2009年11月2日
東京・下町の市民ホールでたまたま見た女性デュオの歌謡ショーに強く心を動かされた。「名前は知ってましたが、かしまし娘と区別が付いてなかったくらいで……」。以来4年の歳月をかけ、ドキュメンタリー映画「こまどり姉妹がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」を撮り上げた(東京・テアトル新宿で公開中)。
「浅草姉妹」「ソーラン渡り鳥」などのヒット曲を持つ長内栄子と敏子の双子姉妹。貧しい少女時代に始まり、21歳でデビュー、60年代に絶頂期を迎える。その後、敏子が暴漢に刺されるなど数々の苦難を経て、71歳の今も全国津々浦々を回る。
カメラは現在のステージを中心にその劇的な半生を追う。「お二人のステージは本当に面白い。長年やっているから既に完成されているんです。下手に構成に凝るよりも、私が最初にショーを見た時の興奮を素直に伝えた方がよいと思った」。この言葉通り、姉妹のパワフルな魅力が全開する作品に仕上がった。
本来ドキュメンタリーの監督ではない。07年のオムニバス劇映画「歌謡曲だよ、人生は」の1編「ラブユー東京」で監督デビュー。今回が2本目の監督作になる。今秋公開された「キラー・ヴァージンロード」では、原案として名前を連ねている。
美大でデザインを勉強。その延長上で映画制作会社に入り、Vシネマの助監督などを務めてきた。「私は映画少女じゃないし、映画学校も出ていない。必要なことはすべて現場で学びました」(石飛徳樹)