【社説】ベルリンの壁崩壊が今韓半島で起こったら(下)
北朝鮮は15年以上続く経済難により、体制の存続そのものが危うい状況にある。今この瞬間にも5万人を超える脱北者が中国や東南アジア諸国をさまよいながら、韓国行きを願っている。韓国の統一もドイツ統一と同様、誰もが予想できないときに、また誰もが予想できない方法で訪れるだろう。韓半島(朝鮮半島)統一も、周辺国の同意と支持が必ず必要となる。西ドイツが発揮した外交的な力量が米国を積極的な統一の賛成者に、ソ連を消極的な反対者としたように、韓国も外交力を発揮し、統一を支持する国々をさらに頼もしい後見者として確保しながら、統一に反対する国々の態度を改めさせ、あるいは黙認させる方向へと振り向けることができるか。これが大韓民国と8000万の民族の将来が懸かった分かれ道となる。
統一ドイツは最初の5年間、毎年1兆5000億ユーロ(現在のレートで約200兆円)もの巨額を東ドイツ地域に支援した。しかしそれでも現在に至るまで、旧東ドイツ地域の経済水準は西側の70%ほどにしかならない。東西ドイツ住民間の反目も相変わらずだ。しかし、ベルリンの壁崩壊の2年前に当たる87年には、東ドイツから500万人が西ドイツを旅行し、そのうち100万人は当時20代の若者だった。1年間に数十万人の東ドイツ人が旅券の発給を受け、海外旅行に出掛けたのだ。同じ共産主義国家でありながら、当時の東ドイツと現在の北朝鮮は、あまりにも様相が異なっている。分断から60年が過ぎた今も、1年にわずか200組から300組の離散家族が金剛山に集まり、夢か現実かも分からないような2泊3日の再会を経て、再び当てもなく別れるしかないような苦痛にあえぐ韓半島の南北と当時の東西ドイツは、文字通り比較にもならない。
統一ドイツは今や統一費用の負担から徐々に解放され、統一の効果を足掛かりとして、次の段階へと飛躍を始めている。北朝鮮は今日の大韓民国にとって、天罰でも下すかのように、常に計り知れない重しあるいは負担となっている。しかし長い目で見れば、北朝鮮こそが、大韓民国を第2の飛躍へと導く可能性と潜在力を秘めた地域だ。
しかし今、大韓民国で一体誰が、予想もできない瞬間と予想もできない方法で訪れる統一について、どれだけ悩み、また準備しているのだろうか。ドイツ統一の主役と脇役となったコール首相、ブッシュ大統領、ゴルバチョフ書記長が一同に会し、統一から20年を記念する姿を遠くから眺めるわれわれの胸に、ふと寂しさがよぎるのはまさにそのためだろう。
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