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「FC東京、ナビスコ杯5年ぶり2度目V」ーMVPは米本拓司 川崎に表彰式の行為で厳重注意 監督コメントほか

11月 3 日, 2009 年, 9:30 pm

「表彰式での川崎のマナーの悪さに、チェアマンが川崎社長に『厳重注意』」 

  Jリーグナビスコカップが国立競技場で行われ、5年ぶり2度目のタイトルを狙うF東京が、MF米本拓司のスーパーシュートと、後半には平山相太のヘディングで2点を奪って初タイトル奪取にかけた川崎Fを退けた。
  立ち上がり、JリーグNO1の攻撃力を持つ川崎、ジュニーニョ、レナチーニョ、鄭の3枚看板にFC東京は守勢に立たされる。前半20分過ぎるまで7本のシュート、うち決定的なチャンス1本の猛攻を浴び、GK権藤修一の落ち着いた守備と好判断で何とか凌いだ。猛攻を凌いだ直後、中央でボールをもらった米本が平山からボールを受け、これを躊躇せずに右足でロングシュート。無回転の強烈なボールがGK川島の手をこぼれてゴールに入った。劣勢の中で我慢した直後のゴールに、これで川崎の勢いが止まり前半は終了。後半に入って前がかりに攻める川崎に対して、FCは安易にプレスをかけず、ボールを丁寧につないだ。
  後半14分、カウンターから中央で羽生直剛が攻撃を展開、これを右サイドを上がった鈴木達也へつなぎ、逆サイドをあがった平山に大きくサイドチェンジ、平山は難しい角度のヘッディングを走りこみながら決めて2-0とした。城福監督はその直後、長友郁都を2列目左に配置してFW赤嶺真吾と交代。攻撃に上がって再三チャンスを生んだ、川崎の森勇介を封じることにもなり、ラスト8分間での川崎の猛攻撃を振り切った。
  FC東京は5年ぶりのナビスコ杯獲得でチェアマン杯と賞金1億円を手にした(2位は五千万)。またMVPは米本が獲得(副賞100万円)した。米本は2日にニューヒーロー賞も獲得しており、ダブル受賞の活躍となった。
 敗れた川崎は3度目の決勝でまたも悲願果たせず、その悔しさからか、表彰式で何人かの選手が、準優勝でかけられたメダルを首からすぐに外してしまい、この行為に対してJリーグ鬼武チェアマンは怒りを露わにした。
  「(表彰式中に)メダルを外したのは許せない。Jとして(懲罰を)考える。個人としてではなく、チームとして全ての人々に失礼な行為だ。素晴らしい試合だったのに残念でならない。(川崎の)キャプテン、監督にも責任があることだろう。そういうことをきちんとできないから勝てないのかもしれない。少なくても、勝つのにふさわしくはなかった」と、試合後、川崎の武田社長に対して厳重注意をする異例の事態となった。試合は、サッカー協会名誉総裁の高円宮久子妃殿下もご観戦されおり、妃殿下がスタジアムを去る際、車寄せで、鬼武チェアマン、また海外出張中の犬飼会長に代わって川淵三郎キャプテンが、「申し訳ございませんでした」と、深く頭を下げる場面もあった。これまでチェアマン時代から数え切れないほど表彰式を行ってきた川淵キャプテンも初めてのことに「(川崎は)バッドルーザーだ」と話した。
 鬼武チェアマンに注意を受けた武田社長は、「失礼な行為で不快な思いをさせてしまったことは本当に申し訳がない。プレーだけじゃない。負けても礼儀は欠いてはいけない」と真摯に受け止め、練習休みとなる4日を挟んで5日、選手に注意をするとした。

会見から両監督コメント抜粋

城福監督 腰を引かずにフロンターレと戦って2敗した相手に勝てたことでステップアップできたと思うし、それをしなくてはならない。FC、フロンターレのサポーター、選手、スタッフみなさんのお陰ですばらしい雰囲気の中で試合ができたことに感謝しているし誇りに思う。
ー我慢ということをハーフタイムに言ったようだが。
城福 ボールを回されたときに食いつきたくなるが、穴をあければ決定的なシーンを作られる。インターセプトできればいいが、3ラインをいかにしっかり保つか、その我慢だった。もうひとつは自分たちの時間を長くすることが大事だった。前に行きたくなり、蹴りたくなるところを我慢しつなぐこと、両方の意味だった。
ー長友の使い方は?
城福 2回決定的なチャンスを作っていたし、守備的ではなく前線から飛び出ていくことへの期待だった。また、森君が上がってきていたのでそこを押さえるといったことは、2点目を取る前から交代は考えていた。あとの交代は、戦況を見ながらやっていた。
ー我慢の時間帯はどう見ていたか?
城福 まだ天皇杯で戦うのであまり詳しいことは勘弁願いたい。何が問題なのかを見極めようと思っていた。何が問題でレナチーニョ、ジュニーニョに打たれているのかは考えていた。自分たちのアグレッシブさが表裏一体となっているのではないか、と思っていた。
ーリーグトップの攻撃力を抑えた要因は
城福 GK権田の好セーブに救われ、ハイボールの判断ミスもひとつもなかったことは大きい。しかし、ほかにも前線からのチェーシング、コンパクトに保ちながら準備して2試合で痛い目にあったことを、同じ轍は踏まないという思いはあった。最終ラインから前線までのおのおのの役割をやりきったことが要因だと思う。
ー米本選手をユース時代から見ているが。
城福 個人の評価は避けている。若い選手はシビアな場面を経験するほどに成長するというのは見ている。きょういいパフォーマンスができたのも、(練習場の)小平で素晴らしいパフォーマンスを見せたにもかかわらずピッチに立てない選手もいる、そういう選手たちの思いもあったからだ。そういうことを試合前に話した。それを感じながらやれ、と言った。彼らに、それを感じさせらるだけのパフォーマンスを練習でした選手の力で、若い選手が活躍できた要因だった。
ー自分たちのサッカーはできたか
城福 満足はしていない。自分たちのスキルでももっと相手を振り回すことはできるはず。また次につなげたい。石川だけではなく、カポレの移籍や長友の負傷など色々あった。しかし立ち直りつつあるのは、やり続けることが大事だった。優勝は最終目的ではないのできょうの内容には全く満足しない。
ーFC東京不利、と予想した記者ですが・・・攻撃の川崎を抑える戦術は?。
城福 中村とレナチーニョはかなりフレキシブルに動いてくる。どっちにきても、彼のヘッドアップしたときに出してくるスルーは気にしていたので、特段パニックになうようなことはなかった。谷口は、セカンドボールから飛び出してくる。きょうは追い越してスルーをもらいにきていたので、そこで取られなくてよかった。球の出所と彼らのマークはできていた。

  川崎・関塚監督 残念で、サポーターにも申し訳ない。先制点を取られて、落ち着きがなくなり悪いとことが出てしまった。シンプルにつなげばいいところ強引にプレーをしてチャンスを逃がしてしまった。ここで建て直しをしなければならない。前半立ち上がりは、サイドでトライアングルを作りながら一人(DFを)飛ばして(数的)優位にしてゴールを狙うことができていたと思うが、1点取られてから変わってしまった。ここからリーグに向けてしっかり切り替えないといけないが、今はまだ残念な気持ちが強い。

   「頭が真っ白になりました」-米本
 序盤の20分、FC東京にはいいところがなかった。20分だけで浴びたシュートは7本にも達し、そのうち1本は決定的なゴールチャンスで、権田のセーブ力と川崎が外してくれた幸運がなかったら試合は決まっていたかもしれない。
 しかし、1本のシュートで試合の行方が変わってしまうこともある。
 経験は浅いが、18歳の米本はそんなサッカーの怖さと魅力を誰よりも信じていたのだろう。大劣勢の序盤を凌いだ22分、「あそこまで流れが凄く悪かった。シュートを打つことで何とか流れを変えようと思った」と、右足でロングシュートを放った。リーグでの初ゴールは試合終了間際だったが、それに比べればプレッシャーは軽かっただろう。右足を振りぬいたボールは無回転のままゴール右隅へ。GK川島はこれに触りながらも、手元でホップした勢いまでとめることはできなった。練習でもいつも打ってきたという自信のシュート、しかもこの試合たった1本だけのシュートが、リーグでもトップの攻撃力を誇る川崎を一瞬にして鎮まらせてしまった。
  MVP獲得の理由はこの1点のためではない。守備でも梶山と中盤の底で、しつこくしつこくボールを追い続け、この日は、川崎にとって攻撃の出だしでもある中村憲剛のボールを徹底して封じ込めた。ユース時代から注目された逸材で、観戦した日本代表岡田監督も「面白い選手だと思って前から期待はしてきた。いいシュートだった。技術がついてくれば将来性はある」と称賛。すでに、アジア杯の予備登録メンバーには加えてあり、今後短期間でどこまで成長するか。Jリーグのルーキーとしてだけではなく、代表においても、楽しみなダークホースに躍り出る1本となった。ニューヒーロー賞とMVPのダブル受賞に、「みなさんのお陰でもらえたものですから」と照れくさそうだった。

   「ここに立てなかった選手を忘れるな!」城福監督
 スタジアムに道徳の授業に行くわけではない。スポーツが人間教育にもたらす効果を見極めるのでもない。だから、川崎の一部の選手の行為を批判しても意味がないだろう。ただし、彼らにメダルを首から取り去るほど悔しい思いをさせた相手FC東京を見ると、90分のピッチだけが3度目の挑戦の場ではなかったのではないかと思わされる。
 FC東京の城福監督は、冷え込む中で試合を観戦したFC東京、川崎のサポーターや、緊迫した試合をした両チームの選手を称えて、会見で最初に感謝を口にした。そして、「素晴らしい練習をしながらもここに立てなかった選手を忘れるな、と試合前に話しをしていました」と、米本をどう思うか、と聞かれて、バックアップメンバーのほうについて答えたのは印象に残る。同じことは関塚監督も言っていたかもしれないし、こんな当たり前のことを言う必要もない。昨年も同じような行為はしていたのではなかったか。
 表彰台ではないが、五輪の際、女子レスリングの選手が悔しさのあまり、場内を行進中、首からメダルを取ったことはある。世界選手権で、柔道選手が表彰台を降りたところで銅メダルを首から取ったのを見たこともある。しかし、個人競技だ。何より彼らに共通していたことがある。彼らはその悔しさを本当の意味で自分の中に刻み込むため、その日のうちに練習に向かったことだ。監督采配に不満なら言えばいいし、仲間に不満ならロッカーで殴りあえばいい。自分に情けなくふがいないなら、練習しかない。
 最後までメダルをかけて階段を下りた中村憲剛は、ある記者の取材に対して「あれはやってはいけないことだ」と答えたそうだ。

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