「情報鎖国・日本-新聞の犯罪」 ・・・ -の部分は朝日か? [実用]
情報鎖国・日本-新聞の犯罪 / 高山 正之
1.My Review Rank : ★★★★☆ + 孤独な日本企業
2.Published Data : ¥1680, 206Page,廣済堂出版,’00/12
3.Review Point : これは相当ショッキングな本. 日本のメディアは真実を報じ無い ことがわかる.
本書の中で、最も愕然としたのは、米国での三菱自動車アメリカに対するセクハラ訴訟(1996年).
日本企業は、貿易摩擦の回避などのため、米国へ数多く進出したが、いくつかの企業は、米国での利益を全て奪われる様な訴訟を受け和解金を支払っていた. しかし、 米国で孤独に戦う企業に対して日本政府の擁護はなく、日本のメディアも、日本政府,日本の世論を動かす様な報道を全くしなかった(事実を現地で確認することも無く、日本に対しては、米国のメディアの記事をそのまま他人事の様に流すのみ).
<三菱自動車アメリカのセクハラ訴訟>
米国の雇用機会均等委員会(EEOC)は、三菱自動車アメリカを女性従業員全700名に対する組織的なセクハラで訴え(総額2億㌦のセクハラ史上最大の訴訟)、米国のメディアでは凄まじい三菱叩きが始まった.
しかし、9年間の間に89件のセクハラは報告されていたが、都度対応は採られており、会社公認のセクハラという訴訟内容が事実無根のため、従業員は、2500人による大規模デモ (従業員の半数以上) 及び、女性従業員350人の連判状 のEEOCへ提出等、三菱を守るための行動に出た.
EEOCは、相当動揺したが、デモへ参加するためのバス代を三菱が負担したことを突き止め、「三菱は従業員を脅しこのデモをやらせた」 と言い出し、騒ぎは、議会,全米女性機構(NOW)まで波及した. 三菱不買運動が全米に広がったため、最終的に、三菱は訴訟の前に3400万㌦の和解に応じた.
更に、まだ続く、和解の3ケ月後、三菱の採用試験に落ちた者をかき集め、そのうちの何人かが腰痛やゼンソクで有ったことから、ADA法(米国身障者法)で訴え、三菱は更に300万㌦を支払った. 日本人としてなんともやりきれない話.
<旭光学のカメラ / 東芝のノート・パソコン>
旭光学は、カメラの表示の「アセンブルド・イン・ホンコン」に対する米国の言いがかり(米国得意のダブル・スタンダード)に対し、2000万㌦を支払った. また、東芝はノート・バソコンのフロッピー・ディスクの欠陥により、データが破損する可能性で、和解金11億㌦を支払った. 11億㌦は東芝の米国でのノート・パソコンの総売上げの4年間分を越える(4年間の努力が全てムダになった).
しかしながら、トヨタは法廷で闘うことを基本としており、旭光学は3年半, 東芝は3年近く、訴訟を伏せていた. 訴訟に対する企業の戦略にも問題が有ろうが、日本のメディアを信頼していれば、事案の公表も早まったのでは無いだろうか.
4.Summary : 本書には、その他、戦後賠償問題, 対韓・対中関係, 東南アジア情勢 等についての記述が有る. 各々日本のメディアが伝えてこなかった内容となっている.
著者は、1942年生まれ. 産経新聞に入り、テヘラン支局長, ロサンゼルス支局長 等を経験とのこと.
しかしながら、日本のメディアに失望しても、米国の身勝手に憤っても何も始まらない. 世界は白色人種が主導権を持ち、グローバル化後は、米国の一人勝ちで有る事に変わりはない.
日本のメディアの特派員が上記の様な事例で日本企業を擁護しないのは、自分が英語を話せ、米国で仕事が出来る事に関し特権意識を持ち、日本の一企業の訴訟問題など下々の話との意識が有るため. 今から生き残るためには、英語くらい話せないと、愚痴を言っても「負け犬の遠吠え」にしかならない 事は自覚すべき(これが現実).
<Excursus (追記)>
06年02月12日の日経新聞7ページに、「トヨタ製ハイブリット車 / 米、特許侵害で調査」 の記事が、まさに小さく載っていた. フロリダ州の「ソロモン・テクノロジーズ社」がITC(米国際貿易委員会)に訴え、訴えが認められれば、トヨタは、ハイブリット社を米国で販売出来なくなる恐れも有るとの記事. またも、和解金等で日本企業の米国での利益を搾り取る常套手段. トヨタ頑張れ.
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