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余剰人員、過去最大の600万人超か 09年度経財白書

2009年7月24日13時10分

図:  拡大  

 林経済財政相は24日の閣議に、09年度の経済財政白書を提出した。世界同時不況の分析と展望が主なテーマ。日本経済は「歴史的な速さ」で悪化し、企業が国内に抱える余剰人員(企業内失業者)は過去最大の600万人超となった可能性があるとした。また、景気悪化で表面化した格差拡大を巡り、低所得者への給付金支給などの格差是正策を提言している。

 07年11月から始まった今回の景気後退は当初は緩やかだったものの、08年9月の「リーマン・ショック」を機に、欧米向け輸出が急減。企業の生産は一時、ピークの6割に落ち込み、景気は過去に例のない速さで悪化したと分析した。過去の景気後退局面と比べても生産の減少が目立つ。

 日本の国内総生産(GDP)に占める輸出の比率は米国並みだが、海外の景気に左右されやすい自動車や電気製品の輸出が多いことが、大幅なマイナス成長につながったとしている。

 ただ、景気回復のリード役としてまず期待がかかるのも輸出。輸出増は国内の所得拡大をもたらし、消費増にもつながる。こうした外需と内需の「双発エンジン」による回復が望ましいという。

 一方、今後の懸念材料として挙げたのは、雇用情勢の悪化や、物価下落が企業収益を圧迫するデフレ、欧米経済の低迷。特に、企業内失業者を抱えた企業が人員削減を進めかねないとみている。

 景気悪化で表面化した格差拡大にも言及。正社員より賃金が低く失業リスクも高い非正規社員は約1700万人と、雇用者全体(約5100万人)の3分の1を占め、所得格差の拡大につながっているとした。日本の社会保障は年金中心のため、60歳未満の「現役世代」の格差を是正するには、低所得者向けの給付金支給などが必要という。

 格差拡大による雇用不安に加え、年金制度への信頼感の低さもあり、30〜40歳代の貯蓄率は上昇傾向にあると指摘。過剰な貯蓄を減らすには社会保障制度への信頼感を高める必要があり、それが消費の下支えにもつながるとしている。(橋本幸雄)

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