耳をつんざく大歓声。前が見えなくなるほどの紙吹雪が舞う。ニューヨークが歓喜に包まれた。
世界一を祝福するような快晴。気温7度の肌寒さも、パレードの熱気が消した。「どういう風になるのか楽しみです」と話していた松井秀。MVP男は“お立ち台”が荷台に設置された特別車にヒンスキー、ガードナーら5選手とともに乗り、ファンの『MVP!!』コールに手を振って応えた。
パレードはマンハッタン南端の公園を出発。ブロードウェーを通って約1.5キロ北上し、ニューヨーク市庁舎まで移動した。沿道は推定100万人以上といわれる群衆で埋め尽くされた。
日本人初のMVP獲得から一夜明けた前日5日は、午後から分刻みのスケジュールに追われた。
「昼くらいまでは休んでいたけど、それからは忙しかった」。試合後、各種セレモニーなどもあり、自宅マンションに戻ったのは午前4時。「家族とも食事はできませんでした」。多少の睡眠時間はとれたが、その後は大忙しだ。
CBSテレビのデビッド・レターマン氏の人気トーク番組に急きょ出演することが決まり、ジーター、ポサダらとともに参加した。
ニューヨークの街全体が世界一に沸いていた。「みんなに声をかけられました。『コングラチュレーション』『グッド、ジョブ!!』って。ニューヨークの方が喜んでいるのをみると、ヤンキースはすごい存在だと改めて気付かされます」。
一夜明けの会見は屋外で行われたが、その間もニューヨーカーから「サンキュー、ヒデキ」と声をかけられた。ヤ軍のオフィシャルショップでは、世界一グッズの売り切れ商品が続出した。
早くも去就問題が取りざたされているが、会見では「(イメージは)まったくない。ちょっと休んでから考えたい」と話すにとどまった。
世界一奪取と同様、7年間あこがれたマンハッタン優勝パレード。今はこの瞬間を味わっていたい…。興奮と歓喜に身を委ねた。