あの人は今こうしている　名古屋の高級クラブのママになっていた

「小鹿みき」と聞けば、火野正平との不倫同棲失踪愛が当然のように思い浮かぶ。７３年、ＮＨＫ大河ドラマ「国盗り物語」での共演が、芸能マスコミを大いににぎわす一大スキャンダルに発展した。小鹿さんはその後もテレビや舞台で活躍していたが、最近は姿を見ない。今どうしているのか。

●デュエット曲を一昨年４月に発売した

「この世界に入ってからは、名鉄ホールなど名古屋限定で女優のお仕事もたまにやってたんですけどね。４年前にママになり、責任ある立場になってからは控えてきました。ただ、お店のプラスになるようなお仕事ならお引き受けしたいな、と思ってたんです」

　金地に萩の模様も鮮やかな着物姿の小鹿さん、こういって艶やかにほほ笑んだ。話を聞いたのは名古屋を代表する繁華街、錦三にある「メンバーズ　みき」。

「そうしたら、ＣＤデビューのオファーをいただいたんです。平尾昌晃先生作曲、山口洋子先生作詞の『だ・い・て』というデュエット曲で、男性歌手（松田敏来）は決まっていて、女性歌手を誰にしようか、ってときに、平尾先生の“みきちゃんが歌えばいい”のツルのひと声で決まりました」

●「女優の頃は接待することはなかったでしょう。接客が苦手で」

　平尾さんの息子が「メンバーズ　みき」で働いており、日頃から懇意にしてもらっているそうだ。

「一昨年の４月に発売され、ラッキーなことに、日本作曲家協会新人奨励賞までいただいちゃいました。五木ひろしさんや藤田まことさんから、“みきちゃんが新人？”って冷やかされましてね。でも、新人で間違いありません。確か３５年前にレコードを３枚出しましたけど、ＣＤは初めてですから、ハハハ」

　さて、「女優として自信を失っていた」小鹿さんが名古屋市内でクラブを経営していた「大ママこと小林洋子さんを慕って、夜の仕事を始めたのは２０年前。切り盛りする「メンバーズ　みき」は１４人のホステス、４人の男性スタッフを抱える高級クラブだ。

「女優の頃は接待はされても、接待することはなかったでしょう。接客が苦手で、つい２、３年前までお客さまの会話の輪に入っていくのもぎこちなくて苦労しました。景気？　知り合いのお店や有名なお店が閉まったという話を耳にする機会が増えました。明日は我が身にならないようにしないと」

　店のウリはショータイム。男女約１０人が日舞、洋舞を踊り、小鹿さんがトリを受け持つ。

「みんなウチのホステスさんと男性スタッフなんですよ。とっても評判が良くて、ついちょっと前も札幌のお客さまから北海道のイベントでショーをやってくれないかってオファーがありました」

　最後はやっぱり火野正平の話だろうが、「それは……」とＮＧの様子。ならば、オトコ関係は？

「今年８月、めでたく還暦を迎えました。もう相手をしてくれる男性がいないんじゃないですか。今はママの仕事に打ち込むだけ。お客さまに“ママの出番は終わったね”と引導を渡されるまでガンバります」

　名古屋市内のマンションにチーママと暮らす。

（日刊ゲンダイ2009年10月15日掲載）