2009年9月21日10時12分
この言葉は、05年に漫画家の倉田真由美さんに初めて会ったときに教わりました。
当時、一勤め人だった私が、その2年後に独立し、さらにそれから2年後、さまざまな領域に仕事を広げる大きなきっかけとなった言葉で、本当に感謝しています。
「行動の大切さ」と「リスクを取る必要性」の両方を合わせながら、しかもわかりやすく、覚えやすくしたこの言葉は、私たちの行動を変えたいときの特効薬になります。
私たちの行動は、ほとんど無意識に決められています。つまり、五感からの刺激に対して、私たちに内蔵された何らかのプログラムがおのずから働いて、反応を定めているのです。そして、このプログラムを動かすのが、このような言葉と、それにもたらされた成功体験の記憶なのです。
だからこそ、「迷ったら、やってみる」という言葉を心のプログラムに置いておくことで、新しい刺激やチャレンジに対しておじけずに、まずはやってみる、という選択ができるようになります。そして、私たちの脳は消去法で学習するため、やってみる回数が多ければ多いほど、より的確な反応を導き出すことができるようになるのです。
もちろん、この「迷ったら、やってみる」は、その結果があまりにもリスクが高すぎるなら、避けた方がいいでしょう。しかし、やってみたときの最悪の結果を考え、それが自分の受容できる範囲内であれば、まずはやってみる、ということなのです。
例えば、私は最近、パソコンを買い替えましたが、以前より小型の機種にしたため、キーボードが打ちにくくなりました。そのためキーボードだけ別売りのものと取り換えようと考え、そこで、人に勧められた4種類の製品をすべて購入し、比較しました。
これは、結局、自分で使い込まないと、それがいいか悪いか分からないと考えたためです。そして、著述は私の仕事のかなりの部分を占めますから、4種類分のキーボード代という最悪のリスクは許容範囲だと判断したからです。結果として、一番なじむ1台が手に入り、快適に仕事ができるようになりました。
ふだんから、リスクが高くない限り、さまざまなものにチャレンジし続けて、新しい視界を開いてみてください。
(経済評論家・公認会計士)
1968年東京都生まれ。経済評論家・公認会計士。早稲田大学大学院ファイナンス研究科、慶応大商学部卒。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得し、マッキンゼー、JPモルガンなどを経て経済評論家として独立。05年、「ウォール・ストリート・ジャーナル」から「世界の最も注目すべき女性50人」に選ばれる。著書に「お金は銀行に預けるな」(光文社)など多数。
勝間和代さん主宰、ワーキングマザー及びその予備軍の女性が集うコミュニティ「ムギ畑」はこちら。