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【外信コラム】上海余話 “日本人狩り”
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近代中国の小説家、魯迅(ろじん)を記念した上海市内の魯迅公園を散歩していたときのこと。年配の中国女性が近づいてきた。「あなたは日本人ですか?」と日本語で聞かれ、訳も分からずうなずくと、あっという間に20人近い人垣に囲まれた。
すわ反日団体の“日本人狩り”かと身構えたが、聞くと週末ごとに日本語を勉強する仲間が公園に集まって、日本人を探しては会話の練習に励むのだという。
女性は「息子が日本語を勉強して就職先を探しているので自分も手助けのつもりで」と話した。四川省出身という若い男性は「ハイテク製品に憧(あこが)れて日本語の勉強を始めた。日本に留学したい」と目を輝かせた。
口々に話す日本語はたどたどしいが、日本に対する期待が彼ら、彼女らを突き動かしていることは確かなようだった。別れ際に一人一人が握手を求めてきて「ありがとうございました」と深々と頭を下げたことには驚いた。
そういえば先日、西安で行われた大学生の日本語弁論大会に関係者として出席した日本の友人が、学生の高い日本語能力と純粋な日本への関心、情熱に触れていたことを思いだした。
確かに就職に有利といった現実的なもくろみもあるのかもしれない。
それでも、かつて日本に留学し、日本人と深い心の交流を生涯続けた魯迅の前で“日本人狩り”をする中国人はいとおしい。(河崎真澄)
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