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宿泊所ビジネスの告発者、岡崎市が業者に漏らす

2009年11月1日12時57分

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 愛知県岡崎市内の「無料低額宿泊所」で暮らす入所者から相談を受けた弁護士が処遇上の問題点などを文書で同市に指摘し対応を求めたのに対し、同市が入所者の実名が含まれる文書を宿泊所側に渡していたことがわかった。事業者を指導・監督する立場の行政が、告発者を告発された業者側に漏らした形で、弁護士は「守秘義務、個人情報保護の点でもあまりに配慮のない対応だ」と批判している。

 「無料低額宿泊所」は社会福祉法に定められた福祉施設で、入所者の生活保護費から利用料を集めて運営されることが多く、実際には無料でも低額でもなく「家賃や食費が高額すぎる」などと、「貧困を食い物にしたビジネス」として全国で批判の声が上がっている。

 弁護士によると、告発した入所者は不況で仕事を失うなどした男性らで、今春、同市に生活保護を申請。市が宿泊所(届け出は今年8月)をあっせんした。

 宿泊所の実態について相談を受けた弁護士は8月、「法的、人道的問題がある」として、市に告発者2人の実名が入った要請書を提出。文書は(1)生活保護費から徴収される費用は不当に高額で、入所者の自立を妨げている(2)居室に第三者を招くことを一切禁止するなど入所者のプライバシーを侵害しているなどと指摘。現状が適正なのか市の考えを聞き、対応を求めた。

 文書を受け取った市はそのままコピーを宿泊所側に渡したという。さらに、別の入所者が生活保護費の不正受給を宿泊所側に強要されたとして代理人弁護士が9月に市に提出した上申書も、同様にコピーを宿泊所側に渡したと市は認めた。

 市生活福祉課は「訴えの内容が正しいかどうかを確認するため渡した。告発者の不利益になるとは思いもしなかった。軽率で申し訳なかった」と釈明している。(兼田徳幸、連勝一郎)

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