Okinotorishima island
the southernmost island of Japan
2001年12月31日、客船"飛鳥"で日本最南端「沖ノ鳥島」に最接近しました。
一般人には見る機会のない島ですので、素人ながら撮った写真をご紹介したいと思います。
その前に「沖ノ鳥島」についてちょっとご説明を…。
・沖ノ鳥島とは? ・「飛鳥」が行けた理由 ・持参したカメラと言い訳色々 ・沖ノ鳥島の写真 ・今後、一般人が見る機会はあるか? ・沖ノ鳥島を管理しているのは ・「沖ノ鳥島フォーラム」レポートNEW ・ご参考(沖ノ鳥島関係Link) ・追記 |
沖ノ鳥島とは ? |
日本の一番南に位置する島(N:北緯20度25分 E:東経136度05分)。東京から南南東に約1,700km離れたところにあります。台湾よりも、ハワイのホノルルよりも南にあたる熱帯ですが、周囲何百キロも島のない絶海の孤島です。
「島」という名前がついていますが、実際は広い環礁の中に高さ1m弱の岩が二つあるだけ。この岩が風化したり波の下にもぐってしまうと、日本の排他的経済水域40万平方km分を失ってしまうことになります。日本の国土面積が約38万平方kmですから、いかに大きなものかお分かりいただけると思います。 今はこの岩を守るためにテトラポットとコンクリートで周りが固められ、チタン製の蓋までされているとのこと。距離的にも大きさ的にいっても、一般人が出かけていって上陸できるような場所ではありません。監視塔はありますが、今は無人のようでした。
私がこの島に興味を持ったのは、日本の領土や経済の問題からではなく、単純に日本の最果てを見てみたいという理由からです。船に乗り始めてその魅力にはまった私は、船でしか行けないような島に行くのが夢でした。船に乗るたびに船会社へのアンケートで「沖ノ鳥島や南鳥島に行くクルーズをお願いします」と書いていましたが、それから10数年してついに客船クルーズで沖ノ鳥島に行く夢が実現しました(南鳥島の方はこの1年前に客船「ふじ丸」で見ることができました)。船の名は「飛鳥」、日本で一番大きい客船です。このクルーズが発表されたのは半年前の6月。年末の予定がどうなっているかも考えず、この機会が最初で最後かもしれないと申し込んだのでした。
Okinotorishima island is located about 1,700 km from Tokyo.
This island is not big. In fact, there are 2 small rocks over the sea.
They are called "Higashikojima" and "Kitakojima" and coverd by concrete so we can't see the rocks directly.
There also a watchhouse near the rocks.
We can't land at this island. I saw that from passenger boat "Asuka".
「飛鳥」が行けた理由 |
沖ノ鳥島は水深2mほどの浅い環礁の中にある島ですが、その環礁の外はいきなり水深200mもの深さになっています。ですから大型船でも近くを通ることは可能です。ただし操船を誤ったり強風に船があおられたりした場合、浅瀬に乗り上げて座礁してしまう危険もあると思います。
今回の飛鳥のHキャプテンは、島があればできるだけ寄って見せてあげようというサービス
精神旺盛な方でした。そのため、沖ノ鳥島でもギリギリまで環礁のそばに寄ってくれました。おそらく環礁の際から500mくらいのところまで寄せてくれたと思います。このキャプテンがいらしたからこそ、一般人でも島をよく見られたのだと感謝しています。
また「飛鳥」の高さは29.6mですから、そこの一番上のデッキがおそらく20mちょっと、ビルの8階くらいの高い位置から見ることができました。それでもコンクリートの真ん中のくぼみの中までは見られなかったのが残念です。
Okinotorishima is a coral island.
In 2001, on the way from Yokoham to Guam, "Asuka" went to Okinotorishima island. This is the course of the ship when we saw the island.
沖ノ鳥島を飛鳥が回ったときのコース(2001.12.31)
右方向の南硫黄島方面からやってきて半周し、右下のグアム方面へ向いました。
環礁の大きさは、東西が4.5km、南北が1.7km。北小島のあるあたりは、南北の幅が500mほどです。
The coral is 4.5km from east to west, 1.7km from north to south.
持参したカメラと言い訳色々 |
カメラの3倍ズームでは足りず、双眼鏡のレンズにデジタルカメラのレンズを つけて撮影という強硬手段に出ました。かなりの強風と揺れる船の上からでしたので ブレた写真の方が多くなってしまったのですが、それでもかなりはっきりと 島を撮ることができたのではないかと思います。
あわせて、ブリッジからの風景が部屋のテレビに写っていましたのでビデオで 録画していたはずなのですが、あまりに長時間録画を続けたため、テープが巻き戻って 上書きされてしまいました。貴重な沖ノ鳥島のビデオ映像が消えてしまいました(;_;)。
沖ノ鳥島の写真 |
東小島の北側から沖ノ鳥島に接近 From north |
東小島 "Higashikojima" (east small island) |
北小島 "Kitakojima" (north small island) |
観測施設 Watchhouse |
水 路 Waterway |
観測所基盤 Island for work |
島を見る人たち Passenger who look at the Island from Asuka's top deck |
沖ノ鳥島遠景 Distant view |
ご参考:(沖ノ鳥島を見た時の乗船記へ
今後、一般人が見る機会はあるか? |
今回は日本で客船クルーズが本格的になってから10年たって実現したクルーズでしたが、 これ一度きりでなく今後も沖ノ鳥島を見ることのできるクルーズができる可能性は十分に あると思います。
既に「飛鳥」が沖ノ鳥島に寄った1ヵ月後の2002年1月31日、客船「ぱしふぃっくびいなす」 が神戸からパラオに南下する途中寄ったそうですし、10年ほど前にもセイルトレーニング用の 帆船「海星」が父島に寄る代わりに予定を変更して沖ノ鳥島に寄ったという話を聞いております。
沖ノ鳥島は、日本最東端の南鳥島と違って日本からグアム方面に南下する航路に比較的近いので、東京からグアム方面に行く途中、1−2日の余裕があれば行けると思います。冬のシーズンには日本から 南下してオセアニア方面に向かう客船が多いので、航路が近ければ寄る可能性もおおいにあると思います。私が参加した今回のクルーズでは、横浜から出港して4日目に沖ノ鳥島に最接近し、その2日後にグアムに着きました。沖ノ鳥島に寄らなくてもグアムまでは4−5日かかりますので、時間に余裕があれば"ついで"に寄れる距離だと思います。
[補足]
2003年12月26日からの「飛鳥 年末年始グアム・サイパンクルーズ」の途中、再び「飛鳥」が沖ノ鳥島に近づいたそうです(2004年1月2日)。
また、その後も「飛鳥」の年末年始クルーズ(行き先は同じくグアム・サイパン方面)で、沖ノ鳥島を見せてくれたという話を聞きました。最後に接近したのは2005年年末〜2006年年始。その後「飛鳥」がドイツに売却され、5万トンの「飛鳥U」となってからは接近していません。船が大きすぎて難しくなっているのかもしれませんし、沖ノ鳥島に寄るのに丸1日余計にかかってしまうために、コースとして避けられているのかもしれません。また、あまり「沖ノ鳥島に寄る!」と宣伝してしまうのがまずい情勢になってきたことも理由になっているようです。
このコース以外に、神戸からパラオを経由してオセアニア方面に行くクルーズでは、沖ノ鳥島のそばを通る可能性が高いです。ただし夜のうちに通過してしまったり、全然寄る気がなくて見えなかったり、天気が悪かったり、となかなかいい条件で見られることはないようです。このようなオセアニアクルーズは毎年1−3月に「飛鳥U」や「ぱしふぃっくびいなす」で開催されています。
(2007年3月16日記)
南鳥島の方も、ぽつんと東にあるためについでに寄ることができない島ですが、ハワイに行く (あるいはハワイから日本に来る)客船でなら寄れる可能性があると思います。実際、2001年 3月に客船「ふじ丸」がハワイから東京に戻る途中に寄ったそうです。寄ったといっても、もちろん上陸はできませんのでご注意ください。
沖ノ鳥島を管理しているのは |
沖ノ鳥島を管理しているのは、国土交通省 関東地方整備局 京浜工事事務所の海岸課というところです。
場所は、神奈川県横浜市鶴見区。JR京浜東北線の「鶴見駅」から北に歩いて10分ほどのところにあります。
ここに、沖ノ鳥島のパンフレットがあるというので、出かけてみました(2003.10.3)。
私が想像していたのは、玄関ロビーに"ご自由にどうぞ"とパンフレットが置かれている光景だったのですがロビーには何もなく、
受付で尋ねると海岸課に電話で連絡を取ってくれて、直接海岸課へどうぞ、と言われました。
こわごわと2階の奥、「海岸課」と書かれたコーナーに行きますと、海岸課の課長さんがパンフレットと名刺を持って
待っていてくださいました。 ここでは、勝手にパンフレットを持っていってもらうのではなく、来た人と面会の上、パンフレットを渡す、というシステムを
取っているそうです。
おかげで、課長さんに沖ノ鳥島のことを直接質問したり、こちらの希望を伝えたりすることができました。 その時に聞いた話をいくつか下記にまとめておきます。 私は連絡なしに突然訪れたのですが、できればあらかじめ海岸課に電話連絡してから行かれると良いと思います。 沖ノ鳥島について質問したい、という方は海岸課にどうぞ(すべてにお答えできるとは限らない、とのことです)
◆海岸課で伺った話から
・普通、海岸や島の管理はその地方の都道府県が行いますが、沖ノ鳥島は特別重要な場所なので、国が直接管理しています。
(平成11年度から。おそらく、保全のためにかかる費用が膨大なので東京都が悲鳴を上げたのでは、と思っています)
・沖ノ鳥島があるおかげで、日本の面積より広い40万平方kmの排他的経済水域をもつことができます。その意味で大変重要な島。
・東小島と北小島の二つの島がありますが、どちらが南というわけではなく北緯はほぼ同じだそうです。
・東小島だけチタンの蓋がしてあるのは、東小島が崩れやすいからだそうです。
(東小島は鼓のような形をした縦に長い岩で、北小島は横に平べったいお饅頭型の岩です)
・回りを固めている円形のコンクリートは、直径約50mだそうです。
・コンクリートの周りは、鉄製の消波ブロックです。
・点検や補修のため、年に2回ほど、係りの人が沖ノ鳥島に行くそうです。
・一般人の上陸は法的には禁止されていませんが、安全面のため極力控えて欲しい、とのことです。
(座礁の危険と、島に傷がつく危険)
・上陸するには、旧日本軍が掘った水路をボートで通っていくのですが、浅瀬のうえ潮流もあり、相当慣れた人でも危険なのだそうです。
◆発行されているパンフレット(日本語版のみ)
タイトル:「日本最南端の島 沖ノ鳥島の保全 −直轄海岸管理−」
大きさ :A3サイズを半分に折りたたんだ形
載っている写真:
空から見た沖ノ鳥島全景、コンクリートに囲まれる前の東小島・北小島(昭和62年10月撮影のもの)、
護岸工事後の東小島・北小島(平成元年撮影のもの)、劣化したコンクリートの様子、コンクリートの補修状況、
コンクリートなどの耐久性試験の様子、海中生物、気象・海象観測の様子
現在発行されているものはこれだけで、絵葉書や写真集といったものは存在しないそうです(残念)。
ご参考(Link) |
「沖ノ鳥島フォーラム2007」レポート |
◆追記 2007.6
日本クルーズ客船の船「ぱしふぃっくびいなす」が、2008年南太平洋アイランドクルーズで、
2008年1月11日に沖ノ鳥島周辺を走るそうです。島にどれだけ近づくかはわかりませんが、
島が見える可能性もあるかと思います。
詳しくはこちらから、「2008年南太平洋アイランドクルーズ(AB両コースともOK)」をご覧ください。