国民新党代表の亀井静香金融・郵政改革担当相が、中小企業の借入金返済猶予を促す法案の今国会での処理を優先させたり、2009年度第2次補正予算案提出を主導するなど存在感をアピールしている。
“金看板”の郵政民営化見直しも緒に就いたが、公約実現で党の独自性が逆に色あせるジレンマに直面。民主党の単独過半数確保の可能性もある来夏の参院選で生き残るには、与党内の反発があっても新たな実績を残さなければ、と思い定めているようだ。
「郵政解散で私を除名し、刺客を送り込んで地獄にたたき落とした自民党が、今やうめき声を上げている」。10月31日、地元の広島県庄原市の国政報告会。亀井氏は500人超の支援者を前に“亀井節”で政権交代と郵政民営化見直しという成果を強調した。
自民党時代、小泉内閣による郵政民営化に反対し、国民新党を結成して4年余り。民主党との連立政権で、日本郵政の株式売却凍結法案の提出にこぎ着け、元大蔵事務次官を日本郵政社長に充てるなど「民営化見直し」を強力に推進。一方で、経営難にあえぐ中小企業支援や景気対策の重要性を指摘して、2次補正の予算規模は「10兆円以上」を唱えている。
率いる政党は国会議員わずか8人。民主党のマニフェストにない政策や方針決定前に独自案を打ち上げる手法に、民主党からは「小政党が鼻面を取って引き回している」(中堅)などと批判が出ている。亀井氏は「(連立政権は)そういう仕組みだから」と意気軒高だが、その振る舞いが民主党の「単独政権論」に火を付けているのも事実。亀井氏の強引な生き残り戦略が参院選後の政権の在り方に影響を与える事態も予想される。
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