国内産の新型インフルエンザワクチン(サンプル)の瓶。左が10ミリリットル入り、右が1ミリリットル入り
約10%のワクチン液の節約が期待できるという注射器=テルモ提供
●大きな瓶で生産増加
厚生労働省は当初、来年3月までの国内産ワクチンの生産量を1800万人分としていたが、9月に約2700万人分に上方修正した。その理由のひとつが、ワクチンの瓶(バイアル)の大きさだ。
季節性用ワクチンは1ミリリットル入りの瓶が使用されてきたが、新型用は海外で使われる10ミリリットルも使うことにした。大きな瓶にまとめると検査の手間が減り、効率よく生産できるという。
ただし悩ましいのは、1人0.5ミリリットル接種の場合、10ミリリットル瓶では20回分ではなく約18〜16回分になってしまうこと。瓶の内壁にワクチン液が残ってしまう無効分が出るためだ。一方、小さな1ミリリットル瓶では10本で20回分とれるという。
また、10ミリリットル瓶ではワクチンを注射器に移すのに注射針を瓶に入れる回数が増え、細菌による汚染が増えかねないとの懸念もある。厚労省は10月20日、都道府県などに10ミリリットル瓶を使う際の注意を文書で呼びかけた。(小堀龍之、武田耕太)