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11月5日(木)放送予定
壁崩壊20年 欧州の光と影

1989年11月9日、米ソ冷戦体制の象徴となっていたベルリンの壁が崩壊。わずか1年でドイツの統一も実現した。壁崩壊で中東欧でも社会主義政権が崩壊する。あれから20年。ドイツでは「東独は独裁国ではなかった」と答えたり、「ベルリンの壁を作ったのが東独だった」ことを知らない若者が増殖中だ。東西ドイツ地域には依然、経済的な格差があるため、旧東独の親たちが現代史を真正面から伝えず、過去を美化する傾向があることが指摘される。「東を花咲く地域にする」と経済的繁栄を約束した当時のコール首相。しかし、西側資本は東ドイツ地域には積極的に投資せず、むしろ労働単価の安い中東欧に向かった。しかしここは、去年の世界金融危機の余波をもろに受ける。"市場経済化の優等生"と言われたハンガリーでは、外資の多くが引き上げ、IMFの緊急融資で国家破綻を免れている。この20年、旧体制の支配層が体制転換後も社会の上層部を握り、外資導入による経済発展を選択。この路線にほころびが出たのだ。市民の不満の高まりは今、「体制転換貴族」と呼ばれる彼ら支配層にも向いている。「鉄のカーテン」の内側で政治的自由を求め、そして市場経済化の波に呑み込まれていった人々は、今何と格闘しているのか。壁崩壊20年後の現実を描く。
(NO.2812)

スタジオゲスト テオ・ゾンマーさん
    (独ツァイト紙論説主幹)