2009年11月3日 11時38分 更新:11月3日 12時16分
原爆ドームが「広島県産業奨励館」と呼ばれていた原爆投下前の姿をコンピューターグラフィックス(CG)で再現する取り組みを、ハリウッドの大作映画にもかかわったスタッフを含む日米の専門家グループが共同で始めた。巨大災害や近未来の情景などを映像化してきた最先端の技術を駆使し、「ヒロシマの継承」に挑む。
米国側は、映画関係者を輩出した南カリフォルニア大の教授や大学院生ら7人。映画「デイ・アフター・トゥモロー」(04年)などに携わったスタッフも。日本側は東京大のバーチャルリアリティー(仮想現実感)の研究室や、建築史が専門の早稲田大の研究室らが参加する。
先月28日には、東大と南カ大をインターネット回線で結び会議を開いた。日本側は、円形の青銅の屋根など外観の特徴を解説。リチャード・ワインバーグ・南カ大教授は「平和のシンボルであるドームの歴史など、学ぶことが多い」と語った。
完成画像は、周辺の街並みの再現映像や被爆者の証言などと合わせて約1時間の記録映画にする。広島の映像作家、田辺雅章さん(71)が2年前から、来春の核拡散防止条約再検討会議に合わせた世界公開を目標に準備を進めてきた。
ドーム東隣に生家があり、両親と弟が被爆死し、自らも被爆者の田辺さんは「当時を知る自分が生きているうちに、日米の若い世代と協調して、原爆が奪ったものを記録できることに感慨を覚える」と話す。【宇城昇】