自然・科学
白ヒグマ 国後で確認 ビザなし交流 北大名誉教授ら調査隊が初撮影 (10/30 08:36)
【根室】北方領土ビザなし交流の専門家枠で国後島を訪れていた自然生態系の専門家らの訪問団が29日、船で根室港に戻り、白いヒグマの撮影に成功したことを明らかにした。白いヒグマは世界で国後、択捉両島だけに生息するとされ、日本側の専門家が確認したのは初めてという。
一行はNPO法人北の海の動物センター(網走市)会長の大泰司(おおたいし)紀之・北大名誉教授ら10人。四島の動物の生態系を把握する一環として、白いヒグマを調査するため、21日から国後島を訪れていた。
撮影に成功したのは、爺々(ちゃちゃ)岳周辺のクリール国立自然保護区の音根別川流域。自動撮影カメラを設置したところ、23日午前4時ごろ、カメラの前を通る白いヒグマの右半身をとらえることができた。大きさから成獣とみられる。
撮影はできなかったが、団員が別の若い1頭を目撃しており、合わせて白いヒグマ2頭の生息を確認した。
現地での聞き取りでは、同島のヒグマ約300頭のうち約1割が白いとされ、突然変異で色素が欠けるアルビノではないという。
また、江戸時代、松前藩家老蠣崎波響(かきざきはきょう)が道東のアイヌ民族の指導者を描いた「夷酋列像(いしゅうれつぞう)」にも白い子グマの姿があり同島のヒグマだった可能性がある。
記者会見した大泰司会長らによると、白いヒグマは茶色のヒグマに比べ、川の魚から見にくく、重要な食料であるサケを捕りやすい。逆に、オオカミには襲われやすいが、北方四島にはオオカミがいない。同会長は「四島にもともと、なぜ白いヒグマがいたのかは分からないが、生き残りやすい環境なのは確か」と話す。
同センターなどは来年度以降も調査を続ける予定。ロシア側と共同で茶色のヒグマとのサケの捕獲率の違いやDNAなどを調べる。
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