2009年10月19日10時19分
今回は、さまざまな偶然の結果に自分の気持ちが振り回されすぎないよう、私がふだんから唱えている言葉です。
つまり、自分の行動の結果として、何かいいことがあってもむやみに舞い上がりすぎず、逆に、望まないことや嫌なことがあっても、やたらと悲しがりすぎないということです。この言葉を唱えると、心が強くなり、トラブルにも対処できるようになります。
なぜなら、私たちがコントロールできるのは、日々の行動だけだからです。その結果についてはコントロールできません。ふだんから、私たちは自分の行動についてベストを尽くし、その時には最適だと考えているわけですから、その結果の善(よ)し悪(あ)しは、環境やタイミングに依存していたり、あるいは偶然の結果かもしれないからです。
うまくいった場合にうれしがりすぎると、その時の行動パターンと成功体験を過度に関連付けてしまい、何でもかんでも、その時の手法をどんなパターンにも適用しがちになってしまいます。
その成功がタイミングや、周りの人のサポートによる力添えの結果であっても、ついつい自分の能力を過信し、周りへの感謝を忘れてしまいますから、いい時にこそ、冷静になる必要があるのです。
逆に、結果が悪かった場合に、それを悲しみすぎると、単に環境やタイミングが悪かっただけの結果かもしれないのに、自信を失ってしまったり、再チャレンジの気合をなくしたりしてしまいます。
もちろん、私たちには感情がありますから、うれしかったり、悲しかったりするのは自然なことです。
しかし、大事なことは、常に、自分の行動やそれに伴う結果を見つめるもう一人の自分がいて、その自分が、なぜその結果が出たのかを分析することなのです。
そして、極端に私たちが舞い上がりすぎて顰蹙(ひんしゅく)を買ったり、かつ、将来に間違った成功パターンを学習することで禍根を残したりしないよう、うまくいった時にこそ、なぜうまくいったのかという要因を洗い出していきます。
常に結果とそこにいたるプロセスをセットで考え、自分自身でも納得がいくプロセスと結果だったときに初めて、うれしさを味わい、自分をほめることをお勧めします。
1968年東京都生まれ。経済評論家・公認会計士。早稲田大学大学院ファイナンス研究科、慶応大商学部卒。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得し、マッキンゼー、JPモルガンなどを経て経済評論家として独立。05年、「ウォール・ストリート・ジャーナル」から「世界の最も注目すべき女性50人」に選ばれる。著書に「お金は銀行に預けるな」(光文社)など多数。
勝間和代さん主宰、ワーキングマザー及びその予備軍の女性が集うコミュニティ「ムギ畑」はこちら。