あの人は今こうしている　人気アイドルだった小椋寛子さん

　７０年代のテレビドラマはスポ根もの、青春ものが人気を呼び、「金メダルへのターン！」（フジテレビ系）や日本テレビ系の「青春シリーズ」が茶の間をわかせた。きょう登場の小椋寛子さんはそうしたドラマに女子高生役で出演。またアイドル歌手、演歌歌手としても活躍した。今どうしているのか。

「今年４月に『もういちど恋に……』というＣＤをリリースしたんです。７９年に美原圭子名義で『日暮れ花』を出したのが最後だから、ちょうど３０年ぶりの新曲になります。長いこと芸能界を離れてたので不安はあったんですが、たくさんの方に励ましていただき、いいスタートを切ることができました」

　地下鉄溜池山王駅に近いホテルの喫茶室で会った小椋さん、こう言ってほほ笑んだ。新曲は男女の劇的な再会を情感タップリに歌い上げているとか。

「キャンペーンは静岡県を中心に動いてます。というのも、ワタシ、現在は浜松に住んでるんです。で、まずは地元のみなさんに知っていただこうと思いまして。ＦＭハローやお隣の愛知のエフエムとよたで新曲を紹介していただき、ワタシ自身、浜名湖競艇や浜松オート、あと、浜松市や新居町などのイベントやお祭りで歌ってます。地元が一段落したら、ぜひ東京に出たいですね。その折はよろしくお願いします」

　浜松生まれの小椋さんは１５年前に故郷に戻り、「ともだち」なるスナックを開いた。

「寝たきりになった父を介護するために戻りました。でも、食べていかなくちゃいけないでしょ。それでお店を始めたんです。素人ながら“芸能人の店”ということで評判になり、今は２店経営してます。父ですか？　２年前に他界しました。また歌おうと思ったのは、父の死がきっかけでもあるんです。今回の再デビューは父も喜んでる。そんな気がします」

　さて、「劇団こまどり」出身の小椋さんは１３歳で子役デビュー。ＮＨＫ朝の連続テレビ小説「信子とおばあちゃん」（主演・大谷直子）や大河ドラマ「樅ノ木は残った」（同・平幹二朗）などに出演。その後は「金メダルへのターン！」（同・梅田智子）、「飛び出せ！青春」（同・村野武範）などの青春ドラマで活躍した。

「出演者はほとんど同世代でしたから、みんなお友達感覚でしたね。梅田さんや青木英美さんとは今でもお付き合いがあります。男性ではリポーターから俳優に戻った剛たつひとさん。新曲発表パーティーで司会を買って出てくださいました」

　１７歳のときに「恋算数」で歌手にも挑戦。また、「美原圭子」と名前を変え、演歌歌手になって周囲を驚かせもした。

「北島三郎さんの舞台に出させていただいたのをご縁に、演歌に転向しました。いつまでもアイドル歌手でいられるもんじゃありませんし。舞台には１０年ほど出ていましたか。ホント、北島さんからいろいろなことを学んだ１０年でした」

　バツイチ。市内にひとり暮らしだ。

「結婚はもうけっこうです。それよりも今は新曲のことで頭がいっぱい。秋元順子さんみたいに歌がヒットして、年末には紅白出場……、ワタシの頭の中にはそんな筋書きがすでに出来上がってます、ハハハ」

（日刊ゲンダイ2009年10月1日掲載）