運航休止後、大分ホーバー基地に置かれているホーバークラフト=5日、大分市西新地
10月末で運航を休止したホーバークラフトが、スクラップにされる可能性が浮上している。出資している県は事業や船体の譲渡先を探しているが、今のところ名乗りを上げる買い手は現れていない。このままでは、ホーバーは解体されて売却され、債権者への支払いにあてられることになりそうだ。
県は運航会社の「大分ホーバーフェリー」(大分市・木元智社長)が9月30日に清算に向けた民事再生手続きを申し立てたことを受け、国内唯一のホーバークラフト航路を存続させるため、県内企業を中心に譲渡先を探した。
しかし(1)景気悪化で自社の経営自体が悪化し、余裕がない(2)空港への高速道路が整備された上、ETC割引の実施や今後無料化が検討されていることなどから、ホーバーの需要回復の可能性が不透明―などの理由で断られたという。
さらに、ホーバーを今後も運用するためには、エンジン改修に高額な費用が必要になることも、大きな障害になっている。同社が現在所有している4隻のホーバーのうち、ドリームサファイア号以外のエンジンは、部品の製造が今年9月で終了。もし今後故障すれば、修理も不可能になる。
エンジンを新造すれば、取り付けのために船体を一度切断する必要があることから、費用が計約4億2千万円かかる。これはホーバー1隻の新造に必要な費用とほぼ同じ金額。
民事再生手続きの申立人代理人によると、「このまま買い手が現れなければ、船体は債権者にそのまま引き渡すか、解体してお金に変え、支払いにあてることになる」という。
県総合交通対策課は「譲渡先が見つかる見込みは現時点ではない。しかし、なんとか航路を存続させたいという考えは変わらない。運航再開に関心を持ってくれるところがあれば、一緒に考えていきたい」と話している。
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