大音響が響きわたり、すさまじい爆風が周辺の民家を襲った。4日午後、下関市彦島迫町7丁目、下関三井化学で起きた爆発事故。工場関係者2人と住民3人の計5人がけがをしたほか、民家被害は37棟に及んだ。有害なガス漏れの危険性があるとして市が自主避難を呼び掛けるなど、周辺は騒然とした雰囲気に包まれた。
屋根に数メートルの穴が開いたり、瓦が吹き飛んだり…。本社ヘリコプターから見た工場周辺には、爆発の傷跡が刻まれていた。道路には無数の瓦が散乱する。市によると、被害は工場から数百メートル離れた場所でも確認され、爆発の威力を物語る。
近くの主婦(66)は当時、家でテレビを見ていた。「ドーンという音が続き、外を見たら黒煙が上がっていた。怖くて足が震えた」。爆風の影響で自宅の窓ガラスは割れ、ひさしも壊れた。「ちゃんと責任をとってもらわないと困る」と憤る。
市は広報車を出して約430世帯・約1200人に呼び掛け、約30人が地元公民館に身を寄せた。
同じく自宅の窓ガラスが割れた近くの会社員女性(57)は、彦島地区の職場で爆発音を聞いた。自宅に戻ろうとしたが、交通規制で近づけない。自宅にたどり着いたのは夕方だった。同社では2001年以降、3件の事故が起きており、「事故のないようにしてもらいたい」と顔をこわばらせた。
同社の岸元忠良社長(61)ら幹部5人は午後7時から記者会見。岸元社長は「近隣の皆さまにご迷惑をかけ、大変申し訳ありませんでした」と謝罪。家に泊まれない人にはホテルを手配したという。
【写真説明】全壊した下関三井化学の三フッ化窒素工場。原形をとどめず、爆風の強さを物語る=4日午後3時55分、下関市彦島迫町7丁目(撮影・山本誉)
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