警視庁は11月2日、殺人や強盗事件などを担当する捜査1課内に未解決事件を専門に扱う「特命捜査対策室」を設置する。50件余の「コールドケース」(長期未解決事件)の再捜査に着手し、現場から採取したDNA型を最新技術で再鑑定するなどして解決を目指す。未解決事件専門の組織設置は全国初。
捜査1課によると、刑事部で99~08年の10年間に設置された特別捜査本部は174件で、ほとんどが殺人事件だ。多発する事件に追われ、捜査員は担当事件の捜査を中断して別の事件に移ることも多く、専従で捜査を尽くせる環境になかった。
対策室は、捜査1課ナンバー2の理事官をトップの「特命捜査対策官」に置き、総勢38人。事件の関係者から再び事情を聴くほか、参考人の居場所の確認や精度が向上したDNA型鑑定で、事件解決につながる新たな証言や証拠を捜す。
対象は、97年1月に多摩市のマンホールの中から保母(当時39歳)が遺体で見つかった事件や、44人が死亡し、放火が疑われる01年9月の新宿・歌舞伎町の雑居ビル火災など約50件。専従捜査員がいる八王子市のスーパー3人射殺事件(95年)や世田谷区の一家4人殺害事件(00年)などは対象外。
コールドケース専門の捜査チームは、殺人罪に時効がない米国の警察に設置されている。ロス市警のチームが昨年2月、「ロス疑惑銃撃事件」(81年)で元社長を27年ぶりに逮捕し、注目された。
西沢康雄・捜査1課長は「科学捜査の進歩と鑑定技術の向上などで、新たな手がかりや証拠が見えてくるようになった。1件でも多くの事件を解決したい」と話している。【古関俊樹】
毎日新聞 2009年10月31日 19時08分