日本人拉致事件をめぐっては、すでに警察当局は金総書記に近い対外情報調査部の李完基(リ・ワンギ)・元部長と姜海竜(カン・ヘリョン)・元副部長が、地村保志さん、富貴恵さん夫妻、蓮池薫さん、祐木子さん夫妻の拉致を計画、指示したと判断している。政府関係者によると、福田政権時代に逮捕状を請求することも検討されたが、官邸側の意向で見送られたという。
日韓外交筋によると、この幹部2人の関与を裏づける過程で、08年2月中旬に日本政府関係者が、78年に北朝鮮に拉致されてその後脱出した韓国の女優、崔銀姫(チェ・ウニ)さんに事情聴取した。崔さんは著書にこの幹部2人と金総書記が写った写真を掲載している。崔さんは事情聴取に対し、金正日総書記が70年代に金日成国家主席から政権運営を譲り受けていたと説明し、日本人拉致については金総書記の指示が「あったと思われる」と証言した。