無人カメラで撮影された国後島の白いヒグマ。体の一部が写っている=NPO法人北の海の動物センター提供
北海道・国後島「白いヒグマ」専門家交流訪問団(団長、大泰司紀之・NPO法人北の海の動物センター会長)が29日、根室港に帰港して会見し、無人カメラで白いヒグマの撮影に成功したと発表した。
訪問団10人は22日から26日までの5日間、国後島北部の自然保護区内の河川周辺でヒグマの行動観察や定点観測を実施。白いヒグマを無人カメラで1頭(写真は1枚)、目視で別の白い1頭(撮影できず)を確認した。
大泰司団長によると、白いヒグマは世界でも確認されているのは国後島と択捉島だけ。両島にはオオカミが生息した形跡がなく、体毛が白い方が河川をのぼるサケやマスに警戒されにくい点などから一定数の白いヒグマが生息していると考えられるという。国後島では約300頭と推定されるヒグマの1割前後が白いヒグマといわれているが、これまで本格的な調査はされてこなかった。
今回の調査は、昨年の北海道洞爺湖サミットの際の日ロ首脳会談で基本合意した「日ロ隣接地域生態系保全政府間協力プログラム」の一環で、国後島のロシア人専門家10人との合同調査だった。
大泰司団長は「白いヒグマの生息状況の把握は、ヒグマの進化を探るとともに、四島の自然生態系の保全をはかる上で重要」とし、来年度以降、「DNA分析など本格的調査を進めたい」と話した。