「IGF」(3日、JCBホール)
大麻取締法違反の罪で4月に執行猶予付きの有罪判決を受けた、大相撲の元幕内・若麒麟こと鈴川真一氏(26)が、アントニオ猪木会長(66)率いるIGFで、プロレスラーを目指すことが3日、濃厚になった。この日、大会を観戦した鈴川氏が意欲を示したもので、猪木会長からは「挫折した人間がどう立ち直っていくか、そういうストーリーだ」と後押しを約束された。
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初めての経験に心が動いた。リングサイドの最前列でプロレスを初観戦した鈴川氏は「先のことは分からない」と前置きした上で「頑張りたいな、という気持ちになった。小川さんの取り口は面白いな。ぶっ飛んでいて」と、相撲用語を交えて“入門”を宣言した。
鈴川氏は1月、六本木で大麻取締法違反(所持)の容疑で逮捕され、日本相撲協会から解雇された。4月に懲役10月、執行猶予3年の判決を受け、実家のある兵庫・加古川市に戻った。その後について「実家の料理屋を手伝いながら、体は動かしていた」という。
今夏、関係者による話し合いでプロレス入りが急浮上した。2週間前、都内の事務所で鈴川氏は猪木会長と初めて対面し「来れば分かるさ」と観戦を勧められた。すでにネット動画や、猪木会長と故ジャイアント馬場氏が活躍する漫画で研究を重ねている。
鈴川氏の意欲を伝え聞いた猪木会長は「ムフフ」と含み笑い。「本人が立ち直りたいなら受け入れる。彼は(相撲の)経験があるから、ちゃんと鍛えれば…な。佐山(聡=初代タイガーマスク)は教え方がうまいぞ」。本格的な練習を行っていない“新弟子”のために、師匠のあっせんまでした。
鈴川氏はニット帽をかぶり、黒ジャンパーにジーンズというラフな格好で観戦した。小川や佐山と笑顔で握手を交わし、多くの報道陣に囲まれると「久々のカメラは緊張しますね。捕まった時みたいで」と、口の方も滑らか。来年の次回大会(日時、場所未定)へ心を躍らせていた。