以上のように、諜報の定番であるホテルやレストランでの盗聴活動ついては中露とも大差なさそうだ。興味深いのは、英国の諜報機関が中国における「宴会」を諜報活動の一環と認識し、これを冷静に分析している点であろう。
ターゲットの篭絡方法
2008年、米海軍で働いてた中国系米国人のスパイ活動に対し禁固24年の判決が言い渡された〔AFPBB News〕
最後に中露諜報機関によるターゲットの篭絡方法について比較してみる。引用を続けよう。
(ロシア用注意事項から引用)
FSBが多用する手法は訪問者をトラブルに巻き込むことだ。現地通貨の闇レートでの両替や所持品の売却、現地人から外国の親族に手紙を託されること、美術品の持ち出し、飲酒運転、機微な場所での写真撮影、現地女性との性的関係などは法律違反となり得る。
法令を犯せば逮捕され、投獄や事実公表の可能性を仄めかされFSBのために働くよう脅迫されることがある。告白調書や協力同意文書に署名するよう強要されることもある。また、FSBはこうした証拠を将来別の機会に使用すべく保存しておく場合もある。
(中国用注意事項から引用)
中国で活動する外国企業の大半は中国の人材派遣公社が供給する現地スタッフを雇用する義務がある。これらの中国人は中国諜報機関から「入手可能な書類をすべて複写すべし」と指示されている可能性がある。この点は、多くの中国人一般学生やビジネスマンも同様である。
中国の諜報機関が訪問者を脅迫しエージェントとなるよう説得することはよく知られている。現地での性的接触はもちろんのこと、それ以外にも、闇市場での両替、古美術の購入、撮影禁止区域でのカメラ使用など違法と判断される行動はすべて避けるべきである。
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