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印刷2009/03/31 10:36

企画記事

KeNNy,uNleashed & fumio×Microsoft。「SideWinder X8はゲームで使えるのか」座談会レポート

 2009年3月上旬,Microsoftの日本法人であるマイクロソフトは,東京・新宿の本社で,「Microsoft Hardware SideWinder X8 Mouse Serious Gamers Roundtable」という名の座談会を開催した。

SideWinder X8
 これは,マイクロソフトのゲーマー向けデバイス担当者である島田真有美氏と,国内トップクラスのFPSゲーマーが,「SideWinder X8 Mouse」(以下,X8)に関して意見交換をするというもので,集まったのは,FPSコミュニティでは名の知れた……などと紹介するまでもないほど有名なKeNNyuNleashed両氏と,4Gamerのマウスレビューでもお馴染みのfumio氏,計3名。4Gamerは,マイクロソフトの依頼により,司会進行として本座談会に参加したので,今回は,その模様をレポートしたい。
 また最後には,fumio氏に座談会の総括もしてもらったので,氏によるレビュー記事と併せ,チェックしてほしいと思う。

SideWinder X8レビュー記事

座談会の模様

以下,4氏の発言中にある( )内は,編集担当による補足。


3名ともセンサーには高い評価

形状への評価は分かれる


島田真有美氏(以下,島田氏):
島田真有美氏(マイクロソフト リテールビジネス事業部 コンシューマ製品部 プロダクトマネージャ)
 本日はよろしくお願いします。
 さて,X8は昨年9月に米国本社で発表されましたが,その時点ですべてのスペック情報はリリースされていました。(国内の)ニュースリリースが出たあとも,さまざまなメディアやBloggerの方に紹介していただいて,かなり話題になっています。
 そんななか,ゲーマーの方々が最も知りたいのは,「ゲーマーが実際に使ってみてどうなのか」ということではないかと思い,こういう企画になった次第です。
 今回は,理想的なメンバーにお集まりいただいて本当に嬉しく思っています。使っていただいた感想を,率直にユーザー目線でお話しいただきたいと思いますので,よろしくお願いします。

――というわけでさっそくですが,皆さん,10日程度お使いいただいたということで,現時点でのインプレッションを順番にお願いします。

fumio氏:
4Gamerのマウスレビューでおなじみのfumio氏。World Cyber Games(WCG)日本代表などの実績を持つ。最近は「Alliance of Valiant Arms」をメインでプレイ中
 初代「SideWinder Mouse」(以下,初代SideWinder)も「SideWinder X5 Mouse」(以下,X5)も僕の手には合っていたので,スペックの高いX8には期待していました。
 X8を触って最初に感じたのは,形状面で細かな違和感があるということ。例えば,初代SideWinderだと,左側手前の部分が角ばっていたわけですが,これがX8では丸みを帯びて,親指の付け根を当てた状態でのホールドがしづらくなっています。これが一つ。もう一つは,右サイド奥のくびれの返しが弱くなって,持ち上げるときに指が抜けやすくなったことです。自分のように,親指と小指だけで挟む持ち方だと,とくに抜けやすいですね。
 まあ,薬指と小指で右サイドを支える一般的な持ち方だと,右サイドが緩やかになった分,薬指の収まりがよくなって持ちやすくなっている印象なので,「多くの人にとっていい改良なのでは」とも思いますが。

KeNNy氏:
WCG日本代表,Cyberathlete Professional League(CPL)日本代表の実績をKeNNy氏は,おそらく2009年春時点において,日本で最もスキルの高いFPSプレイヤー。「サドンアタック」公認インストラクターも務める
 僕はワイヤレスマウスを触るのは初めてなんですが,ワイヤレスマウスには,反応速度が遅かったり,電池が入っていて重かったりという,悪い印象しかありませんでした。でも最初にX8を使ってみたところ,反応速度が速くて,ちょっとびっくりしたんですね。
 重さはやっぱり今までのマウスに比べてちょっと重いなあと感じましたが,形はサイドの薬指があたる部分と親指が当たるへこみにちょうどフィットして,僕のような「つかみ持ち」派にとって,持ちやすいマウスだと思いました。

uNleashed氏:
日本を代表する“Quaker”で,プロゲーマーの肩書きを持つuNleashed氏。国内の各種ゲームイベント主催や解説などでよく知られ,最近はLANパーティ「Tokyo Game Night」の主催者としても活躍している
 散々言われちゃったんですが(笑),僕もワイヤレスマウスって聞いたときには,「非常にラグが強い」っていうのと,「むちゃくちゃ重くて長時間のプレイには堪えない」という印象があったんですけど,これを使ってみるとラグがまったくなくて,「ワイヤレスもこれから使えるのかもしれない」と,衝撃を受けました。
 それと,以前のSideWinderシリーズは,相当角張っていて,非常に持ちづらそうな印象だったんですが,その印象はずいぶんと弱くなっています。

――それは,どう持ったときの印象ですか?

uNleashed氏:
 僕は「つまみ持ち」といわれる持ち方だったり,それを変則的にしたような持ち方だったりを使い分けるんですが,X8でそれをやろうとすると,「親指と小指で押さえて操作する」のが非常にやりにくいんです。これは残念なポイントですけども,「かぶせ持ち」で,手のひら全体を(マウスの“背”に)付けてしまう場合にはきっちりと手にフィットするので,「かぶせ持ち」にはとても向いているんじゃないかと思います。
 普段使っている低感度ではなく,マウスのスペックに合わせた高い感度でプレイしてみたところ,違和感なくプレイできたので,(全体としては)かなりいいマウスだなという感じですね。

島田氏:
 少し生意気かもしれませんが,(3人のインプレッションに)想定されていた部分はあります。持ち方に関しては「つまみ持ち」「かぶせ持ち」など,ご自身の好みによるところがありますし,トップゲーマーの方は,それにすごく“うるさい”んじゃないかとは思っていましたので……。
 ただ,一般的には好まれると思うというご意見は大変うれしかったです。

――お三方から,レイテンシと形状,重さの話が出てきたので,まずはこのあたりを掘り下げてみたいと思います。レイテンシは,「ない」ということであればそれで終わってしまう気もしますが,本当にゼロなのか,「あるけれども無視できるレベル」なのかというと,どちらなんでしょう?

KeNNy氏:
IE3.0ことMicrosoft IntelliMouse Explorer 3.0。ゲーマーからの支持が高い,光学センサー搭載マウスである
 多少ですが,動かしているときに(レイテンシを)感じたりはしました。
 僕は普段IE3.0(※「Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0」のこと。以下同)を使っているんですが,IE3.0と比べると――本当に,コンマ何mm秒という世界ですけど――遅延は若干感じます。「何か違う」くらいのレベルで,意識しなければまったく気にはならないけど,反応速度だけに意識をおいてずっと見ていると感じますね。

uNleashed氏:
 僕はあんまり感じなくて,逆に粗を探すために機械的な検証をして,やっぱり無線は遅れてるんだってことを出したかったくらいでした。
 粗探しのため,あえて「Quake 1」という軽いFPSを使って,「MidAir」というモードを1週間,毎日1時間くらい,友達とやってみたんです。(MidAirは)空中で戦うので,上下に大きく動くんですが,それでも(遅延は)あまり感じなかったですね。

fumio氏:
 僕もほとんど感じなかったです。反射神経をテストするFlashアプリケーションを試したときに,数値上の差が若干出るかな? くらい。平均値で,それこそ0.1秒とかの致命的な遅れが生じたりはしませんから,「まあそんなに違和感は感じないかな」っていう。
 ただ,操作しているとき,画面がやたらガクガクするような動きをすることは,たまにありました。原因がマウスにあるのか,マウスだとしたら無線転送周りなのかセンサーなのか,というのはちょっと特定できてないですが。

――全体としては,スペックどおり,といったところですかね。「遅延は発生しているが知覚出来ないレベルに留まる」という。
 BlueTrackというトラッキング技術というか,搭載するセンサーユニットそのものについての評価はいかがでしょう?

uNleashed氏:
fumio氏が持参したマウスパッドを利用して,Warsowを試遊するuNleashed氏
 僕は大きな布製マウスパッドを使っていまして,かなりセンシティビティを下げているので,何回も持ち上げて,腕からブンブンブンブンと振り回してるんですよ。だから,光学でもレーザーでも,今までのセンサーだと,素早く動かしすぎたとき
に追従できなくなってしまう,「ネガティブアクセル」という症状が出ていたんですが,X8は,500dpi設定でかなり荒く使っても,きちんとついてきました。

KeNNy氏:
 確かに,昔のマウスだとぶんぶん振り回してたらポインタが飛ぶことはよくありましたけど,僕は今,そこまでしないので,気にならなかったですね。dpiを高く設定してしまうとそれだけ感度が高くなってしまって,結局ゲーム内のセンシティビティ設定を落として,“普段の感度”と同じくらいに調節しないといけないので,dpi設定は一番低くしていました。

fumio氏:
 僕は二人とは逆に,4000dpiに固定して,ゲーム内の設定を落とすことで感度を合わせてたんですね。で,4000dpiで使った結果ですが,手首だけでマウスを操作するような高感度で使う分において,X8の性能はまったく問題ない。最低でも,今までに登場した光学センサー搭載のゲーマー向けマウスと同じくらいのパフォーマンスは持っていると思います。ゲームをするのに,なんら不都合ないレベルのセンサーだなと。

島田氏:
(大きく何度か頷く)
  • 関連タイトル:

    SideWinder

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