この人物のオモテとウラ　実はプロデューサー兼経営者

●生き残り戦略は見事の一語

　元おニャン子クラブでタレントの渡辺美奈代（４０）が、芸能界復帰した元「モーニング娘。」のタレント、市井紗耶香（２５）と共に１４日、ネットを活用した育児ライフを全国へ伝えるイベント「いまどきママの子育てみーてぃんぐ」に出席した。

　２児の母親の美奈代は“ママドル”として活躍するだけでなく、夫の地元でネイルサロン「Ｍｉｎａｙｏ　Ｗａｔａｎａｂｅ」を経営したり、今年から家具販売のプロデュース業も手掛けている。彼女の経営者としての才覚は、おニャン子時代から現れていた。

　美奈代は１９６９年、現在の北名古屋市出身。８５年フジテレビ「夕やけニャンニャン」のおニャン子クラブのオーディションコーナー「アイドルを探せ！」で横田睦美らと共に合格し、おニャン子クラブのメンバーになる。翌年春に加入した渡辺満里奈とともに“Ｗ渡辺”として人気を二分。おニャン子クラブの中期から後期にかけての代表的メンバーで、美奈代本人が挙げる仲の良かったおニャン子メンバーは、岩井由紀子、吉沢秋絵、山本スーザン久美子だ。

　８６年４月に堀越高校に編入ではなく新入学をしたので、年度では１年後輩に当たる酒井法子、西村知美などと同級生になった。

　同年７月に、シングル「瞳に約束」でソロデビュー。デビューイベントを音楽の聖地ともいえる日本武道館で行ったため、「前代未聞」とスポーツ紙に書かれた。１ｓｔシングルから５枚連続オリコン初登場１位は当時の新記録。８７年９月のおニャン子クラブ解散まで残るなど、人気をキープした。その後は女優業にも本格的に進出して８８年から９４年までドラマ「季節はずれの海岸物語」に出演、「志村けんのだいじょうぶだぁ」（ともにフジテレビ）のレギュラーなど、バラエティータレントとしても活躍する。

　９６年、実業家の男性と結婚。一時は相手の浮気が発覚して破局説も流れたが、「円満解決」と気丈に対応した。９７年、長男出産。おニャン子メンバーの中で、最初に出産を経験した美奈代は、長男がお腹にいる時に「働けるうちは仕事を続けたい」と“ママドル”宣言をして、今でも仕事に意欲を燃やしている。

　グラビアなどでも人気がある美奈代だが、すべての写真集を自らプロデュースしている。「Ｔｒａｐ」（９４年）、「ＰＯＳＥ」（９５年）などで大胆な裸身を披露して話題になったが、乳首のトップやヘアは一切なく、限りなくオールヌードに近いセミヌードで、毎回１０万部突破のヒットを重ねてきた。９７年には妊娠５カ月目に撮影された写真集「ＥＧＯＩＳＴ」の“妊婦ヌード”で、話題になった。

　０２年、おニャン子クラブが「モーニング娘。には負けたくない」と１５年ぶりに再結成。１４人のメンバーが結集したが、このうちタレント活動をしているのは美奈代を含めて、たったの４人だった。

　１４日のイベントで美奈代は「おニャン子は素人集団」と謙遜気味だったが、実業の世界では立派なプロ。市井だけでなく、現在“イケイケどんどん”の元モー娘の辻希美よりも、実は隠れたセルフプロデューサーなのだ。

（日刊ゲンダイ2009年10月21日掲載）