ビザなし専門家交流訪問団(NPO法人北の海の動物センター主催、10人)は29日、北方領土の国後島で白いヒグマの撮影に成功したと発表した。訪問団によると、同島に生息する推定300頭の約1割が白いヒグマとみられ、北方領土だけで白いヒグマが独自の進化を遂げた可能性もあるという。
訪問団は同島の爺爺(ちゃちゃ)岳(1822メートル)のふもとをベースキャンプに、22~26日に、定点観測調査や痕跡調査を実施。22日午前8時半ごろに団員2人が白いヒグマを目視した。さらに23日午前4時ごろには、赤外線センサーによる自動撮影装置を使って、別の個体とみられる白いヒグマの右半身の撮影に成功した。また、ハンターなどに聞き取り調査したところ、ヒグマの約1割が白い個体とみられるという。
訪問団によると、白いヒグマは雲と同系色のため、ヒグマの餌となる川魚が水面を見上げたとき、警戒心が薄くなる可能性があるという。団長の大泰司紀之・北大名誉教授は「白い個体は森の中では目立つが、国後島にはもともと(天敵の)オオカミが生息していないので、魚を捕獲するのに有利な白い個体が残ったのではないか」と話している。
白いヒグマはまれに北海道内でも目撃されることがあるが、色素が欠乏したアルビノとみられている。北の海の動物センターは今後、国後島のほか、択捉島でも調査を続け、DNA分析などで白いヒグマが独自の進化を遂げたかどうかを突き止めたいとしている。【本間浩昭】
毎日新聞 2009年10月29日 19時25分(最終更新 10月29日 23時26分)
10月29日 | 国後島:白いヒグマを撮った ビザなし訪問団 |