またもや「中大コンビ」だ。日本一に王手をかけて迎えた大一番。亀井、阿部のバットが火を噴いた。二回だ。一死から亀井が左中間を真っ二つに切り裂く二塁打で出塁。二死三塁から、今度は先輩・阿部が武田勝の外角スライダーを中越えに運んだ。
「少しタイミングを外されたけれど、しっかり芯でとらえることができた。打球もよく伸びてくれたね」
貴重な先制点をたたき出したのは、頼りになるキャプテン。だが、二塁ベースに到達した阿部にいつもの笑顔はなかった。
理由があった。一回二死一塁から日本ハムの4番・高橋の放った打球が巨人先発・東野の右手を直撃。そのままマウンドを降りた。後輩の悔しい気持ちは痛いほど分かっていた。
昨年のリーグ優勝を決めた試合で阿部も右肩関節挫傷の大けがを負い、途中交代していた。西武との日本シリーズの出場は代打とDHのみ。不完全燃焼だった。だから…。
「きょうの試合は絶対に先制点がほしかった」。5日の第5戦は、1点を追う九回に亀井の同点ソロと阿部のサヨナラ本塁打が飛び出して劇的勝利。3勝2敗とし、7年ぶり21度目の日本一に王手をかけた。
4つ違いの亀井と阿部は、札幌に場所を移しても絶好調。六回は二死一塁から小笠原の右翼線安打に稲葉の失策が絡んで1点を追加。リードは2点になった。
巨人は先発東野のアクシデントで緊急登板した内海が好投。救援陣による継投で日本ハム打線を抑えると、最後は守護神クルーンが締めて大一番を制した。
巨人・原辰徳監督
「うちの勝ちパターンの中で試合が運べ、最後はクルーンが抑えてくれると信じていた。胴上げは感無量。素晴らしいチームと戦い、日本一になることができたことは誇りに感じる。間違ってなかったと自信も深まった」
巨人・阿部
「最高です。とにかく苦しかった。やっと念願がかなった。みんなで勝ち取った日本一。サポートしてくれた裏方さんにも、ファンにも感謝です」