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平成11年11月12日の独り言「プリンストン債(その後S)」
プリンストン債を保有する国内16社が米国の「プリンストン・エコノミック・インターナショナル」のグループと、投資資金の管理をしていた「リパブリック・ニューヨーク証券」のグループを相手に損害賠償請求訴訟を起こす準備を進めていることが分った。
月内にもニューヨーク連邦地裁に提訴する方針である。同債は日本企業約70社が保有しているが具体的な賠償請求の動きが明らかになったのは初めてのことである。
日本側の代理人の弁護士によると、16社の同債の保有額面は総額約353億円であるが、賠償請求額は「懲罰的な意味からさらに増える可能性もある」としている。また、クレスベール東京支店や販売を仲介した国内の証券会社への賠償請求については今のところ検討していないらしい。
この問題については、既にFBIも捜査官を日本に派遣、検察当局と情報交換を始めている。また、協定に基づいて外国の捜査機関と捜査資料の相互提供などを行なう「操作共助」にもFBIは前向きな姿勢を示しており、今後更なる事件の解明が進むことが見込まれる。また、ニューヨーク・リパブリック証券のサフラ氏が賠償に前向きな態度を示していることも日本の投資家にとっては明るい話であろう。
しかし、余談ではあるが、今回の訴訟の話の中で原告側にJR四国の名前があったのには驚いた。JR四国がプリンストン債を保有しているという話は初耳だったからである。クレスベールも本当にいろんなところに売り込んだものだと、今更ながらに驚いた次第である。
平成11年11月11日の独り言「特殊為替需給」
今日は平成11年11月11日。1並びの日である。11時11分にはJR各駅で入場券の発券が集中し、システムダウンするという事態にもなったようだ。
平成7年7月7日の7並びの日には、日銀による低め誘導発表とミスター円による円売り介入で円高に歯止めが掛けられたことは記憶に新しい。しかし、本日1並びの日に当局の介入の様子は窺われない。
本日紹介する「特殊為替需給」とは、本邦輸出企業によるドル売りヘッジのような恒常的為替取引ではなく、最近ユーロ安の引き合いによく出される、例えば、“アリアンツによるピムコ買収”や、少しずれかもしれないが「欧州投資家のNTT株の政府放出に対する払い込み資金手当て」などのことである。
今日取上げるのは、先日来レポートしてる東芝による「米訴訟和解金手当て」と「プリンストン債問題の和解金手当て」だ。
前者の東芝についてマーケットでは「その手当て金を為替市場で早晩調達する可能性がある」と噂される。11月4日の東京市場の早朝にドルが強含んだ際には東芝のドル買いの一部が実行されたとの思惑も台頭していた。東芝サイドはノーコメントとしているが、事実としても1日で10億ドルのドル買い手当てが終了したとは思い難いことから、今後も同様の思惑が再燃することはあり得るだろう。
また、NEC等も同様の訴訟を起こされていることから、さらに他のメーカーへの波及も懸念される。とすれば、東芝同様のドル手当て買いも今後予想されドル買い需要の一つとなろう。
後者のプリンストン債問題の和解金手当てについては、もし、リパブリック・ニューヨークのサフラ氏が賠償に応じた場合、「東芝問題」と全く逆のオペレーションが起こることとなる。
更に、サフラ氏の10億ドル捻出方法であるが、「サフラ氏の保有している株式の中から10億ドルを寄託する」と言われているが、NY筋によるとサフラ氏の保有株式の大半は米国株であることから、一口に「寄託」といっても状況次第では米株式に10億ドル相当の売り圧力が生じることとなり、米国株安にともなう米国からの資金流出がドル安を促進するということも懸念される。
このような特殊為替需給が相場の本来の動きを作るとは思われないが、こう着状態のマーケットの動きをブレイクさせるきっかけとなったり、また、マーケットが薄い時には思わぬボラティリティを生じさせたりすることは十分考えられるので注意したい。
平成11年11月10日の独り言「プリンストン債(その後R)」
プリンストン債の運用資金の管理を受託していた米有力銀行であるリパブリック・ニューヨークの創業者で名誉会長のエドモンド・サフラ氏が、保有株を英銀大手HSBCホールディングスに売却して得る予定の約33億ドルのうち、10億ドルを受け取らずにHSBCに寄託することとなった模様だ。
リパブリックは将来、被害を受けた日本企業から損害賠償請求される可能性があり、10億ドルはその場合の和解金の原資とすると見られる。欧米各紙が関係筋の話として報道した。
HSBCはリパブリックの買収を決め、条件交渉を続けている。サフラ氏はリパブリック銀行の約29%の株式を保有しており、HSBCのリパブリックの買収により同氏は33億ドルを受け取る計算である。このうち10億ドルを訴訟費用として寄託するということである。
リパブリック銀は直接の言及を避けているが、「今月末の臨時株主総会で株主から被買収の承認を受けられるよう最善を尽くしている」としている。
会長個人の資金で、全てを肩代わりするなんて、驚きの一言である。確かに最高責任者たる会長の責任は大きいが会社が被る損失であろう。どこかの銀行の社長のように銀行が破綻してもまだ、資産隠しを行なうようなレベルとは天と地との差を感じる。また、10億ドル拠出しても22億ドルが手元に残るという桁外れの資産家であるというのも恐ろしい。
このリパブリックの会長の行為によって、損失を被った日本企業には一筋の光が差し込んで来た。いやいや、真夜中に突然太陽が上ってきたくらいのインパクトかもしれない。
各社、9月中間期末で損失処理を行なっていることから、来期以降の特別利益が見込めることとなってきた。しかし、プリンストン債のデフォルトにより破綻認定された北兵庫信用組合には手後れである。大変お気の毒…。
平成11年11月9日の独り言「幸福銀行」
昨日レポートしたところであるが、プリンストン債のデフォルトで損失額が膨らみ、また、公的資金注入額も増えようという幸福銀行の前社長と長男で専務が親類宅などに現金や割引金融債計3億5000万円相当の資産を隠していたとして、大阪地検特捜部は前社長を強制執行妨害罪で追起訴、また、専務を同罪で在宅のまま起訴した。
起訴状によると、前社長は今年5月に同行が経営は短した後、9月中旬までに、同行金融整理管財人による資産の仮差押えなどによる強制執行を免れる目的で、親類宅や親類名義の銀行の貸し金庫など数箇所に分けて約2億3000万円の現金を隠匿。専務は同様に現金を約6300万円と割債約6000万円相当を隠していた。
多額の税金注入を行なおうとしているのに資産隠しなど言語道断である。経営責任など微塵も感じていないようだ。徹底的な責任の追及がなければ、今後もモラルの崩壊は続くであろう。
また、どうも、ずさんな有価証券運用をする人は、すぐお金を隠したり、税金を払わなかったりする様である。欲が深すぎてリスクマネジメントが出来ないということであろうが、どうやら結局は破綻のみちを歩む?
平成11年11月8日の独り言「プリンストン債(その後Q)」
あのプリンストン債を経営破綻した関西の第2地方銀行のなみはや銀行と幸福銀行の2行が保有していることが明らかになった。保有額は定かではないが、2行で50億円程度と見られている。まさか、まさかのことである。
両行は破綻に至る過程で財務内容の改善を狙って高利回りが期待出来る同債券を購入したと見られるが、破綻後に更に損失を膨らませる要因になろうとは思わなかったであろう。両行は9月中間決算で処理する模様であるが、両行の破綻処理には多額の公的資金が注入されることとなっており、今回の件で公的負担が増加するのは避けられない様相だ。
なみはや銀行がプリンストン債を購入したのは昨年の10月で、合併した後である。また、元利保証型の債券を購入しており、純粋に運用利回りアップを狙ったものであるようだ。SEC等の調べでは、同債券を購入した一部の企業が損失先送りのために同債を利用した実態が明らかになっているが、同行総合企画部は「合併の際に保有有価証券は時価評価しなおして資産計上しており、含み損の解消を意図したものではない」としている。一方、幸福銀行は「9月中間決算の発表までは明らかに出来ない」としている。
プリンストン債を保有していた金融機関で先月破綻した北兵庫信用組合は投資信託の含み損解消を狙って、約27億円の購入を行い、それが原因で破綻した訳であるが、なみはや・幸福両銀行はプリンストン債が破綻の直接の原因にはなっていないまでも、ずさんな有価証券運用体制が垣間見られる。破綻すべくして破綻した、とい言えよう。
平成11年11月5日の独り言「東芝A」
米国でのノート型パソコンをめぐる集団訴訟で和解することになった東芝は29日、西室泰三社長が会見し、「訴訟を継続し敗訴すれば1兆円近い額を支払うことになり、企業の存続に関わる。和解せざるを得なかった」と無念の表情で語った。和解金など総額1100億円の支出は、東芝が米国のパソコン市場で稼いだ純利益にほぼ匹敵する額らしい。訴訟が乱発され、巨額の賠償金が珍しくない米国でのビジネスの怖さを見せつけた。
東芝は、米国で1985年にノート型パソコンを発売以来、累計約500万台を出荷し、市場シェアも20%近くトップを維持している。問題となった記憶媒体のフロッピーディスクを制御する専用IC(集積回路)の不具合は、(1)複数のソフトを同時に起動(2)メモリー不足などでパソコンが操作を受け付けなくなる(3)フロッピーに書き込み動作をさせる――というめったに起こり得ない手順を踏んだ結果、「エラーが発生し、データー破壊の可能性がある」というものだ。
東芝は、こうした事例は1件も報告がないと争う方針だったが、6月になって「可能性が理論的にあり得ることを確認した」という。パソコンなど技術革新の早い製品は、発売前に十分なチェックをしても不具合が残ることもあり得る。東芝は「法的責任やパソコンの性能に問題があることを認めたわけではない」(西室社長)と話すが、和解金とはいえあまりの巨額な金をもたらした結果、同種の訴訟が続発する余地も残したと言える。
私も東芝のパソコンを愛用していが、普通に使用していれば、不具合が起こることはほとんどないであろう。あるとすれば後付けでハードディスクやCD-ROM,CD-R/RWなどを取り付けた場合であろう。
そういう私もCD-R/RWを取り付けたのはいいのだが、この前はウインドウズ95が立ち上がらなくなり、ホームページがアップ出来ないという状況に追い込まれた。東芝のユーザー・サポートに電話をかけて、復旧することができ、事無きを得た。
ユーザー・サポートの担当の方はかなり細かく教えてくれて、セーフモードでの立ち上げを行なうことにより復旧作業が出来た。上記のとおり、東芝は今回の和解でアメリカで上げた収益をそっくり吐き出す程の損失を出した。また、今回の件で株価も大きく下落、格付けも下がったりしたことは企業としてかなりの打撃である。しかし、こんな訴訟好きのアメリカ人に負けず、これを良い教訓として、是非とも復活してほしいものである。がんばれ日本!ガンバレ東芝!!
平成11年11月4日の独り言「東芝」
東芝は10月29日,米国子会社が係争中の集団訴訟について,原告側と和解が成立,この和解に伴う費用として,1999年度決算の特別損失に1100億円を計上すると発表した。 この訴訟は,東芝アメリカ情報システム,東芝アメリカ電子部品,ならびに東芝アメリカの3社が,同社ノートPCが内蔵するFDDを制御するIC(FDC)のマイクロコードに一部不具合があり,データが破壊されてしまう可能性があるとして,米国のユーザーから保証違反などで訴えられていたものである。
東芝側は,全世界で1件も被害報告がないことなどを理由に争っていたが,集団訴訟では巨額の賠償金の支払いを命じられる可能性があり,リスク回避のために和解により解決することにした。東芝側は和解について,「この和解は,当社の法的責任やパソコンに問題があることを認めたものではない」とコメントしている。
和解内容の要約は,1)今年11月8日以降に出荷する米国向けPCに新しいFDCを搭載する,2)米国のユーザーに対し,修正ソフトの無償配布,またはハードウェアの改修を行う,3)今後同社のPCを購入する際に使用できるクーポン券を配布する,4)昨年3月以降に同社PCを購入したユーザーに和解金を支払う,となっている。
この和解に伴う費用として,東芝は1100億円の特別損失を1999年度決算に計上するが,有価証券など売却益500億円を特別利益に計上することにしたため,新たに発生する特別損失は600億円となる。この結果同社は2000年3月期の特別損失を,10月26日発表の500億円から1100億円に,当期純損失を300億円から650億円に下方修正した。
なお東芝では, 国内においても修正ソフトウェアを無償で提供することを決定,11月1日に主要新聞と同社ホームページ上で詳細を告知するという。
この手の訴訟はアメリカでは当たり前のように行われているが、今回の金額は破格である。以前もマクドナルドでホットコーヒーを買ったおばあさんが、その熱さにコーヒーを足にこぼし、火傷をしたということで、訴訟を起こされた。結果はマクドナルドの敗訴である。
ハインツのビン入りのトマトジュースの蓋が開かなくて、テーブルの角でビンを割って飲もうとしたが、ビンが割れたことによって怪我をしたという訴えでもハインツが負けるというくらいである。恐ろしい国だ。訴訟好きの米国での販売には製造業は相当気を遣う必要があるのだ。
平成11年11月2日の独り言「プリンストン債(その後P)」
プリンストン債の購入企業の中には信用組合などの中小金融機関があることは以前にもお知らせしていたが、とうとう、この債券で破綻する信用組合が出てしまった。兵庫県北部が営業基盤の中堅信用組合である北兵庫信用組合が金融再生法に基づき兵庫県に破綻処理を申請することになったのだ。
同信用組合はプリンストン債の債務不履行により債務超過に陥った模様。プリンストン債の損失を主因に金融機関が破綻するのは初めてのこと。兵庫県は同信用金庫を破綻認定し、金融整理管財人による業務・財産の管理を命じる行政処分を出す見通し。同信用組合の99年3月末の預金残高は347億円。最終利益は1億500万円。その信用組合が元本40億円のプリンストン債を購入していたというのであるから、尋常ではない。
同信用組合は内部留保も乏しく、出資金の早急な積み増しも困難なことから破綻は免れないと判断したようである。理事長を始め幹部の責任は重いことは明らかである。資産のポートフォリオの中に、一つの債券、しかも信用リスクを伴う債券を10%以上組み入れるというのは運用者として有り得ない行動である。マネジメント能力のない者が経営していたということである。監督官庁もいったい何をしていたのかという感じであるが、信用組合の監督官庁は従来都道府県であった。今では金融監督庁になっているはずなので、監督庁は早急に小規模金融機関の経営の実態把握に乗り出す必要がありそうである。
平成11年11月1日の独り言「エスジーe−indexジャパンファンド」
以前、「エスジーe−indexジャパン」についてはこの独り言でレポートしたことがある。そのレポートの最後に「このような銘柄に投資する投資信託があれば売れること間違い無しであろう」とコメントした。とうとう、そのINDEXを投信化したものが設定されることとなった。当然エスジー山一の設定するファンドである。以下に概要を紹介したい。
新設ファンド概要:エスジーe−indexジャパンファンド=SG山一アセット
SG山一アセットマネジメントが11月30日に設定を予定している新規ファンド、「エスジーe−indexジャパンファンド」の概要は以下のとおり。
[ファンド名] エスジーe−indexジャパンファンド
[商品分類] 追加型株式投信/インデックス型
[投資対象] 株式: 原則100%
[ファンドの特色]
1.国内株式を、主要投資対象とする。
2.同ファンドは、「日本株インターネット・インデックス」である「エスジーe− indexジャパン(P)」に連動する。
3.同ファンドは、日本法人もしくは、日本を本拠として企業でで、インターネットもしくはそれに関連した事業に取り組み、現在成功している企業、もしくは将来の飛躍が期待される上場公開企業を対象とする。
[信託期間] 無期限
[募集予定額] 当初500億円
[募集期間] 99年11月15日〜99年11月29日
[設定日] 11月30日
[申込単位] 10万口以上1万円単位(当初1口=1円)
[手数料] 1000万口未満: 3.0%
1000万口以上3億口未満: 2.0%
3億口以上10億口未満: 1.0%
10億口以上: 0.5%
[信託報酬] 年率1.25%
(委託:0.57%、販売:0.60%、受託:0.08%)
[収益分配] 年1回
[決算日] 11月20日
[信託財産留保額] 基準価額の0.3%
[販売会社] こうべ証券、ソシエテ・ジェネラル証券東京支店、太平洋証券
<8618.T>、東京三菱パーソナル証券
[受託会社] 三菱信託銀行<8402.T>
以上である。インターネット関連、通信関連の株価は現状、一局集中で買われており、短期的には怖い面もあるが、長期的な観点では面白いファンドとなるであろう。必ず、この種の銘柄の急落局面が近々起こる。その時に押し目を怖がらず投資したいものである。購入タイミングに注意!