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普天間基地移転問題、日米安保条約破棄による基地撤去で根本的解決を

山崎康彦2009/11/04
 鳩山首相が米海兵隊の普天間基地移転問題で辺野古に移転させないで県外か海外に移転させる可能性を示唆したことで、辺野古移転反対運動が今までにないほどの盛り上りを見せています。

 鳩山首相は最終判断を来年春まで持ち越して米国の意向、日米関係、沖縄県民の民意、日本国民の民意を見極めてから結論を出そうとしています。岡田外相は米国の拒否にも関わらず嘉手納基地への統合に固執し、北澤防衛相は米国の意向を汲んで辺野古のキャンプ・シュワブへの移転に条件付きで賛成を示唆し閣内で意見が割れています。

 米国政府はオバマ大統領の訪日を前にゲーツ国防長官やマレン米統合参謀本部議長を送り込んで、あたかも植民地政府に対するような無礼な態度で「2006年に日米で合意したキャンプ・シュワブ沿岸部への移設計画以外認めない」と鳩山内閣を恫喝しています。

 鳩山政権が米国からの圧力を跳ね返し公約に唱っている「対等な日米関係」を実践して日本国民の民意として県外または海外への移設方針を出せるのか否か、日本や米国のみならず世界中が注目しています。

▼ 県外移転も海外移転も根本的な解決にはならない

 普天間基地を県外に移転させたとしても米軍基地が拡散して移転先の住民の負担が増えるだけで問題の根本的な解決にはなりません。

 またグアムやハワイやどこかの海外米軍基地に移転させたとしても、海外の地元住民に軍事基地の重圧と負担を押し付けることでしかありません。

 普天間基地移転問題の根本解決は、米軍の日本駐留の法的根拠となっている日米安保条約を日本側から一方的に破棄して米軍基地を撤去させるしかないのです。

 現在盛り上がっている反対運動は辺野古への移転阻止→県外または海外への移転、という在日米軍基地と日米安保条約の存在を前提にした議論です。

 そうではなく、辺野古への移転阻止→米軍基地の撤去→日米安保条約破棄というもう一つの選択肢を考えるべきだと思います。

 日米安保条約第10条は「条約の廃棄」に関し次のように規定しています。

 ≪当初の10年の有効期間(固定期間)が経過した後は、1年前に予告することにより、一方的に廃棄できる旨を定める。いわゆる自動延長方式の定めであり、この破棄予告がない限り条約は存続する。≫

 すなわち1960年から1970年までの固定期間以降、日本政府が米国政府に対し日米安保条約の破棄を通告すれば一年後には条約は廃棄されることになるのです。従って在日米軍基地と米軍施設は一定の撤去工事期間の後すべてが撤去され在日米軍は存在しなくなるのです。

日本国民はこれまで在日米軍基地と日米安保条約は絶対無くならないという思い込みで来ましたが、国民の民意がまとまり鳩山政権が日米安保条約の廃棄をオバマ政権に通告すれば一年後には日米安保条約はなくなり、何年後かには在日米軍基地はすべて無くなるのです。

このような選択肢があるということを国民に広く知らせることが今必要なのです。なぜなら自民党政治家と外務省と大手マスコミは国民の側から条約破棄運動が起ることを警戒してわざと知らせないで来たために大多数の国民はこの事実を知らないのです。

▼ 米軍基地や安保条約は日本国民にとって本当に必要なのか?

 今回の普天間基地移転問題は日米政府間の問題の枠を超えて国民的な議論にまで拡大してきていますので、米軍基地や安保条約は日本国民にとって本当に必要なのかどうか、の議論をますます高めていく絶好の機会だと思います。

この点に関して私は記事「鳩山政権はいっそのこと「日米安保条約」破棄を」を投稿しましたのでお読みください。

 日本が一方的に日米安保条約を破棄した場合、最大の問題は「米国の核の傘」を離れた日本が自国の安全をどのように守っていくかの問題です。

 その場合2つの議論が出てくると思われます。

 一つは、「米国の核の傘」が無い以上「日本が独自に核武装して核抑止力で日本を守る」という田母神元航空幕僚長などの極右ファシスト達が主張している「日本の核武装論」です。

 この主張は論理としては成り立ちますが実現の可能性はゼロです。なぜならば、もしも日本が核武装すると宣言したならば、日本は世界190ヵ国が批准している核拡散禁止条約(NTP)を脱退して全世界を敵に回すことになるからです。

 現在の日本は「核武装しない、戦争を仕掛けない平和国家」という前提で成り立っていますので、「日本の核武装」はこの前提を完全に覆すことになります。

 日本が核武装を宣言したとたん、海外からウランや石炭や鉱物資源の輸入が止まり、原子力発電や火力発電や鉄鋼生産ができなくなります。食料自給率39%の日本への食料輸出が制限されますので日本国内は食糧不足で物価高となり飢餓状態となります。あらゆる商品の輸出入が止まるか大幅に減少しますので日本は国家として存続できなくなります。

 この件に関して私は記事「NHKの世論誘導目的の謀略に嵌められてはならない」を投稿しましたので下記のURLでお読みください。

▼ 不戦永世中立国・日本

 もう一つの議論は私の主張でもありますが次のようなものです。

 日本は憲法9条の理念を実現するために「不戦永世中立国」宣言を世界に発し、世界各国と「平和条約」を締結します。最低限の専守防衛力を保持しつつ、国策として核廃絶、反戦、武力紛争の調停に積極的にかかわっていきます。世界中から政治的軍事的緊張を取り除くことで自国の安全を守り繁栄を築く道を選ぶのです。

 日米安保条約の破棄を目指した大きな闘争は60年安保闘争と70年安保闘争がありました。米軍基地に反対する闘争は沖縄をはじめ今も全国で闘われています。

 これまでの個々の闘いの成果を踏まえて、すべての問題を根本的に解決する闘いは辺野古への移転阻止→米軍基地の撤去→日米安保条約破棄の闘いだと思います。

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[53583] 永世中立国になるなら重武装国家になるしかない
名前:明石晶
日時:2009/11/04 11:39
> 日本は憲法9条の理念を実現するために「不戦永世中立国」宣言を世界
>に発し、世界各国と「平和条約」を締結します。最低限の専守防衛力を保持
>しつつ、国策として核廃絶、反戦、武力紛争の調停に積極的にかかわってい
>きます。世界中から政治的軍事的緊張を取り除くことで自国の安全を守り繁
>栄を築く道を選ぶのです。



前にも指摘しましたけど、「最低限の専守防衛力」で不戦永世中立国になるの
は無理です。スイスは重武装国家で徴兵制を導入し、各世帯に武器が配られて
います。それくらいの覚悟がないとダメ。


あと、自国の拉致被害者も救出できない、北方領土や竹島は不法占拠されたま
ま、中国の油田泥棒は黙認という現状で世界の紛争解決なんか高望みしすぎで
す。


軍備を減らすというならそれなりの狡猾な外交戦略も必要となる。
しかし、現状では各国のスパイが跋扈し、朝鮮総連のエージェントみたいな政
治家やジャーナリストもたくさんいる。

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