しいのですか?」
グラスに注がれている青緑の粘液を指ですくい裕未の鼻先に持っていった。
「いい香り…」
裕未は匂いを嗅いで物乞いするような目でギールをみつめる。
「すっかり邪竜王様の精液の虜ですね。あなたのメスの蜜と混ざれば命を失う猛毒になるというのに」
ギールは自分の生殖器に青緑色をした邪竜王様の精液を塗りつけた。
「あぁぁ…頭の中が蕩けてしまいそう…もう我慢できません…邪竜王様にわたしの全てを…」
裕未は舌先を使いギールの生殖器に塗られた邪竜王の精液をチロチロと舐めとりながらギールに奉仕した。
(ククク…この女の思想、完全に邪竜と化しましたね。ではそろそろ…)
「ユミーザ、いまから邪竜王様に謁見に行きます。お前も一緒に来なさい」
「んふぅ…はい、かしこまりました。ギール様」
口の周りに付いた青緑の精液を舐めとりながら裕未は立ち上がり黒いスーツに身を包んだ。
「邪竜王様 ギールにございます」
邪竜王は玉座で食事を摂りながら実験体を抱き抱え、その性器に自身の生殖器を挿入して快楽を貪っている。
その御前でギールは片膝をついて頭を垂れ、その隣で裕未も同じ姿勢をしていた。
「グフッ ギールよ、いつまで待てばよいのだ」
細く開かれた眼はギールの横で跪いている裕未に向けられている。
「申し訳ございません。ようやく準備が整いましたので、今しばらくお時間を頂ければと」
チラリと横目で裕未を見やったギールの口元が微かに吊り上がった。
裕未は邪竜王に抱かれたまま突き上げられ、歓喜の声をあげている実験体を嫉妬と憎悪に満ちた目で睨んでいた。
「グフフ あと少しか…楽しみにしているぞ、ギール」
「はい、邪竜王様。2、3日中には必ず」
「グフフフ わかった、下がれ」
「ハハァ」
深く一礼したギールと裕未は静かに謁見の間をあとにした。
薄暗い通路を歩きながら、ずっと黙っていた裕未が口を開く。
「ギール様、あの女は人間です。なのになぜ邪竜王様と…邪竜王様の精液と女の蜜が合わされば猛毒になると…なのにあの女は…」
裕未の声は怒りに震えている。
「落ち着きなさい、ユミーザ」
「落ち着いてなど…邪竜王様に全てを捧げ、お仕えすることがわたしの…なのにあの女…」
ギリギリと歯を噛み締め謁見の間の方向を見つめる裕未。
「クックックッ…あの女と同じ躯、欲しいですか?」
「!? ギ、ギール様、いま何と…」
「ユミーザ、お前が望むのであれば、アレと同じ躯を与えてやることが出来ますよ」
「本当ですか、ギール様! お願いします。わたしに邪竜王様にお仕えする躯をお与え下さい。今すぐお与え下さい!!」
「クックックッ…いいでしょう。着いて来なさい」
「はい!」
ユミーザを伴いギールは自分の研究施設に向かった。
「スーツを脱いでそこの椅子に座りなさい」
分娩台のように足を開脚させて座る椅子に裕未は裸になり腰掛けた。
「これからお前の性器にこれを移植します」
薄暗い緑の照明ではっきりと見えないが、液体で満たされた容器の中に紫色の肉片が沈んでいる。
「それをわたしに? それは一体…」
「邪竜のメスに移植して変質させた人間の性器です。これをお前の性器に植えつけて、邪竜とまぐわえる新しい性器に作り変えてあげましょう」
「それを移植すれば私は邪竜のメスに…邪竜王様の精を…は、はやくお願いします。ギール様」
裕未は邪竜王に犯されることを想像し、晒した性器から蜜を滴らせていた。
(あのドラゴンレッドが邪竜とまぐわう性器を持つ新しい種に…これは傑作です)
「クックックッ… ユミーザ、心から邪竜になることを望みなさい」
「は、はい、ギール様」
もぞもぞと腰をくねらせている裕未の性器に金属の器具をセットして大きく開くと、細長いハサミやメス、ピンセットを使い、裕未の子宮に紫色をした肉片の一部を植え付けた。
「クックックッ 終わりましたよ。植え付けた肉片は数時間でお前の性器を新しい邪竜の性器に作り変えることでしょう」
「あ、ありがとうございます。ギール様 これではわたしも!? アツイ…中が…アツイ……感じます…わたしの中に邪竜帝国が広がって…」
裕未は嬉しそうに微笑み下腹部に手をやる。
「クックックッ 細胞レベルでの同化が始ったようです」
「うぁぁぁぁ……これでわたしは邪竜のメスに…邪竜王様のメスになれる…」
人を棄て邪竜帝国のメスになる悦びに歓喜の声をあげる裕未。
「刺激を与えれば、同化が促進されるようですよ」
ギールは機械とコードで繋がりウネウネと蠢く擬似生殖器を裕未の性器に突っ込んだ。
「あひぃ…ギ…ギールさまぁ…きもちいひ……い…いく…いくぅ…イっちゃうぅ…」
白目を剥いてビクビク痙攣している裕未をギールは満足気にじっと見つめていた。
「榊山さんが行方不明になって三日、神社の境内でも彼女の物と思われる血痕が見つかっています。
私どもの女性隊員二人も一緒に行方が分からなくなっていますから、ほぼ間違いなく榊山さんは『S.S.B』に誘拐されたと…」
あやめが行方不明になり、落ち込んでいる真琴をスカウト男はここぞとばかりに追い込む。
「…あやめ先輩……」
「我々と協力して、榊山さんを救出しませんか?」
「僕があやめ先輩を助ける…」
「そうです! 組織に対抗できるのは組織だけなんです。もしかして、春日さんは本気で榊山さんを助け出したいと思っていらっしゃらないとか…」
「そんなことない!! 絶対に僕があやめ先輩を救い出すよ!!」
スカウト男の眼鏡の奥の眼が輝く。
「だったら、我々に協力して頂けますよね。それしか方法はないでしょう」
「けど…あやめ先輩は、えっくすにもえすにも協力しちゃダメだって… メガネの男は一番信用しちゃいけないって…」
「な、なんですと!! 酷い…酷すぎる…私がどれだけ榊山さんのことを心配しているか… あぁ…こんなことをしてる間にも」
「エッ! 間にもなんですか…」
「榊山さんは悪事に手を染めて、引き戻せない状況に…」
「そ、それってあやめ先輩が犯罪者になるってこと!」
「ええ、そうです。犯罪者になっちゃうんですよ。それでもいいんですか」
「それは困るよ!! けど、シルヴィーさんは悪い人には見えなかった。立派な武士だったけど… どっちかって言うとやっぱり…」
チラリとスカウト男を見やる真琴。
「ホントはおじさんがあやめ先輩をどこかに…」
「なっ!! なんてことを仰る!! 私がこんなに榊山さんのことを心配しているのに」
「真琴、その男の言うこと、信じちゃダメだよ」
「「エッ!?」」
向き合って話をしていた真琴とスカウト男が声がした道場の門扉を見やった。
「あ、あやめ先輩!!」
「榊山さん……どうして…」
「どうして? まるでわたしが帰って来ると不味いような言い方ですね」
腕にしがみついてきた真琴を引き摺るように歩いてくるあやめをスカウト男は怪訝そうな顔でみつめる。
「榊山さん、三日もどちらに?」
「あなたの質問に答える必要がありますか?」
冷たい眼でスカウト男を見やるあやめ。
「出来れば答えて頂きたい。あなたの護衛に就いていた私どもの隊員も行方不明でして、もしかしたらご一緒させて頂いていたのではと」
「答えなければ、わたしを捕まえ… フッ…どちらにしてもわたしを捕まえたいようですね」
黒スーツの男たちが特殊警棒を構え、あやめと真琴を囲む。
「何だ何だお前たち! 僕たちをどうするつもりだ!!」
甘えた顔であやめに擦り寄っていた真琴が真剣な顔であやめと背中合わせになるとファイティングポーズで構えていた。
「榊山さん、少し雰囲気が変わった気がしますが、私の気のせい…でしょうか?」
男の顔から作り笑顔が消え、ヘビのような冷たい目があやめを睨む。
「気のせいじゃないですか」
「そうでしょうか…いまの榊山さんからは危険な香りがしてきます」
「不愉快な人ね…あなたたちより、シルヴィーさ…んの方が信用できますよ」
「ほほぉ、これは心外な… やはり、あなたにはいろいろお聞きしないといけないことがあるようですね」
思わずシルヴィー様と言いかけたあやめをスカウト男は見逃さなかった。
「『X-fix』に話すことなどありません。真琴、この人たちは悪い人、わたしたちの敵よ。真琴はこれを使いなさい」
持っていた刀を真琴に渡すとあやめの顔に黒い模様が描かれた。
「あ、あやめ先輩… こ、これ、もしかして本物の刀?」
鞘から放たれた刀身の輝きに恐怖と興味を抱いた真琴の声がうわずる。
「勿論よ。偽物じゃあ、悪人を成敗できないでしょう」
話をしているあやめの黒い右手が刃に変化し、スルスル伸びると一本の薙刀へと姿を変えた。
「やはりそうでしたか。榊山さん、あなた『S.S.B』に改造されましたね」
スカウト男は眼鏡を外し、隠し持っていた鎖鎌を取り出していた。
「えっ! あやめ先輩が改造されてる?」
背中合わせで立っていた真琴が慌てて振り返りあやめの姿を見やる。
「そうよ。わたしはシルヴィー様の剣、ノワールに生まれ変わったのよ」
あやめが着ていた白の胴衣と袴がずり落ち、黒い虹色に輝く肢体が露になった。
「あ、あやめ…先輩………カッコいい……でも…恥ずかしい…」
頬を紅く染め、瞳をキラキラさせてノワールの姿をみつめる真琴。
「シルヴィー様は真琴も剣にしたいと仰られているのよ」
「えっ!? それって僕もあやめ先輩と同じ姿になるってこと…」
憧れと恥ずかしさに真琴が困惑の色を見せる。
「春日さん、騙されてはいけません! 榊山さんは洗脳されて無理やり『S.S.B』にされているのですよ!!
榊山さんはどちらにも手を貸すなと言っていたのでしょう」
「う、うん… あやめ先輩はなにがあっても協力しちゃダメだって…」
「違うわ真琴、わたしが間違っていたのよ。『S.S.B』は素晴らしい組織だったのよ」
真琴が戸惑っている隙にスカウト男はあやめの死角から黒スーツの男たちを接近させていた。
「ねっ真琴、こいつらは人の背後から襲ってくるような虫けらなのよ!!」
振り向き様、黒い薙刀で二人の男の首を薙ぎ落としたあやめ。その顔は殺戮の愉快さを楽しみ微笑んでいる。
「えっ、えぇぇ!! あわあわ…あやめ…あやめ先輩、首、首が…あの人たちの首が!」
「大丈夫よ真琴、あれはゴキブリみたいな物だから問題ないのよ」
「そ、そ、そんなことないよ…人だよ、殺人だよ」
「『S.S.B』はそれが許される組織なの。ほら、真琴もやってみなさい、気持ちいいから…」
クルクルと頭の上で薙刀を回転させたあやめが男たちに切りかかる。
「外の部隊を呼びなさい! なんとしても取り押さえるのです!!」
瞬く間に半数以上の隊員を切り伏せられたスカウト男は門扉の近くにいた隊員に外の部隊への伝達を指示するが
その男も足元から崩れ落ち、彼が立っていた場所に見覚えのある二つの顔が並んで立っていた。
「き、キミたちは!!」
全身に返り血を浴び、血塗られたナイフを持って佇んでいるクィンスに蘇生された『X-fix』の女性隊員。
「ちゃんと全員始末した? ついでだから、そこのゴキブリもお願いできるかしら?」
コクリと頷いた二人はあやめが向き合っていた隊員に向かって走り出すとそのまま体当たりしてナイフを突き立てた。
「彼女たちも『S.S.B』に洗脳されているようですね」
「フフ… あの二人に殺されるなんて大した事ないのね『X-fix』って。彼女たち、改造するだけ無駄って言われたのよ。
だからわたしが処分してあげたのに、物好きな人が二人を蘇生させて結局改造したみたい。二人の体に洗脳ガスを詰め込んで『X-fix』に帰すんだって…」
「洗脳ガス…これは恐ろしい計画を聞いてしまいました。是が非でも防がないと大変なことになりますね」
鎖鎌を振り回しているスカウト男との間合いを計りながら近づくあやめ。
スカウト男は呆然と佇んだまま動かない真琴を楯にしようとゆっくりと近づく。
「卑劣なゴミ…真琴を楯にするつもりね」
「楯にするだなんて人聞きの悪い…『S.S.B』に狙われている少女を保護するのも我々の務めですから」
スカウト男は真琴の腕を掴むと鎌の刃を真琴の首に当てた。
「さぁ春日さん、私と『X-fix』に戻りましょう。我々が全力であなたを護りますから。榊山さんは大人しくして下さいよ。私は汚れることが嫌いでして…」
「真琴、これで判ったでしょう。わたしとそのゴミ、どっちを信用したらいいか。シルヴィー様はそんな卑劣なことはしない。真琴なら判るよね」
「う、うん…でも…ダメだよ…人殺しはダメだよ…あやめ先輩」
「そうです、殺人はいけません。我々『X-fix』は人を殺したりはしません。それに春日さん…」
スカウト男が真琴の耳元で囁く。
「あんな醜いバケモノにされた榊山さんを助けたくないんですか。『X-fix』なら榊山さんを元の姿に戻すことができます。
榊山さんにこれ以上、人殺しをさせたくないでしょう。私に協力して下さい。ここで起きたことを無かったことにも出来ますよ」
「真琴、わたしが醜い怪人に見える? 刃を突きつけて話をするゴミの言葉を信じるの?」
「惑わされてはいけません。あなたも榊山さんと同じように平気で人を殺すバケモノにされていいんですか!! さぁ、剣を構えなさい」
「あやめ先輩はバケモノじゃないよ…カッコいいよ……でも人殺しはヤダ…絶対ヤダ…」
両手で柄を握り直した真琴が小さく震える切っ先をあやめに向けた。
「そっか…真琴は勝負がしたいって、わたしに勝ちたいって言ってたよね…」
自分に刃を向けた真琴を冷たく見据えるあやめ。
「真琴がその気なら……殺すよ!!」
「ど、どうして…あやめ先輩と僕がこんなことを…」
「いまさら何を言ってるの! 真琴がわたしの言葉を無視して、その男を信じたからでしょう!!」
本気で自分に討ちこんで来るあやめの攻撃を渾身の力を振り絞って抵抗する真琴。
「そ、そうだけど…」
「素直にわたしの言うことを聞けば、真琴を殺さずに済んだのに!!」
「だ、だって、あやめ先輩 人、殺しちゃったんだよ…」
(ほほぅ… 報告どおりいい太刀筋です。あれを手に入れるためなら、このくらいの被害は致し方ありませんね。
春日真琴はいいとして、問題は榊山あやめがどこまで改造されているのか… 何にせよ、捕獲しないと話しになりません)
スカウト男は真琴と刃を交えているあやめの背中目掛け得物の鎌を投げた。
「危ない!! グフッ…」
真琴をかばうように背中で鎌を受け止めるとその場に膝をついた。
「あやめ先輩? エッ、あやめ先輩!!」
あやめの背中に深々と刺さっている鎌が目に入った真琴の頬を涙が伝う。
「どうして…避けなかったの…どうして……僕を…」
「だって…真琴は大切な……ウグゥ…」
「あやめ先輩!!」
「大丈夫ですよ。急所は外れています。クックック…」
スカウト男はあやめの髪の毛を掴み、強引に立たせると刺さっている鎌をグリグリと捻じ込む。
「グハッ…」
「イアァァァァ… 止めて、あやめ先輩が死んじゃう!!」
「…さっさと…殺せ…」
「イヤです。尋問して『S.S.B』の情報を聞き出してから、記憶を戻す『逆洗脳』を施して差し上げます」
残忍に微笑みあやめを投げ棄てると懐の麻酔銃を取り出して、元『X-fix』女性隊員に向けて発射した。
「お前たちは体を調べてから処分しないと、洗脳ガスの話が本当なら大変なことになりますからね」
「乱暴にしないでよ! あやめ先輩、あやめ先輩!! ねぇ『逆洗脳』って何、あやめ先輩をどうするのよ!」
「心配しなくても大丈夫です。我々の医療施設で『S.S.B』に改造された記憶を元に戻す処置です。
多少、手を加えさせて頂きますがね。それと春日さん、いろいろ知り過ぎたあなたにも簡単な記憶操作を施させて頂きますよ」
冷たい笑みを浮かべ麻酔銃を真琴に向けるスカウト男。
だが、銃口を向けられた真琴の手はスカウト男が引き金を引くより早く動いていた。
「イヤっ! もうイヤだぁぁ!!」
「イタタ…なにするんですか…春日さん……痛いですよ…」
真琴の刃はスカウト男の左胸に刺さっていたが、致命傷には達していなかった。
「エッ…あっ…ちがう…どうしよう…どうしよう…僕…僕…人刺しちゃった…」
「やれば出来るじゃない、真琴」
「あ、あやめ先輩! よかった…ケガ、大丈夫? どうしよう、僕、人刺しちゃった」
「ダメよ、ちゃんと止めを刺さないと」
「エッ? あやめ先輩?」
あやめの黒い手が真琴の手に添えられ、一気に男の胸を貫く。
「ゲフッ……まだ動けたのですか…」
「フフフ…こんな物、痛くも痒くもないわ」
あやめが指でつまんでいる鎌は刃が砕け散り柄だけになっていた。
「し、芝居…だったと…ゴホフッ……」
スカウト男の口から溢れ出た血が真琴の顔を紅く染める。
「ヒィィィィ イヤ…だめ…死んじゃダメだって!!」
「真琴、伝わってくるでしょう。ゴキブリの止まりそうな鼓動… とっても気持ちいいでしょう」
「ダメぇ! 死んじゃダメぇ!!」
男の体はゆっくりと仰向けに倒れピクリともしなくなった。
「死んじゃった…この人死んじゃった…僕…僕…人を殺しちゃった…人を…人を…僕が…人を…」
持っていた刀を投げ捨て両手で顔を覆う真琴は目を見開きパニックに陥っていた。
「大丈夫、大丈夫だよ真琴…」
優しく真琴を抱きしめるあやめの顔は満足感で満たされていた。
あやめが生まれ変わった人の形に窪んだ改造台の上に真琴が寝かされている。
「僕…人を…人を…」
「真琴が殺したのゴキブリだよ。だから気にしなくていいんだよ 真琴」
「…あやめ…先輩……僕が……のは…ゴキブリ…」
「そうだよ真琴、真琴は褒められることをしたんだよ。だからシルヴィー様がご褒美をくださるって」
「シルヴィー…さん……ごほうび…」
「これからもずっと一緒だよ、真琴。 何も考えなくていいから、わたしを信じて真琴は眠っていればいいから」
「あやめ…せん…ぱ…を……しん…じ…」
口元に取り付けられた酸素マスクで鎮静剤を吸引していた真琴の意識は途絶えた。
「人を刺したくらいでパニックになっちゃってみっともないヤツぅ〜」
「クィンス様 まもなく肉体強化が完了します」
「は〜ぃ、それじゃあシルヴィーさまぁ、こいつに『Rouge』を着せちゃいますよぉ〜」
全くやる気の無い顔でクィンスがシルヴィーを見る。
「いまの状態で大丈夫なのか、クィンス」
「パニックさえなくなれば、たぶんですけどぉ、だいじょーぶですよぉ」
「クィンス!!…様、真琴にもしものことがあれば、わたしは!」
クィンスの肩を掴んだあやめの右手が鋭利な刃物に変わる。
「ノワール、止めろ。クィンスも、真面目にしろ」
「クィンス!!…様、申し訳ございませんでした! 真琴をよろしくお願いします!!」
「まかせなさぃよぉ、ぬぉわぁぁるちゃん!!」
激しく睨み合ったまま言葉をかわす二人。
(あっ…いいこと思いついちゃったぁ…)
「クィンス様 肉体強化完了致しました」
「はいは〜い。『Rouge』を着せる前に、すこ〜しだけ意識操作をやっちゃいますよぉ。お前とあなた、ちゃちゃっと準備してくださぁ〜い」
ニヤニヤしながら専用の携帯端末を取り出したクィンスが椅子に座ったまま背中を丸くして、恐ろしい速さでデータの入力をはじめた。
(もっと早く気付くべきでしたぁ。るぅじゅちゃんを従順なペットにしておけば、いざと言うとき反抗的なぬぉわぁるを…)
「できたぁ〜 それっじゃあ、るぅじゅちゃんの意識操作やっちゃいまぁすぅ」
椅子から飛び降りて改造台に駆け寄ったクィンスが真琴の頭にセットされた装置に持っていた端末を繋げキーを押す。
「クィンスちゃん特製、心のお薬ですよぉ〜これで気分スッキリ頭スッキリで〜すぅ」
急にテンションが高くなったクィンスをあやめは疑いの眼差しでみつめる。
「むふふふ…だぃじょぉうぶですよぉ、ぬぉわぁるちゃん。ちゃぁぁぁんと、るぅじゅちゃんに『Rouge』を着せちゃいますからぁ」
意識を失っても眉間にシワをよせていた真琴の顔に微かな微笑が浮かぶ。
「うんうんう〜ん これでよぉ〜し!!」
椅子に駆け戻ったクィンスが真剣な目で真琴のステータス情報を確認する。
「うん、うんうん はぁ〜い、シルヴィーさまぁ、るぅじゅちゃんの準備できましたよぉ〜」
ご機嫌すぎるクィンスの様子から彼女が何か企んでいることをシルヴィーは察知したが、そのことには触れずに小さく頷いた。
「はぁ〜い それじゃあ『Rouge』の注入始めちゃいまぁ〜す」
真琴が寝かされている窪みに紅い偏光ゲルが注ぎ込まれる。窪みがゲルで満たされ、しばらくすると人の形が形成された。
「クィンス様 『Rouge』と素体の融合、完了致しました」
「はぁ〜い シルヴィーさまぁ、るぅじゅちゃん成功でぇ〜す。ゲルの調整はじめますねぇ」
紅く染まった真琴の体にケーブルや装置が繋がれ、モニターに表示される数値を目で追うクィンス。
「うんうん。スペックはノワールとほとんど同じですぅ。ゲルの硬化、軟化のテストも問題なしですぅ
制御ユニットは…正常に動作、同調完了っと。メンテナンスプログラムすたぁとぉ〜」
あやめの時とは別人のようにテキパキと作業を進めるクィンス。
真琴の紅い体が所々色が抜けて半透明になってゆく。
あやめと同じように顔の一部と右腕全て、胸と局部だけに深紅が残り、それ以外は紅い半透明で肌の上で虹色に輝いている。
そして、真琴の左腕にも『S.S.B』の一員となった証のタトゥーが浮かびあがっていた。
「うぅ…うぅ〜ん………ここどこ…」
「おぉ〜! 目が覚めましたね、るぅじゅちゃん」
「真琴!!」
「あっ…あやめ先輩だ……ここどこですか…ボクはどうして………で、あんた誰?」
自分と目が合った真琴がボソリと呟いた言葉にクィンスの全身が凍りつく。
(あんた誰?…いまそう言いましたよね………どうしてですかぁ!!)
椅子に駆け戻ったクィンスが再び携帯端末を取り出して真琴の意識操作に使ったデータを見直しはじめた。
「生まれ変わった気分はどうだ春日真琴。いや、我が剣『ルージュ』」
「あっ…シルヴィーさん………へ?…生まれ変わった?…ルージュ?…なにそれ…」
「真琴も『S.S.B』の一員として、シルヴィー様の下で働くことになったのよ」
「へ?…だって…あやめ先輩…妙な連中とはあへ?……な…に……はひ……あひ…ほへ…」
真琴の局部から頭に向かって虹色に輝く紅い波が押し寄せ、波が頭に到達するたびに真琴の体は震え声を上げた。
「ボクは…ルージュ……『S.S.B』に従う……シルヴィーさまに従う……に従う…」
「気分はどうだ? ルージュ」
「はい… とってもいい気持ちです…シルヴィー…様」
「ルージュ、わたしが分かる?」
「もちろん……これからも一緒です…ノワール………あれ…思うように体が動かない…」
「まだ調整が終わってませんから動けませんよぉ」
ニコニコしながルージュの顔を覗き込むクィンス。
「あっ……クィンス………ちゃん……」
(冷静に考えれば、さっきはまだ意識が『S.S.B』に覚醒してなかったじゃないですかぁ)
「ルージュ、この人はシルヴィー様の副官、クィンス…様。 クィンス…様と呼ばないとダメよ」
「あぁ、るぅじゅちゃんはそう呼ばなくていいですよぉ〜 だって仲良くなれる気がしますからぁ」
「ルージュ、『S.S.B』の一員として働けるか?」
「はい、勿論です。シルヴィー様、ボクはシルヴィー様の剣『ルージュ』です」
シルヴィーを見上げて嬉しそうに答える真琴。
「期待しているぞ。クィンス、ルージュの調整は任せる。 ノワール、一緒に来い」
「はい、シルヴィー様」
「はぁ〜い シルヴィーさまぁ〜」
数日後、或徒たちは敵となった二人と再会することになった。

リンクして頂いております「Kiss in the dark」の管理人g-than様から
本作品のイメージイラストを頂きました。g-than様、SSのイメージを膨らませる
素敵なイラストありがとうございました。
全てが碧に輝く部屋。
寝台の上に寝かされていた裕未が体を起こした。
「ここは…わたしは…一体…」
壁や天井を見渡してから裕未は自身の体に目をやり、じっと手のひらを見つめた。
「…わたし……」
どうして自分がここにいるのか、何をしていたのかを思い出そうとしていた。
しかし、もう少しで何かを思い出せそうになると頭の中が白い霞で覆われ、幾つかの言葉が浮かんでくるだけだった。
「…邪竜帝国……邪剣士……ユミーザ……身も心も捧げる……」
裕未は頭の中に浮かんだ言葉を呪文のように唱えた。
「ユミーザ……それがわたしの名前 邪竜帝国……それがわたしの…… 違う…なにか違う気が…」
モヤモヤする頭を押さえながら立ち上がり部屋の中をいろいろ調べはじめた裕未は部屋の隅にあった扉を開いた。
「シャワールーム……みたいね」
トカゲかヘビか判らない頭が下向きに口を開き、その少し下にはトカゲの手のようなレバーがある。
「シャワーを浴びてスッキリすれば、このモヤモヤがなくなるかも…」
裕未はスーツの前身頃の重なりに指を掛けると胸元を大きく開いた。
そして、腰の位置までスーツをずらしたところで動きが止まる。
「くふぅぅ… 奥まで入ってるぅ………はぅ…いぃ…」
ゆっくりと快感を味わいながらスーツをずらし、中の異物を取り出す裕未。
「…あふぁぁ…ひっぱられてぇ……きもちいい……いっちゃう…」
いまの裕未は薬の効果で快楽だけを求め、なぜそんなものが挿入されているのか疑問すら抱かない。
小さく身震いしながら、半分くらい抜いたところで一気にスーツを足首まで下ろした。
「はぁっ……いいぃぃ……」
しばらく寝台の端につかまり、お尻を突き出した格好で迎えた絶頂の余韻に浸っていた裕未は
ポタポタと秘蜜を垂らしながらシャワールームに向かった。
「ふぅ……なんだろう…スーツを脱いだら少し頭が… そう言えば、なんであんな物を挿れて……それよりここはどこよ…どうしてわたしは…」
ようやく疑問を抱き始めた裕未はトカゲの手のレバーを下げてシャワーを浴びはじめる。
「うっ臭い!! なにこれ…この水」
邪竜兵と同じ生臭い匂いがする黒い水を頭からかぶった裕未は、慌ててレバーを元に戻そうとしたがその手は止まった。
「…臭い…消す…」
ボソッと呟いた裕未は何もなかったかのように、上を向いて顔から黒い水を浴び恍惚の笑みを浮かべた。
「いい香り……この不愉快な人の臭い…洗い流さないと…」
ギールは裕未を半覚醒状態にして、いくつかの暗示を刷り込んでいた。
黒い水の『匂い』も暗示を発動させるキーとして設定されており、裕未は刷り込まれた暗示に従い、人の臭いを消し去ろうと黒い水で入念に体の隅々までを洗い流した。
「臭いは消えましたか? ユミーザ」
裕未がシャワーから出てくると、ソファーでくつろいでいるギールが腐らせて赤黒くなった人の血を啜っていた。
「ギール!」
「ユミーザ、私のことはギール様と呼ぶように教えたはずですよ」
「なぜわたしが敬称をつけて、あなたを呼ばなきゃいけないのよ!」
反抗的な眼でギールを睨むが、ここに連れて来られたときほどの敵意はなかった。
(実験体のように簡単にはいかないようですが、効果は十分のようですね)
ギールは快楽と薬による催眠暗示の効果を確認すると。
「とにかくスーツを着けなさい。話はそれからです」
「わたしに命令しないで!!」
寝台の脇に脱ぎ捨てたスーツを取ると黒い雫で濡れたままの体を爪先からスーツの中に入れ、スーツのクロッチでそそり立っている
邪竜兵の生殖器を指で広げた秘裂に深々と挿入し、腕、上半身もスーツの中に入れてしっかり体にフィットさせると身頃を重ね合わせた。
「うぅぅん……気持ちィィ……」
スーツを着けてギールの前に戻ってきた裕未の瞳からは反抗的な輝きは消え、薬と挿入した生殖器で昂められた快感に頬を紅く染めていた。
「ユミーザ、あなたは何者ですか」
「はい、わたしは邪剣士ユミーザ。邪竜帝国に身も心も捧げる邪剣士ユミーザです」
「私が誰だかわかりますか」
「はい、ギール様です」
「ドラゴンナイト、ドラゴンレッドを知っていますか」
「ドラゴン…レッド… わ、わかりません…申し訳ございません ギール様」
スーツを着けた裕未はギールの言葉に従順に従った。
「ならば教えてあげましょう。ドラゴンナイトはあなたが倒すべき敵」
「はい、ドラゴンナイトはわたしの敵、倒すべき敵です」
ギールは裕未に言い聞かせるようにして新しい記憶を植え付けて行く。
「今日はこれでいいでしょう。ユミーザ、いい物を見せてあげましょう」
ギールは自分の隣に裕未を座らせると人々が邪竜兵に襲われ逃げ惑う光景を壁に映し出した。
「これは…」
「泣き叫ぶ人間の姿を見ながら啜る血は最高です」
「はい、とても素敵な光景です」
壁に映し出される光景をうっとりとした顔で見つめる裕未は体を弄りはじめていた。
ギールは空いているグラスに快楽を昂める薬と自分が啜っている人の血を注ぎ、半開きになっている裕未の口に流し込んだ。
「これが腐らせた人の血です。この味も覚えなさい」
「んぐ…んぐ…んぐ…………美味しい……とても美味しいです…」
口の端にこぼれた血を舌で舐め取りながら虚ろな瞳をギールにむける。
「はぁぁぁ…人間どもの泣き叫ぶ声……ゾクゾクする…頭が…体が痺れます…」
裕未の意識と記憶はギールの思うように作り変えられていった。
「クレズ様、従者『スウェン』『サーカム』を連れて参りました」
クレズの前に従者となった希(スウェン)と春香(サーカム)が跪き頭を下げた。
「ご苦労様、フォートナイト」
「クレズ様のご命令通り、ミメイル様にお仕えするように設定致しました。それと
こちらが例の作戦の詳細データにございます」
「ありがとう」クレズは受け取った小型端末の画面を見つめながら微笑む。
(ニムダに感謝しなくちゃね。労せずトロイ兵を増員がきるんだから……それに…)
「う…うぅぅん………わ…わたし…」
「目が覚めたのね。ミメイル」クレズが優しく微笑みながら麻由美の顔を覗き込む。
「あ…クレズ様……わたし…どうして…………何も…何も…憶えて…」
麻由美は頬を赤らめ潤んだ瞳でクレズを見つめる。
(この様子だと過去の記憶は上手く消せたのかしら……
それにしても、これが『ウィルス』と戦っていた戦士とは思えない変貌ぶりね)
「あなたは悪い夢を見ていたの。だから、何も気にしなくていいわ。これからはずっと一緒よ」
「はいっ、クレズ様」麻由美は身体を起こすと、クレズの腕に抱きつき笑顔をみせた。
「ミメイル、この2人をあなたにお返しするわ」
「え?…トロイ兵……ですよね…」
「2人のこと…憶えていないのね…ミメイル。この2人は…」
「待って…下さい……この子たち……」
「ミメイル様……ご記憶が…」
「その声……希さん、希さんよ。あなたが春香さんで………ちがう…何を…言ってる……
2人は……この2人は…『従者』……私の『従者』……『スウェン』と『サーカム』」
「ミメイル様……私たちのことを……」
「スウェン、サーカム……私の命令通り、クレズ様をお守りしていたのね」
「はい、ミメイル様のご命令は絶対です」2人が声を揃える。
「ミメイル、あなたの大切な『従者』お返しするわね。2人とも、あるじのもとにお帰りなさい」
「かしこまりました。ミメイル様、何なりとご命令を」
「私の大切な『従者』スウェン、サーカム。あなたたちに会えて嬉しい…これからも宜しくね」
「ありがたきお言葉にございます」
(麻由美に植え付けた記憶…まだ不安定だけど問題はなさそうね)
「ミメイル、私はトロイ兵にする人間の捕獲に出かけてきます。あなたはもう少し休んでなさい」
「嫌…嫌です。クレズ様と離れるのは嫌です。一緒に連れて行って下さい……独りにしないで…」
麻由美は今にも泣きだしそうな顔でクレズを見つめた。
(うふふふ。可愛い)
「ミメイル…そう言ってもらえて嬉しいけど、バスターズが現れたら戦えるの?」
「はい、バスターズは敵……クレズ様の邪魔をする敵です」
「……わかった。一緒にいらっしゃい。そのかわり、これを着けるのよ」
クレズは赤いウィルスの紋章の入った白い石のペンダントを麻由美に手渡した。
「クレズ様……これは…」
「そのペンダントの紋章に触れながら『フィザー』と唱えて御覧なさい」
「はい」麻由美はペンダントを着けてクレズに言われた通りの動作をする。
「フィザー」
ペンダントの紋章が妖しく光り、白い輝きが麻由美を包み込む。
その輝きは直ぐに収まり、白い人型が姿をあらわした。
白く輝くスーツに頭はウィルスの紋様のあるヘルメットで完全に覆われ、
腰にはベルトと細身の剣が携えられていた。
「それはあなたの新しい鎧」
「嬉しい……ありがとうございます。クレズ様。これを着けたら身体に力が…それに…」
「それに?…どうかしたの?」
「身体が…あっ…熱く……まるで…クレズ様に…」
「うふふふ、その子もミメイルの事が気に入ったみたいね。その鎧は生きているのよ」
「えっ?…生きて…いる?」
「そうよ。ミメイルが自分のあるじに相応しいと認めたから、あなたを悦ばせようとしているの。
あなたが昂ぶれば昂ぶるほど、その子は力を与えてくれる。ミメイルなら『フィザー』を使いこなせそうね」
「『フィザー』……この子…あっ…『フィザー』って…言うんですか…」
「どう、気に入ってもらえたかしら」
「はい…とっても…はぅ…宜しくね『フィザー』……あぁぁん……気持ちイィ…」
「うふふ、顔の紋様が輝いてるわ。『フィザー』も、あなたに気に入ってもらえて悦んでいるのね」
「クレズ…様……くうぅぅ…ダメよ……そんな……」
「どうしたの? ミメイル」
「…わたしが…この姿の…イィ…ときは…くぅ…『フィザー』…とお呼び…下さ…イクぅぅぅ」
「…ミメイル……イッちゃったのね。あなたの身体が輝いているわ。
『フィザー』は、あなたのウィルスも気に入ったみたいよ。ウィルスの白い戦士『フィザー』」
(うふふ……素敵。ニムダを倒した戦士が、今は、私の『従者』)
「この子イィです。力が…力が溢れてくる。それにとっても気分がいい……
『フィザー』あなたにもっと…おいしいウィルスをあげる……だから…私にも…もっと……」
(ミメイルを見ているだけで…私も濡れてきて……)
この様子を見ていたクレズが、ふと、壇下に控える2人の従者に目を向けた。
トロイ兵になり快楽さえも完全にコントロールされているはずの2人が、もじもじと下半身をくねらせていた。
(この娘たちも……)
「あなたたちもご主人様のウィルスがほしいのね」
「は…はい…」2人が声を揃えて返事をする。
「ミメイル、『フィザー』と遊ぶのはそれくらいにして、スウェンとサーカムとも遊んであげなさい」
「ミメイル…様…」
「あっ…ゴメンね…あっくぅ…フィザー…また後で…お願いね…」顔の紋様が輝き麻由美が元の姿にもどる。
「ミメイル様……私たちにも……ミメイル様の…ウィルスをお与え下さい……お願いします……」
「スウェン…サーカム…」麻由美は2人の従者に近づき、そっと秘所に触れる。
「あぁっ……」
「…濡れてる…の?…」
「は…い……申し訳…ございません…」
「謝らなくてもいいの…ほら…」
跪いているスウェンを仰向けに寝かせると、その唇に吸いつきお互いの舌を絡ませ合う。
サーカムがあるじである麻由美の秘所に顔を近づけると、従者の奉仕を悟ったかのように
麻由美のスーツが覆い隠していたもう一つの口が露わになり、そこからウィルスが溢れ出した。
その溢れ出すウィルスをサーカムは零すことなく、優しく舌で絡めとってゆく。
瞬く間に、赤と黒のオブジェとなった3人が悦びの声をあげる。
(私も……我慢できない……)
「うふふ。今から人間の捕獲に出かけるのは無理みたいね。フォートナイト、作戦は明日に…」
フォートナイトを笑顔で見やったクレズは自分の目を疑った。
クレズの従者であるフォートナイトがあるじに背を向け自慰に陶酔している。
(フォートナイトが……なぜ…)
「フォート…ナイト……どうしたの…答えなさい……」
「フォートナイト、そんなところに居ないで、あなたもこっちにいらっしゃい」
クレズと麻由美の2人から同時に出された命令に、フォートナイトは迷うこと無く答えた。
「はい…ミメイル…様……」
あるじの命令にのみ忠実に従うはずの従者があるじであるクレズの命令ではなく、
その従者であるミメイルの命令に従っていた。
(し…信じ…られない……これは…いったい…どう…いう……こ…と……)
赤と黒のうねりから放たれる甘い香りがクレズの思考力を完全に麻痺させる。
(………どう…でも…いいわ……わたくしも……ほしい…)
「クレズ様も…こちらに……」
「…ええ…ミメイル…わたくしも……」
目に見えない力に支配されたクレズもまた、目の前の黒溜まりから伸びる赤い触手に絡めとられ
そのまま呑み込まれてしまった。