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最後の「すかいらーく」29日に閉店 初出店から39年

2009年10月27日1時48分

写真:29日に閉店する「すかいらーく」の最後の店舗。店頭には閉店を告げる張り紙や、のぼり旗が掲げられていた=26日、埼玉県川口市29日に閉店する「すかいらーく」の最後の店舗。店頭には閉店を告げる張り紙や、のぼり旗が掲げられていた=26日、埼玉県川口市

図:  拡大  

 ファミリーレストランの草分けである「すかいらーく」が29日、最後の店を閉じる。消費者の好みに細かく対応する専門店や、安さを売りにした競合店が増え、便利なコンビニ弁当にも押されていた。初出店から39年4カ月。個人消費の冷え込みが続くなか、低価格店に転換して生き残りをめざす。

■格安店「ガスト」に軸足

 すかいらーく(本社・東京)が、日本で最初のファミリーレストランとされる「すかいらーく」1号店を開業したのは70年。当時は珍しかったピザやハンバーグなどで外食を身近なものにした。最後の営業店舗となる川口新郷店(埼玉県川口市)は29日に閉店。11月10日、和風の総菜メニューが多く利用金額が1人当たり800円程度の「おはしカフェガスト」として再オープンする。

 すかいらーくの店舗数のピークは93年6月の約730店。しかし、その勢いは次第に衰えていく。ファミレスと時をほぼ同じくして登場したハンバーガーやフライドチキンなどの専門店も広がり、外食の選択肢は増加。コンビニエンスストアの弁当や「デパ地下」の持ち帰り総菜を買って帰る「中食(なかしょく)派」も珍しくなくなり、家族で車に乗り郊外の店に行く機会も減っていった。

 少子高齢化や核家族化で消費者のライフスタイルが変わり、親子のコミュニケーションには携帯電話が登場。「家族のふれあいの場」としての役割も低下した。

 すかいらーく社は、1人当たり1千円程度の「すかいらーく」から、750円程度の格安店「ガスト」に軸足を転換。06年には経営陣による自社株式の買い取り(MBO)に踏み切り、株式の非公開化で事業構造改革を進めた。業績不振の責任を問われた創業社長も08年に解任された。「すかいらーく」は外食産業の成功モデルのひとつだったが、昨秋以降の不況で割高感は否めず、閉店が決まった。

 同社は26日、社名の変更はしないと発表。「『すかいらーく』は日本のファミリーレストラン業界で歴史的使命を終えるが、創業の精神と長年培ってきたノウハウを、約3千店のグループ各業態が継承する」とコメントした。

■ファミレス苦戦続く

 ファミリーレストランの苦戦は、すかいらーくに限らない。伸び悩む外食産業の中でも節約志向の波に押され、居酒屋と並んで苦戦が目立つ。

 日本フードサービス協会が26日発表した9月の外食売上高は前年同月比1.5%減。このうちファミリーレストランは5.4%減と落ち込みが目立ち、10カ月連続の前年割れだった。消費者の価格志向に敏感に反応しているファストフード(3.3%増)とは対照的だ。

 新規出店や閉店などの影響を除いた既存店売上高でみると、ファミレスの年間売上高は08年まで12年連続で前年を割り込んでいる。デニーズのグループが10年2月期に約80店の閉店を予定するなど、各社は効率の悪い店を閉め、現在ある店のてこ入れを急ぐ。

 一方、男性客が多い居酒屋中心のワタミは、11月12日に「親子3代であれもこれも食べたい」をうたう全席禁煙の新業態店「饗(きょう)の屋」の1号店を東京・蒲田に開き、客層の拡大をねらう。「家族のだんらんを提供するチェーン店が今はない」とみているためで、昼食1千円程度、夕食2100円程度を想定。今後100店の展開をめざす。(内山修、伊藤裕香子)

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