東芝が29日、「パソコンに不具合がある」と米国で提訴された訴訟について1100億円もの和解金などを支払うと発表。だが「実害がない」(東芝)問題への賠償に応じたことについては、業界関係者らから疑問の声も出ている。「敗訴したら1兆円近い賠償となり社の存立にかかわる。最後まで争いたかったが苦渋の選択をした」と、東芝の西室社長は会見で厳しい表情だったという。東芝は、米国で1985年にノート型パソコンを発売以来、累計約500万台を出荷し、市場シェアも20%近くトップを維持。問題となった記憶媒体のフロッピーディスクを制御する専用ICの不具合は、(1)複数のソフトを同時に起動(2)メモリー不足などでパソコンが操作を受け付けなくなる(3)フロッピーに書き込み動作をさせる、というめったに起こり得ない手順を踏んだ結果、「エラーが発生し、データー破壊の可能性がある」というものだ。
 今回の和解金はこれまでの米国でのパソコン利益に匹敵する額で、東芝にとっては痛手となる。