先日杉並区内の小学校で行われた、陸上競技のイベント。
トップアスリート達が、小学生の目の前でレベルの高いパフォーマンスを見せ、実際に小学生に競技を体験してもらうというものだ。
このプロジェクト、現役のトップアスリート達が誰に言われた訳でもなく自らで立ち上げ、陸連に協力を要請し、約2年を費やして実現させたものだ。
トップアスリート達の、陸上競技の素晴らしさを世の中に広めたいという想いからスタートした、画期的な企画である。
詳しい内容は参加していない僕はわからないが、子供達にはとても素敵な機会になったようである。
オリンピックに出るような選手達が、小学校のグラウンドで100mを10秒ちょいで走ったり、棒高跳びで校舎の2階以上の高さを飛んだりする訳だ。
そりゃあ小学生じゃなくてもインパクトは大である。
参加した小学生達も、目の前でそんなパフォーマンスを見せられたら、陸上競技に興味を持ってもおかしくないだろう。
まあそれを純粋に期待してしまう訳なのだが…
元陸上競技選手の切なる願いである。
僕は競技を辞めてそこから一歩踏み出した時に初めて、陸上競技があまり世の中に普及していない事に気付いてしまった。
騒がれているのは所詮、オリンピックと世界陸上と箱根駅伝だけ。
日本で一番大きな陸上競技大会である日本選手権は、いつも客席がスカスカの状態なのである。
現役時代は正直、自分の事を考えるだけでいっぱいいっぱい。
とてもじゃないが、そんな陸上競技全体の事なんて考える余裕はなかった。
なので当時は、スカスカの客席を見ても何にも感じなかった訳である。
しかしそんな現状を今、現役で活躍するトップアスリート達が自ら動いて変えようとしているのだ。
しかも全員がオリンピックを経験している選手。
世間からも期待され、誰よりも世界で結果を残す事だけを考えている選手達が、こうして陸上競技全体の事まで考えて活動している訳だ。
単純にスゴイ事である。
矢印の向いてる方向が内側ではなく、完全に外側へ向けられている訳だ。
こうした人達は、何の為に競技をやっているのかを深く理解している。
結果を残すこと以外の大きな目的を持っている。
競技を通して世の中に何を与えるか…
いつもそこを考えているのだ。
そこまで考えた上で競技に専念するのだから、そりゃあ強くて当然である。
矢印を内側ばかりに向けていたかつての僕なんかとは、意識のレベルが全く違うのである。
心底、男前な連中だと思う。
ちょっと似ているところだが、今年日ハムを日本一に導いた新庄選手。
誰よりも日ハムを盛り上げ、誰よりも球界全体を盛り上げ、そして最後にはチームを日本一に導き、日本中を盛り上げてくれた男前。
やっぱり矢印は外向きである。
世の中に貢献した人には、それ相応のプレゼントが最後に必ず待っているのが世の仕組み。
なので僕はこのキッズアスリート・プロジェクトのメンバーが、今後の世界大会で必ず最高の結果を作ると今から断言しておこう。
男前な彼らには、それくらいのプレゼントがお似合いなのだ。