鳩山由紀夫首相は4日の衆院予算委員会で、偽装献金問題について6月30日の記者会見以来ほぼ4カ月ぶりに公の場で説明した。これまで認めていた「故人献金」など2177万円余の偽装だけでなく、5万円以下の献金で政治資金収支報告書に個人名を記載する必要のない「匿名献金」でも虚偽記載があることを事実上認めた。
◆匿名献金
「5万円以下の部分については調査を依頼した弁護士から『疑わしい部分がないとは言えない』という話はあった」。鳩山首相はこう語り、匿名献金に偽装があることを事実上認めた。
匿名献金は公訴時効になっていない04~08年の5年間で計1億7717万円余。鳩山首相は「その中でどの部分が虚偽なのかは判明していない」としたうえで「偽装があったとすれば(収支報告書を)訂正しなければならない」と述べた。
◆偽装献金の原資
鳩山首相は6月の会見で偽装献金の原資を元公設第1秘書に預けていた個人口座の資金と説明していたが、鳩山家の資産管理会社「六幸商会」の資金も充てられていたことを初めて認めた。
六幸商会から資金を引き出すには首相本人の指示か、本人が署名した指示書が必要とされ、鳩山首相は指示書を元秘書に渡したと説明。ただし「(偽装のためではなく)政治活動にお金が足りなくなったから私の金を借用するんだなと理解していた。調べれば総額は分かるが、東京地検の捜査でいずれ全容が判明する」と語った。
◆税控除の悪用
予算委で首相に質問した自民党の柴山昌彦議員は、偽装献金に絡む所得税の寄付金控除の証明書が延べ116人、1430万円分発行されていると指摘。実際に使われたかどうかをただした。
藤井裕久財務相は「選挙管理委員会が証明書を出し、その書類は適正という前提で国税が処理している」と、不正に発行された証明書が使われていた可能性があるとも取れる答弁をした。
また、証明書の返還の有無を問われた原口一博総務相は「確認していない」と答え、鳩山首相側が返還していないことを事実上認めた。
毎日新聞 2009年11月5日 0時40分