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石川線・鶴来−加賀一の宮間 運転終了

2009年11月01日

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人であふれかえる駅のホーム。カメラで撮影をする鉄道愛好家の姿も目立った=白山市白山町の加賀一の宮駅

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レトロな駅舎正面。記念撮影をする人が絶えなかった=いずれも白山市白山町の加賀一の宮駅で

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ホームには廃止と感謝を伝える看板が掲げられた=白山市白山町の加賀一の宮駅

◆変わらぬ良さ 82年で幕◆

 北陸鉄道石川線鶴来―加賀一の宮間(2・1キロ)の運転が31日、終了した。82年の歴史に幕を下ろす路線の最後をひと目見ようと、白山市白山町の加賀一の宮駅は多くの利用者や鉄道愛好家らで終日にぎわった。

(山岸玲)

◇惜別の声続々、生活に不安も◇

 黄や赤に色づく山が迫る加賀一の宮駅。2両編成の列車が到着すると、次々に降りてくる乗客とカメラを構えた鉄道愛好者らで、たちまちホームは人であふれた。

 同駅は、正月には20万人の初もうで客を集める白山比咋(ひめ)神社の表玄関だが、正月をのぞき同区間の1日の平均利用者は07年度で約150人。日ごろは無人駅だ。だが、31日は、1本平均400人が乗り降りする状態で、北陸鉄道の徳野公一・鉄道部長(56)らが切符切り業務などに駆けつけた。「朝のラッシュでもこんなにはならない」と徳野さん。

 1927(昭和2)年に開通した鶴来―加賀一の宮間は、かつては白山比咋神社の参拝客や通勤通学者でにぎわったが、車社会に移行する中で乗客は減少。さらに老朽化した設備の更新に5億円がかかるとして同社は昨年10月、北陸信越運輸局に同区間の廃止届けを出していた。

 この日は、ホームだけでなく駅舎前でも記念撮影をする家族連れや夫婦などが目立った。線路沿いにもカメラの三脚や脚立が並び、午前5時48分の始発前から、カメラを首から下げた多くの人が撮影場所を求めて歩き回った。

 全国の駅を巡っているという東京都足立区の会社員日熊真一さん(26)は「木造の駅舎が周辺の山や川の自然にとけ込んでいて、全国有数の素晴らしい駅。廃止は残念」と話す。

 ホームで列車をじっと眺めていた、かほく市浜北の会社員金本春幸さん(49)は、学生時代の2年間、アルバイトに通うために同駅を利用した。約30年ぶりに駅を訪れた金本さんは「駅の中も周りの自然も変わっていない。もう見られないと思うとさびしい」。

 路線廃止で生活に影響が出る地元の人も。駅の向かいに住む主婦建部洋子さん(71)は、人工透析を受ける夫(76)を心配する。これまでは週3回、鶴来地区の病院に列車で通院していた。「1日からは私が車で送迎する。でも私も年だしいつまで運転できるか……。脚の弱い夫にはバスの乗り降りも難しいし」と不安げだった。

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