近藤投手コーチ(右)のアドバイスを受けながらブルペンで投球練習をする浅尾=中日ドラゴンズ屋内練習場で(谷沢昇司撮影)
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中日の浅尾拓也投手(25)は3日、新しい投球フォームを武者修行先のドミニカ・ウインターリーグで試す考えを明らかにした。4日に日本を離れ、ドミニカ共和国へと向かう浅尾。この秋からコントロールを重視した新フォームに取り組んでおり、それを強打者との実戦対決で完全習得。さらなる成長への手掛かりにする決意だ。
浅尾の新しいピッチングフォームがベールを脱いだ。ドミニカへの出発を翌日に控えたナゴヤ球場屋内練習場のブルペン。一つ一つの動作を確認するようなしぐさを見せながら、丁寧に投げ続ける。直球にときおりフォークなどを交え、実戦さながらに72球。
「まだフォームは安定していませんが、ダメならやり直せばいい。ドミニカでいろいろ試したい」と新フォームの感触を口にした。
ガラリと変わった。これまでシーズン中の浅尾は、投球時にグラブを腰のあたりにセットし、そのまま自然に左足を上げて投球していた。3日の投球練習ではそのグラブの位置に変化があった。一度腰にセットしたグラブを、左足を上げると同時に顔の前まで持ち上げた。繊細な感覚を大事にする投手にとって、これは大きな“変身”だ。
浅尾はフォーム改造の狙いについてこう語る。「ボクはコントロールがあまりよくありません。スピードが落ちすぎてもダメですが、コントロールがよくなるフォームにしたいと思っています」
今季は最後の最後でコントロールに苦しんだ。クライマックスシリーズ(CS)第2ステージ、巨人との第3戦で2点リードの8回に救援。先頭の坂本に四球を与えると、以降も制球が定まらずに3失点。逆転負けの一因をつくってしまった。
データ的には今季113イニング1/3を投げて与四死球は32個。3・54イニングに一つの割合で四死球を与えた。この数字は吉見(4・98イニング)やチェン(3・81イニング)には劣るものの、小笠原(3・19イニング)や中田(2・7イニング)を上回る。突出して悪くはないが、肝心な場面で何度か制球が乱れた。
改良した新しいフォームは、チームメートの河原や山井のフォームに近い形になる。「まねをしているわけではありませんが、河原さんも山井さんもコントロールがいい先輩。少しでも近づけるようにしたい」。浅尾は制球力アップへ、並々ならぬ決意をにじませる。
ドミニカでは対外国人対策もじっくり練ることができる。浅尾は「今季はセの外国人打者にやられた。何かのプラスにしたい」と言う。
「どうやって抑えるのか。考えるためにドミニカへ行くつもりです」
リニューアルしたフォームを携え、浅尾はさらなる飛躍のために太平洋を渡る。
(木村尚公)
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