2009年8月10日10時17分
私が複利計算をしていたとき、ふとこの言葉に気づきました。わずかな改善でも、たゆまぬ努力が有効とよくいいますが、それをわかりやすく数字にしてみたものです。
具体的にどういうことかといいますと、今日できることを100とし、1日0.2%ずつそれを改善すると、明日は今日に比べて100.2できることになります。さらに毎日0.2%ずつ改善すると、10日後には101.8と少しできるようになります。
このような努力を365日続けていくと、なんと、この数字は、初日に比べたら207.3にもなるのです。
すなわち、一日一日は目に見えないようなほんの少しの改善でも、繰り返し行うことで、年月とともに成果が蓄積され、気がついたら、他人から見ると、どうやって実現したのだろうと思うような高みに到達する可能性があることを示しています。
例えば毎日、ほんの少しずつでも身の回りのことを合理化したり、改革したりしてみましょう。文房具の位置をほんの少しずらして取り出しやすくする、朝に5分でいいからストレッチ体操をして起きるようにする、食事のときにわずかずつでも野菜や果物の量を増やしてみる、座るときには気をつけて腹筋を使ってみる、という考え方です。
どうしてもふだん、何かを変えようと思った場合、すごくがんばるか、やらないかの二者択一で、ほんの少し変えてもあまり意味がないかもしれない、と私たちは考えてしまいます。だからこそ、今日やらなくても、と着手するのを先延ばしにしがちです。
しかし、この0.2%の改善は1年で倍ですから、2年で約4.3倍、3年で約9倍もの差になるのです。
そして、日常生活の改善だけではなく、「心の筋トレ」にも同じことが言えます。
毎日0.2%ずつ、将来のためにちょっとした努力をしたり、新しいことにチャレンジしたりすることを繰り返し、それが成功体験につながることで、だんだんとこれまでできなかった我慢ができたり、より難しいことにチャレンジできるようになるのだと考えています。
この「0.2%の改善」という言葉は、続けることと、なるべく早く着手することの大事さを教えてくれます。(経済評論家・公認会計士)
1968年東京都生まれ。経済評論家・公認会計士。早稲田大学大学院ファイナンス研究科、慶応大商学部卒。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得し、マッキンゼー、JPモルガンなどを経て経済評論家として独立。05年、「ウォール・ストリート・ジャーナル」から「世界の最も注目すべき女性50人」に選ばれる。著書に「お金は銀行に預けるな」(光文社)など多数。
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