2009.11.01

[NEW11/1写真追加・改訂版]沖縄で出会ったミュージシャン<ういずあす>。いつか必ず!!

本当に心が癒される歌・音楽はそう多くはない。

9月初旬、例年より短い10日間ではあるが、私と倅は恒例の沖縄滞在に赴いた。宿泊するホテルはこの約10年間、2つに決めている。
前半の1週間(例年2週間の滞在なので)は今若者たちのメッカとなっている北谷・美浜と那覇市の中間地点(宜野湾)にあるANAラグナガーデン。後半1週間が那覇市の高台にあるナハテラスである。
蛇足だが、ナハテラスの周辺は最近まで閑散としていた。だがモノレール(ゆいレール)が開通し、最寄り駅近くにDFギャラリアがオープンすると俄に街は活気づき、最近では美浜辺りよりも華やかな巨大エンターテインメント地域に変貌しつつある。反比例するように、かつては沖縄No.1の観光地だった国際通りは寂しいくらいに閑古鳥が鳴いている。

話を戻す。
最初の滞在先、ラグナガーデンの広いプールで泳いだり、デッキチェアーにもたれて午睡を貪っていると、プール脇のステージから音楽が流れてきた。
ステージでは毎日午後7時になると観光客相手のショーが催される。エンジニアが機材の調整をしていたのだ。
ショーでは大道芸やマジックショーも行われるが、やはりメインは沖縄在住のセミプロミュージシャンによる沖縄民謡のミニリサイタルだ。とはいえ私たちは1度もショーを観た事がない。しかし部屋で寛いでいると自然と音楽が窓越しに流れてくる。それをボーッと聴くのが好きだった。

私は何故か三味線の音が好きである。江戸風小唄を伴奏する三味線も粋だが、激しいリズムを刻む津軽三味線は本気で学ぼうと思ったくらいに大好きだ。そして独特の旋律で乾いた音を響かせる三線と指笛を吹きながら唄う沖縄民謡には不思議な魅力を感じてきた。
ホテルのショーは観ないが、沖縄では一流の民謡トリオ<ネーネーズ>のリサイタルには何度足を運んだか分からない。<ネーネーズ>は本土でも活動しているので知っている人も少なくないだろう。
現在の<ネーネーズ>は所謂「2代目」で、約10年前に襲名し平均年齢もグッと若くなった。唄は上手いし3人とも絶世の美女である。彼女らとは色んな曲折を経て「友だち」になった。とはいえ、生来ウブな私は今でも彼女らの眼を見て話せない…。

またもや話が脇道に逸れた。
繰り返すが、ラグナガーデンのプールに漬かりながら私たちが戯れている前で、音楽エンジニアが夜のショーに向けた音響設備のチェックを行っていたのである。途中、その日のゲストミュージシャンの伴奏用カラオケと歌入りのカラオケを交互に流していたというわけである。
実に優しい楽曲だった。
沖縄民謡のリズムや三線がベースになりながらも洋楽のエッセンスが絶妙な形で溶け込んでいる…。ボーカリストは女性だが、沖縄民謡の節回しを駆使しながらも完全なポップスになっていた。

1990年代以降、沖縄出身のミュージシャンや俳優、アイドルの活躍は目覚ましい。個人的には好きではないが安室奈美恵やSPEED辺りが牽引車になったのかもしれない。
沖縄アクターズスクールは今や観光スポットにさえなっているほどである。蛇足だが、私は沖縄出身の女性が好きだ。仲間由紀恵も国仲涼子もいいが、新垣結衣は…もう完璧過ぎてゴメンナサイ! である。

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(東洋1広いと言われるラグナガーデンのプール)



またまた脱線した。
最近では沖縄出身の女性デュオ<やなわらばー>が注目されているが、プールに流れた歌やメロディは<やなわらばー>にやや似ているものの、もっと沖縄色が濃く感じた。
音楽好きの私はカラオケの歌が頭から離れられなくなった。気がつくとエンジニアに「今流している楽曲は誰のものか?」と訊いていた。
「<ういずあす>という女性3人組の歌です」
「ホテルのロビーに置いてあるパンフに写っているトリオですか? <ネーネーズ>みたいな民族衣装を着た…」
すかさず倅がフォローを入れる。
「そうです。外見は<ネーネーズ>そっくりですけど彼女たちはシンガーソングライターなんですよ」
エンジニアは笑いながら答えた。私は「それにしてもいい曲だよ。CDは手に入るの?」と質問を被せた。
「まだ彼女たちは残念ながらメジャーデビューを果たしてないんで、インディーズの自主製作版しかないんです。今夜のショーにいらっしゃってくれればそこで販売しています」
エンジニアは言うのだが、かといって私はショーを観る気分ではなかった。椅子に腰掛けただけで腰が痛くて堪らなくなるからだ。
「10○○室のコジマという者だけど、ホテルのフロントに頼んでCDを買いに行かせますのでよろしく」
するとエンジニアは「10○○のコジマ様ですね? よければフルネームを教えて頂けますか!?」と言う。面倒だなと思いながら名前を言うと、悪い予感が的中した。エンジニアは物書きの私を知っていたのだ。後のイキサツは省く。

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(「ういずあす」。3人とも三線歴10年以上、沖縄民謡コンテストでの優勝など…実力は最高クラス)


午後10時を少し回った頃である。部屋のチャイムが鳴った。既にショータイムが終わって1時間が過ぎていた。
<ういずあす>のCDをホテルマンが届けてくれたのかと、倅が立ち上がりドアーを開けた。すると、そこにいたのは本物の<ういずあす>のメンバー(勿論、ホテルマンとマネージャーらしき女性もいたが)ではないか!!
普段、部屋の中では下着のトランクスだけでいる私はたまたまバスローブを纏っていた。
「ヤバかったけど助かった」
というのが最初の反応だった。倅は振り返り私の姿を確認すると丁寧な物言いでセミスウィートの部屋に彼女らを招き入れた。遠慮する彼女たちに構わずルームサービスでコーヒーと紅茶を注文した。
正直、言葉に出来ないほど私は緊張していた。相手が男ならばヤクザでも何でも怖くないのだが…妙齢の美人が3人も前にいるのだ。たった1時間程度だったが、何を話したのか殆ど記憶にない。
むしろ大学で女子学生に囲まれるのに慣れている倅の方がずっと冷静だった。帰り間際、彼女らの1人がおずおずとCDを差し出した。ジャケットのフィルムを丁寧に剥がすと、3人が代わる代わるCDの表にサインをしてくれた。

<ういずあす>のインディーズCD、「ういずあす明日へ」に収録されている「明日へ」と「愛より青い海」は実に素晴らしい。
沖縄情緒を残しながらもフォークソングとロックを融合させた絶妙なリズムと旋律。そして圧倒的な歌唱力。
いつか…。
本当にいつの日か、彼女らがメジャーデビューを果たし、成功した時に再会したいと心から願っている。
「明日へ」
「愛より青い海」
どちらも甲乙つけ難い名曲だ。勿論、彼女ら自身が歌詞も書いている。
辛い時、悲しい時。
私は毎日のように<ういずあす>を聴いて、何故か優しい気持ちになっている自分を発見するのだ。

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(<ういずあす>のサイン入りCD)


(了)

samurai_mugen at 14:44│clip!駄文