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2009-11-03 経済産業省、正社員のためのハローワークを創設? 
以前“仕事より人が多い”ということ、というエントリで「正社員の貸し借り市場ができるかもしれないね。そんなことになったら派遣切りで失業した人は益々就職できないね」と書いた。それが9月8日だった。
一ヶ月半後の10月22日の日経新聞に下記のような記事を見つけた。*1
記事前半=厚生労働省の雇用対策についての話は略)
一方、経済産業省は企業の出向制度を活用した雇用安定化策に乗り出す。景気変動が生産活動に及ぼす時期が業種や業界によって異なることを踏まえ、企業間での柔軟な人材移動を促す。
同省や各地の経済産業局に専門の支援機構を設け、人材が不足してる企業と一時的に送り出したい企業に関するデータベースをつくる。
データベースには必要とする人数や処遇、受け入れ期間などを登録。余剰人員を抱える企業と人材不足に直面する企業の双方に情報を提供し、出向の形で行き来できるようにする。
おお、やっぱり〜!!
「われわれ経済産業省は正社員が解雇されないよう、正社員の貸し借り市場を作ります」、と。
「製造業への派遣禁止が実現すれば、民間での派遣が禁止されるから、じゃあこれからは国が派遣斡旋することにしますね」、と。
「ほらやっぱり、こういう仕事は民より官がやるべきでしょ?製造業への派遣禁止で民間の人材関連業界は大打撃を受ける。ビジネスが立ちゆかなくなるかも。だから官がその業務を引き継ぎます。今、時代の流れは“民から官へ”なのですよ」、と。
「あっ、悪いけど、現時点で失業してる人は経済産業省じゃなくて厚生労働省の担当なんで、ハローワークでも行って求人でも探してみてよ」、と。
そういう感じ?
さすが労働組合出身の経済産業大臣だけのことはある。まあ、“労組貴族”と言われるくらい労組から支援を受けている大臣としては当然なのかな。「正社員の雇用を守るためなら、税金を投入して経済産業省でもハローワークを経営するぜ」という意気込みなのかな。
経済産業省の役割は「正社員の雇用を守るため専用のハローワークを作ること」ではなくて、今、「失業している人たちが職にありつけるように、新たな経済成長の機会を作り出すこと」じゃないのか?などと、考えの足りないちきりんなどは思ってしまうのだが、官僚の皆さんに言わせれば、これの何が悪い?ってことなんだろう。
だって、一度失業した人を助けるより、失業者が出ないようにした方が「全体としての社会コストは低いのだから、納税者全体でみても、つまり、国民全体にとってこの方法の方がよいのだ」とおっしゃるのだろうな。
わかる。わかるよ。全体最適のためだってことでしょう?
お役所の偉い人達は、いつだって“お国のために”全体最適で考えてくれるのさ。
そんじゃーね。
・
*1:いつも日経の記事に関するエントリが遅れがちなのは・・・ためてる新聞を休日に捨てる直前にまとめ読みするためです。タイムリーじゃなくてごめんなさい。
http://www.sangyokoyo.or.jp/
そもそも職業というものは基本的に“家族”を養っていくためにお金を稼ぐものだと私は思います。なぜなら,私は自分が生きていくためだけだったら別にどうでもいいや,という投げやりな気持ちがしてしまうからです。私は,子供たちのためだったら,仕事上,どんな理不尽な仕打ちを受けようが,自分を捨てて雇用主に忠誠を尽くすことが可能です。そうしろと命ぜられれば自分を根底から作り変えることもできます。土下座して他人の靴を舐めることも平気です。よい発明をしたら,権利を全て雇用主に渡して当然だと思います。
と,ちょっと話がそれましたが,職業というものは,その人だけでなく,一定期間(たとえば扶養する子供が成人するまで)その人の家族を養うのに,最低限必要な期間,安定してお金が稼げるものでなくてはならないということが言いたいわけです。それを満たすのは“正社員”でしょう。ぶっちゃけ批判を恐れずに言いますと,独身者や子育てを終わった世代で,自分だけ食っていけばよい人は“非正社員”になっていただいて,野心があって夢を追うとか,我を通すとか,自分の好きなことをするとかして,雇用の流動性とやらに貢献してもらえばよいと思います。って,最後まで話がそれてしまいました。