週刊「面白法人カヤック」

2009年11月2日

【17】「残業する人は仕事ができない」という嘘

 カヤックでは「水曜日は19時に会社を消灯する(一部残して)」というルールを適用しています。これは昨今の残業規定が厳しい中、ノー残業デーのような仕組みに聞こえそうですが、カヤックにおいては、仕事をいつも以上にどれだけ集中し、どこまでムダなくできるかを意識してもらう意味で19時消灯の曜日を設けています。

 そこで今回は、勤務時間などカヤックで働く上でのルールについて考えてみます。

★「残業禁止の論理」
 残業禁止といえば、『残業ゼロの仕事力』の著書でもあるトリンプ・インターナショナル・ジャパンの元社長吉越浩一郎さんは、残業を一切させないという方針をとっているとか。最近読んだ日本マクドナルドホールディングスCEO 原田泳幸さんは、著書『ハンバーガーの教訓』に残業をしない方針を書かれています。

 けれども、どちらの著書も読んでいて、ふと気づくのは、そのようなことを推奨している社長なのに、ご自身が若い頃は、がむしゃらに働いた(時間的にも)という体験談が書かれていることです。

 自分も一切残業をしないで社長になったというのであれば勇気づけられますが、そういうわけではなさそうです。もし社長になりたい人がいても、残業するなと薦められるのでしょうか。無理な気がします。

 誰よりも人一倍努力したプロセスがあってこそ、社長になっているのだと思うのです。つまるところ、誰もが社長になれるわけではないという前提の中で、多くの雇われる側に向けたメッセージではないでしょうか。そこには雇用する側と雇用される側の論理は違うということが見えてきます。

 さらに残業を禁止する理由として共通して出てくるのは、「残業をする人は時間内に仕事が終わらない。自分が無能だと言っているのと一緒だ」という論旨です。この内容もしっくりときません。

 確かに、自分のやるべき仕事が決まっていて、それを時間内に終わらせることが給料を支払う条件になっているアルバイトであれば、この論理は通じるかもしれません。でも、そもそもそういうスタイルの会社ではなく、各自が自由に好きなことをやれる会社を作りたいと思っていたら、時間内に仕事が終わる、終わらないの概念はないと思うわけです。

 今日は集中してやりたいと思えば、とことん徹夜してでもやればいいし、今日は遊びたいから早く帰ろうと思うなら早く会社を出ればいい。そこまで自分をコントロールして結果を出せる人にとっては、時間で縛られること自体、効率が悪いともいえます。

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著者プロフィール

柳澤 大輔(やなさわ・だいすけ)
面白法人カヤック代表取締役。1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立。「ART-Meter」「HOUSECO」「こえ部」など、ユーザー数千〜数万人規模のインターネットサービスを幅広く展開する。ユニークな人事制度(サイコロ給、スマイル給)や、ワークスタイル(旅する支社)など、制度面も現在実験中。近年では、ギャラリー「ART-Meter」、カフェ「DONBURI CAFE DINING bowls」などリアルショップを運営。2009年、ビンボーゆすりを科学したプロダクト「YUREX」を開発。

このコラムについて

週刊「面白法人カヤック」

サイコロ給やスマイル給など、ユニークな制度を多数取り入れている面白法人カヤック。その代表、柳澤大輔さんが、日々考えていること、実験したこと、失敗したことなどを本音で綴ります。ビジネスの世界で役に立つ知恵や工夫が満載です。

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