2回、ガードする長井一(左)の顔面に右アッパーを放つ鳥本大志=後楽園ホール
「デイリースポーツ主催・ボクシング東日本新人王決勝戦」(3日、後楽園ホール)
12階級の決勝が行われ、Sバンタム級では鳥本大志(28)=角海老宝石=が、長井一(25)=ワタナベ=を2回2分14秒KOで破り、東日本の頂点に立った。東の王者は、12月20日(デイリースポーツ主催・後楽園ホール)に西軍代表と全日本新人王を懸けて争う。
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一番驚いたのは、派手なKO勝ちを演出した本人だった。Sバンタム級は、2回2分14秒、鳥本が速く鋭い左フックをたたき込み、2回目のダウンを奪ってKO勝利。担架で運ばれる相手を横目に、顔をクシャクシャにして喜んだ。
「ビックリです。5ラウンドやるつもりでしたから。ビックリです」。デビューして11戦目で、初めて味わったKO勝利の味を、何度も「ビックリ」と繰り返して表現。「真っ白な気持ち。よく分からない」と興奮気味に振り返った。
28歳。遅咲きの東日本新人王だ。早大1年在学中の22歳の秋に角海老宝石ジムに入門。「空いている時間にやろうと思った。遊び程度に」という動機だったが、どんどんのめり込む。「スパーリングをやるようになって本気になった」と振り返った。
大学時代はリクルートスーツを着込んで、会社回りをした。「最初は就職を中心に考えていた。ボクシングをやめたら後悔すると思った」。ボクシングを続ける環境を求めて、求人情報などを扱う株式会社インテリジェンスに契約社員として入社。「協力してくれています。応援にも来てくれた」とはにかんだ。
武器はワンツーだが、この日は練習してきたフックで仕留めた。「右ストレートを打つ前に終わった。1つ武器が増えた」。次は全日本。遅咲きの大輪を咲かせる。
(2009年11月3日)