押尾学事件

　押尾学の薬物裁判の判決は１１月２日。事件で変死した銀座ホステス・田中香織さんの遺族は「なぜ救急車を呼んでくれなかったのか」と訴えているが、初公判後はまったく声が聞こえてこない。

　先の公判では田中さんの父親が傍聴したが、当日は両親ら家族４人で岐阜・飛騨から上京して並び、田中さんの弟が当てたものだという。

「銀座のホステスやクラブ関係者も１００人以上が並んだのですが、一人も当たらなかった。田中さん一家は４人並んで田中さんの弟が当たったというから強運です。当たった傍聴券は父親が譲り受け、傍聴しました」（クラブ関係者）

　そして、父親としては真相を聞こうと法廷に入ったわけだが、その内容にかなりのショックを受けている。押尾は“クスリは田中さんに勧められた”と証言し、クスリの責任は田中さんにあることになった。また、肉体関係も生々しく語った。

「父親も押尾がクスリを娘のせいにすると覚悟はしていたようですが、香織さんとの性行為についての押尾と検察官の具体的なやりとりについて相当ショックを受けたみたいです。やりとりの間、父親はジッと目を閉じてうつむいたままでしたからね」（全国紙司法記者）

　父親は裁判後、モミクチャにされながらも、気丈に対応したが、衝撃はあまりに大きかったようで、帰郷後は殺到するマスコミの電話に出なくなった。押尾の保護責任者遺棄罪での立件はないともいわれ、余計に参っていて、判決が出るまでは取材拒否だという。

　もっとも、判決直後に動きがあるという情報もある。それでも遺族にとってつらい日々であることは変わらない。

（日刊ゲンダイ2009年10月30日掲載）