小倉久寛×植木豪(PaniCrew)×蘭香レアインタビュー掲載! SET入団30年を目前に永遠の"子分肌"小倉久寛が一念発起! 小倉久寛 初ひとり立ち公演 ペーパーエキセントリックシアター『踊る!職業不安定所』

INFORMATION

[公演日・会場]
2008年4月30日(水)〜5月8日(木)
東京芸術劇場 小ホール2

[発売日程] :プレオーダー、:一般発売
2/12(火)〜2/17(日)   3/2(日)

e+ special interview 小倉久寛×植木豪×蘭香レア

 劇団スーパー・エキセントリック・シアター入団からもうじき30年。三宅裕司とともにSETの顔として活躍してきた"永遠の子分肌"、小倉久寛がいよいよ初ひとり立ち! 座長としてエンタテインメント・オムニバス・コメディーを上演する。目玉はズバリ"ダンス"。植木豪(PaniCrew)、蘭香レアと共に、歌あり、ダンスあり、アクションあり、さらに豪華日替わりゲストありという盛りだくさんなステージを展開。小倉の超マイペースな吸引力に誘われて集まった演劇仲間とともに創る笑いと勇気のあふれる舞台に、各方面からの期待も高まっている。

 

「2人にはダンス以外にも、持って生まれた"チクショー、面白いぞ!"っていう部分を期待しているんです」(小倉)

――小倉さんにとって今作が初プロデュース作というのはちょっと意外でした。

小倉 そうですか? 今まではありがたいことに声をかけてくださる方々がいて……そういうのって楽じゃないですか(笑)。向こうもちゃんと僕に合った役どころを用意して下さってるし。そうやって居心地のいいところ、居心地のいいところって生きてきたのでね。

――それでもこうして動き出したというのは、何か特別な思いやきっかけがあったとか?

小倉 昨年あたり何度かテレビ番組でダンスをやる機会があったんですけど、それを見ていたマネージャーに「1回、舞台で本腰入れて踊るのってどうです?」と。最近はSETでもあまり踊る機会がなかったですしね。「あと何年かしたらどんどん身体が動かなくなりますよ。今、今ですよ」って、背中を押され……あ、背中を蹴飛ばされまして。

――勢いに任せ、ゆるゆると動き出したわけですね(笑)。蘭香さんと植木さんは、この作品への出演が決まった時のファーストインプレッションはどんな感じでした?

蘭香 まず初めに思ったのは、"このメンバーで何をするんだろう?"(笑)。まったくの未知ですね。でも、コメディーやコントの舞台は未体験だったので、そういうジャンルで声をかけて頂いたのはうれしかったです。植木さんとは踊りのジャンルも違うのでそこも面白いなと。お芝居も踊りも表現していくことには変わりないので、ここでまた新たな自分の一面が見られるんじゃないかってワクワクしました。

植木 小倉さんの"初ひとり立ち舞台"と聞いて、僕なんかでお手伝いできるだろうかって最初は緊張しましたけど、今までにないダンスのステージが創れる予感はかなりあります。レアさんとは以前仕事でご一緒したときに結構踊りの話しをしたんですよ。僕はストリートの人間としか関わったことがなかったので、ジャズダンスやバレエといった歴史のあるダンスについていろいろうかがったり。あの時話していたような新しいことが出来るのかな、面白そうだなって思いましたね。

小倉 レアさんの踊りは本当にステキだし、植木クンなんて世界一ですからね(ブレイクダンスの世界大会にて日本人初優勝を果たしている)。しかも、今の若い人たちって芝居がうまいんですよ。笑いのセンスもあるし。普通の人でも雑談ですごく面白い冗談を言ったり、普通にノリツッコミとかするでしょ? テンポなんかもいいわけよ。僕なんてそんな時、笑いを我慢しますからね。悔しくて(笑)。2人にはそういう持って生まれた"チクショー、面白いぞ!"っていう部分を期待してもいるんです。

 

「今回は、普段抑えている濃い部分も思い切り出せそう」(植木)

――今回、コントの脚本を妹尾匡夫さん、ラサール石井さん、寺脇康文さん、森ハヤシさんの4人の作家が手がけるというのも楽しみですね。

小倉 豪華でしょ。石井ちゃんなんか電話で執筆をお願いしたらものすごく力のこもった口調で「アラ、珍しいね〜。そんなことやるの!?」って。「まあねぇ」なんて返事したら、「でも、決まっちゃったんだから、やらなきゃね」ですよ。"やらなきゃね"が、グッと迫ってくる声なの。なんか、僕が逃げそうな気がしたんだろうね(笑)。

――逃げちゃダメですよ〜(笑)。それぞれに個性のあるコントをつないで展開する『職業不安定所』。小倉さんが巻き込まれ型で奮闘する姿が想像されます。

小倉 たぶんね、そういう感じになりますよ。以前、三宅さんとコントライブをやったとき、本番→楽屋→本番→楽屋……っていう設定で、とても面白く創れたんです。本番部分は台本があって、楽屋に戻って次の支度をしてるところはいわゆるアドリブ。ハプニングの笑いですね。お互いどう転ぶかわからなくてドキドキしながらのやりとりで、お客さんの反応も良かったんです。そういう空気の舞台にしたいな、とは思ってますけど。

蘭香 私その舞台拝見しました! そうか、ああいう感じなんですね。それはかなり面白そう。台本のない笑いの芝居はそれこそ未体験なので、まずは小倉さんの世界に委ねるってところでしょうか。

小倉 いや、それは困る(笑)。とりあえず僕のそんなアイデアを演出の小野真一に丸投げしたら、"なかなか転職にめぐり合えない男が職安でいろいろな職業を紹介される"っていう設定が出てきたわけ。

植木 僕がやってるPaniCrewは、周りがみんな濃いんですよ(笑)。だからいつも必然的に僕がちょっと引くポジションなんですけど、本当は一番濃〜くやりたくて。今回はそんな普段抑えている部分も思い切り出せそうだな。

――植木さんは振付もされますね。

植木 はい。気合いが入ってます。小倉さんの舞台ということで、ダンスで表情を出せるダンサーを揃えましたし、逆に、小倉さん自身が備えている表情にも大いに頼って盛り上げていきたいです。

小倉 うん。やっぱり喜劇役者って身体が動かないとダメなんですよね。動きを笑いにつなげていきたい。できることなら身体全体から面白さがにじみ出るような表現をしてみたいよなぁ……。できることなら。

 

「笑いの絶えない世界が表現出来ればいいですね」(蘭香)

――日替わりのゲストもビックリするくらい豪華なラインナップで。

小倉 僕もビックリするくらい豪華! 話しを聞いてご自分から「出たい」と言ってくださった方、ダメ元でお願いしたら快く受けて頂けた方――ありがたいですよね。一緒に楽しい舞台が出来ればいいと思っています。本当に素晴らしい顔ぶれ。お客さんには当日までのお楽しみです。

――タイトルの"ペーパーエキセントリック"というネーミングは小倉さんのアイデアですか? 初プロデュース=初運転のペーパードライバー的なニュアンスを感じましたが。

小倉 ああ! それいいですね。機会があったら使おう(笑)。いや、PETって略して書くと"ペット"で可愛いな、とか、お客さんがスーパー・エキセントリック・シアターと間違えて来てくれたらそれはそれでいいかな、とか(笑)。まあ、他にもいろんなヒントがあって決めたんですけどね。ホント、SETと間違えて来てくれたらいいよね。

――間違えても絶対損はないですしね(笑)。本当に、随所に小倉さんらしい手触りを感じる舞台です。では最後に、改めて本作への意気込みをお聞かせください。

蘭香 役者さんとして大先輩である小倉さんが、"まだまだ!"と、どんどん向上していく。そうやって常につきつめていく姿勢を見せてくださるのがとても刺激になっています。やっぱり芝居にゴールはないし、続ければ続ける程さらに欲求があります。私もこの現場でいろんなモノを吸収して、しっかり小倉さんについて行きたいなって思います。作品的には、この不安定所でいろんな職業の扮装をしたり変身したり、いろんな役をやらせて頂けそうだし、みんなで一緒に笑いの絶えない世界が表現出来ればいいですね。

植木 小倉さんは両手ブラリ戦法。両手ブラリだからこそ逆に隙のない構えというか。お会いするたびに自分ではまだたどり着いていないところ、舞台への心構えや取り組み方で"ああ、そうだなぁ"と思わされることをたくさんお話ししてくださるので、リハーサルでも本番でも、まだまだいろんなことを教えて頂けるまたとない機会だって思ってます。僕らは舞台じゃないと交わらない3人。本番ではその3人がそれぞれ色んなモノを生み出す、色とりどりの舞台になるよう頑張りたいです。ぜひ観てください。

小倉 レアさんと植木クンの最高のダンス、コント、アクロバットにびっくりするようなゲスト。いろんな要素の入った、飽きることのない舞台をやります。ダンスもね、植木クンによる個人レッスンを始めてまして。自分でも"えっ、こんなことできるんだ!"っていう喜びを感じながら特訓中です。舞台でも"頑張れば出来るんだ"っていう僕の姿でみなさんに勇気も与えながら、笑いと共に楽しく観て頂ければと思います。

 

写真/坂野則幸
取材・文/横澤由香

 

小倉久寛 profile

 学習院大学法学部卒業後、大江戸新喜劇を経て、そこで知り合った三宅裕司主宰「劇団スーパー・エキセントリック・シアター」の創設メンバーとして参加。数多くの作品に出演し、その独特の風貌とコミカルな動きなどで人気を博す。舞台以外にも、映画、ドラマ、CM、声優など幅広く活躍する。5月30日からは、舞台『伊東四朗一座〜帰ってきた座長奮闘公演〜「喜劇 俺たちに品格はない」』(下北沢 本多劇場)に出演する。

 

植木豪 profile

 ボーカルダンスグループ「PaniCrew」のメンバー。1998年にイギリスで開催された「UKブレイクダンスチャンピオンシップ」に日本代表チームの一員として初出場・初優勝の快挙を成し遂げる。その後、2006年には地球ゴージャスの舞台『HUMANITY』で、初のミュージカル出演を果たす。以降も、舞台『LIMIT100』『ハイスクール・ミュージカル』への出演や、舞台の振付など新たなフィールドでの活躍も目覚しい。3月13日からは舞台『歌謡シアター「ラムネ」〜木綿のハンカチーフ編〜』(新宿FACE)に出演する。

 

蘭香レア profile

 宝塚歌劇団出身。期待の若手男役スターとして人気を集める。2001年の退団後は、地球ゴージャス『クラウディア』『HUMANITY』や『ピーターパン』など舞台、ミュージカルを中心に幅広いジャンルで活躍。最近では、東京セレソンDX『歌姫』や『STONES』など、ストレートプレイにも活躍の場を広げているほか、映画『舞妓Haaaan!!!』などにも出演。今回の舞台が初のコメディー挑戦となる。

 

『踊る!職業不安定所』とは?

 「また、クビだぁ……」――。次の仕事を求め、職業安定所を訪れた男。紹介されるがままに、あらゆる職業に就くがなかなか適職が見つからず……毎ステージ豪華ゲストを迎えて、"歌あり!""ダンスあり!""アクションあり!" の盛りだくさんのエンタテインメント・オムニバス・コメディー、それが「小倉久寛 初ひとり立ち公演ペーパーエキセントリックシアター『踊る!職業不安定所』」なのだ!

 

<出演>
小倉久寛/植木豪(PaniCrew)/蘭香レア
水野哲也(PaniCrew)[友情出演]
平間壮一/鈴木和也/石田創
★各公演日替わりゲストあり