2002年9月終わりごろ
日付の裏づけを後日、追加アップする。
石垣市川平の結願祭の日。
母が54年、祭司を努めてきた。例年、サポートする。息子が奉納棒術を舞うので、そのサポートも必要で、本来なら年休を出す。
だが市長が公式行事として毎年出席しているので、今回、サポートを研究で来ていたゼミの学生に頼み、自分は出勤した。
昼食前、
女性トイレから出てくると課長が腕組をして立っている。
「外勤に行け」
鍵とカバンを取りに行こうとすると止められた。緊急の処遇困難ケースの訪問だと思った。
「バカ、早く逃げれ。変態野郎がお前を探し回ってギラついて増進課に行ったり、介護長寿課に来たりしているんだよ。部長もついて歩くから大事になって、みんな仕事にならないんだよ。そのまま帰って来なくていい。午後は外勤扱いにする。カバンと鍵は預かっておく。早く行け」
「お金ないですよ」
課長の厳しい顔を初めて見たので、そのまま福祉事務所の所から表に出た。
認定調査員の誰かが来たら家までお願いしようかとも思ったが、誰も来ないし、お腹もすく。
勤務終了までうろうろと周囲を歩いていた。退勤者の姿が一応に落ち着いた頃、課に戻った。
課長、補佐が立っている。二人とも厳しい表情をしている。補佐は帰っていった。
「サラはどこに行った。外勤から戻せ。祭りに行ったのか」
と、ギラギラ目を光らせて行ったり来たりし、そのたびに付き添う人たちも動き、課の窓口の職員は起立し、騒然としていたと課長が事情を説明した。
課長が、「おまえ、誰でもいいから見合いでもして結婚やれな。仕事仲間としてお前を失いたくない。あんなマスターベーション男は、周囲も何も見えていないからやっかいだよ。僕らはみんな生活のために働いているのにさ。おまえもキツイな。辞めるなよ」 と、言った。
泣きそうになった。だが課長に16日のことを話すことはできなかった。
みな守るべき家族がいる。
携帯が鳴る。
頼んでいた人からだ。
市長車が3時間以上、ばあちゃん家に止まっていて、家に入れないで困っていると。
隣の家、数件にかけてみる。そうだと言う。息子を呼び出してもらう。
「ばあちゃんも僕もお腹がすいた。市長がキッチンの椅子に座って動かないから、食べれない。ばあちゃん、着物も脱いで、カンプーも外したけど、髪が洗えないときつそうだよ。でもお母さんは来ないほうがいいと思う。なんかが気持ち悪いよ」
息子はタクシーで着払いするから帰宅するようにさせた。市街地まで3000円以上かかる。
もったいないから待つという息子を説得し、サポートしてくれる方に車が出たら、すぐに家に入ってばあちゃんの髪の洗い手伝いを頼む。祭司のための琉球カンプーは油で頭を固めるので、落とすのに一時間以上かかる。母は高齢で腰まである髪を処理するのに、手伝う必要があった。
その数日後、女性数名から呼び出しを受けた。仕事仲間からの四面楚歌はきつい。
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