中日の山井大介投手(31)、久本祐一投手(30)、浅尾拓也投手(25)が4日、中部国際空港から成田経由でウインターリーグの行われるドミニカ共和国へ出発した。成田からは森繁和ヘッドコーチも合流。米ニューヨーク、プエルトリコのサンフアンを乗り継いで現地入りする。一行は12月上旬までの予定で滞在。桂川通訳、金村トレーナーも同行する。
旅立つ久本の表情はきりりと引き締まり、男の決意が浮かんでいた。投手としてドミニカ共和国へ向かった2年前とは違う。今度の渡航目的はリハビリだ。久本自身の置かれる環境も異なる。
「ユニホームも(一緒に渡航する)みんなと一緒のは着ませんし、(受け入れ先チームの)遠征にもついてはいきません。グラウンドの空きを見つけて練習することになると思います」。浅尾らが、所属するエストレージャスでのプレーを武者修行とするのに対して、リハビリ目的の久本はチームの戦力とはならない。プレーヤーには食事そのものや食費が支給される場合があるが、久本の場合は自腹だ。
そこで久本は米と炊飯ジャーを荷物に積み込んだ。出発を前に、落合監督からも「食べ物に気をつけろ」との助言をもらったという。米の量は飛行機に積める荷物の重量ぎりぎりを狙って7キロ(約47合)。体積にして約8・5リットルだ。スーパーなどに並んでいる米袋の大きなものが10キロ。その7割だからかなり大きい。
「やっぱりご飯は食べたいですから。それに食べ物で体をこわしたら、何をしに行ったのか分からなくなってしまう」。おかずの大半は現地調達の食材に頼ることになるが、自らのエネルギー源となる主食は食べ慣れた米にこだわった。
ドミニカでの自炊も復活に懸ける決意の表れだ。昨年は左ひじ痛で1年を棒に振った。一時は回復したものの今春痛みが再発。4月に手術して今季も1軍登板なし。来季は“背水”のシーズンになる。「(来年2月の)キャンプインの時に、ブルペンで捕手を座らせるのは現状では無理かもしれない。でもそれを目標にして、他の選手と同じスタートラインにつきたい。幸い、今のひじはうれしいくらい良い状態ですから」。悲壮感はない。希望を胸に久本は、異国でも米を食らい、トレーニングにいそしむ。
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