「休日通行料千円」が続く高速道路で、ガス欠トラブルが多発している。どこまで行っても千円とはいえ、無理は禁物。紅葉が各地で見ごろを迎えているが、車で遠出の際はご注意を。
9月の5連休中の未明。日本自動車連盟(JAF)の職員が、中国道の吉和サービスエリア(SA、広島県廿日市市)に駆けつけた。九州旅行に向かう夫婦の車は、燃料が次の給油所まで持つか持たないかという状態だった。同SAの下り線の給油所は昨年11月末に廃止。夫は疲れた表情で「給油所は50キロごとにあると思っていたので……」。
自動料金収受システム(ETC)の利用車に限り、土、日、祝日の高速料が上限千円になったのは3月下旬。
「千円」効果で、休日の高速道の利用台数は全国で1.2倍程度に増えたが、ガス欠のSOSはそれ以上に多い。JAFによると、高速道でのガス欠による出動は、黄金週間とその前後の8日間が592件で、前年の1.55倍。お盆期間の9日間も758件で同1.37倍に。シルバーウイークの5連休(9月19〜23日)は400件で、飛び石連休だった前年(9月20〜24日)と単純に比較はできないが、2.19倍に増えた。
西日本では特に中国道の広島県と山口県にあるSAやパーキングエリア(PA)への出動が多発した。県境近くの吉和SAの給油所は下り線に加え、上り線も今年3月末に廃止され、安佐SA(広島市安佐北区)―美東SA(山口県美祢(みね)市)間の約150キロで給油所がなくなった。この間で燃料切れになりそうになった車が、救援を呼ぶケースが増えた。ドライバーたちは「カーナビが古くて給油所があると出ていた」などと説明していたという。
JAFの広報担当者は「給油のためにいったん一般道に降りることをためらって、ガス欠になってしまったドライバーも多いのでは。早めの給油を心がけてほしい」と呼びかけている。(丑田滋)