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手塚治虫さん生誕80年 出版、イベント相次ぐ
「鉄腕アトム」「ブラック・ジャック」…数々の傑作漫画を遺(のこ)した巨匠、手塚治虫さんの生誕から今年でちょうど80年。11月3日の誕生日を前に記念イベントが相次ぎ、過去の作品などを集めた復刻本も続々と刊行されている。没後約20年を経ても人気は健在。「ロマン」や「生命の尊さ」といった手塚作品のメッセージは、古びることなく、むしろその輝きを増しているようだ。(村上智博)
アートに昇華
東京・渋谷のパルコファクトリーで24日、若手のクリエイターらが手塚作品のキャラクターをアレンジした作品を紹介するアート展「手塚治虫の遺伝子 闇の中の光展」が始まった。おもちゃのブロックを組み合わせた鉄腕アトムなど、ユニークな作品が会場を埋めている。
参加した35組のアーティストの1人、青木京太郎さん(30)は、幼いころから印象に残っている「火の鳥」のワンシーンを鉛筆1本で描き上げた。「制作を通じて、より深く手塚さんとつながれた気がした」と話す。
「手塚作品は人間くさく、泥くさい。ただ、闇の部分を表現していても、どこかロマンがあり美しく感じる。そうした作風にひかれる。いつまでも、あこがれの存在。神様ですね」
手塚さんは、平成元年に60歳で亡くなるまで700以上の作品を描いた。インパクトがあるシーンを1ページ全体を使って大きく表現したり、「シーン」「シャキーン」といった擬音を登場させたりするなど、数々の画期的な手法を生み出した。
手塚プロダクションのライセンスビジネス担当部長、内藤出さん(46)は「手塚作品は映画の手法も採り入れ、現代の日本漫画の『文法』を作った。手塚さんがいなければ、日本の漫画文化がここまで世界に普及することはなかったでしょう。世界中の人に読まれることで、平和に少しでも貢献できれば」と話す。
刊行ラッシュ
生誕80年の今年は刊行ラッシュも続く。金の星社は絶版になった「愛蔵版手塚治虫全集」(全10巻)を復刊。代表作の最終回を収録した企画本「手塚治虫WORLD」(ゴマブックス)も登場、雑誌で特集を組む出版社も目立つ。小学館クリエイティブは昭和22年発刊の長編漫画「新宝島」を来年2月末にも復刻する。
大手出版社の担当者は「手塚作品は、世代を超えて読み継がれてほしい。手塚さんが訴えてきた命の尊厳といったテーマは、いつの時代でも受け入れられるはず」と話す。書籍のネット販売大手、アマゾンは27日から約200タイトルを紹介する特集ページを開設した。