2009年8月31日11時5分
この言葉は、私の友人が口癖のように、新しいことにチャレンジする意味でつぶやいていたことから、覚えてしまいました。そして、私も自分の行動規範として使うようになったものです。
例えば、私たちがジャンケンをして5回勝ちたいと思った場合に、5回だけジャンケンをして、その勝負すべてに勝つのは至難の業です。しかし、20回や30回もするなら、5回勝つのは難しいことではなくなるでしょう。
ジャンケンは勝ち負けの確率が半々です。回数を重ねれば確実に勝ちの回数は増えるのです。私たちが新しいチャレンジをしようと思ったときには、勝つ確率がジャンケンよりもいいもの、例えば51%以上の成功確率があるなら、果敢にリスクをとって「ジャンケン」をしていけば、チャレンジのうち過半数のものは、それなりの成果を収めることになります。
私がさまざまな人を観察してきて思うのは、物事がうまくいって成果が出ている人は決して成功確率が高いわけでなく、単純に成功するまでジャンケンを続けている、ということなのです。
例えば、発明王と言われたエジソンが、電球のフィラメントの材料として日本の竹を探し当てたのは、なんと7600種類もの素材を全世界から取り寄せていたためです。
私自身も、著作、メディア出演など、さまざまな活動をしていますが、そのすべてが大成果を上げているわけではありません。実際、本が売れ始めたのも、書き始めてから1年半たってからでした。
また、チャレンジの回数を増やすと、結果が出やすくなるのに加え、「負け」も減っていく仕組みがあります。なぜなら、私たちの脳は新しいやり方を「失敗による消去法で覚えていく」ためです。
極端に言いますと、100通りの方法があったときに、いちばん正確な一つの方法を発見するには、残りの99通りの方法が「その方法ではうまくいかない」という学習をすることが、遠回りなようで実は一番の早道なのです。
もちろん、ジャンケンで負けたことが取り返しのつかない事態を招くこともありますし、自尊心が傷つくかもしれません。しかし、勝った回数よりも負けた回数の方が、私たちを成長させるのです。
(経済評論家・公認会計士)
1968年東京都生まれ。経済評論家・公認会計士。早稲田大学大学院ファイナンス研究科、慶応大商学部卒。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得し、マッキンゼー、JPモルガンなどを経て経済評論家として独立。05年、「ウォール・ストリート・ジャーナル」から「世界の最も注目すべき女性50人」に選ばれる。著書に「お金は銀行に預けるな」(光文社)など多数。
勝間和代さん主宰、ワーキングマザー及びその予備軍の女性が集うコミュニティ「ムギ畑」はこちら。